不動産物件購入・売却

どこまで直すと、いくらの値段が付くのか|水回り4点から先は伸びなかった

リフォームで価格に乗るのは、部屋の値段によらずおよそ500万円でした。では、その500万円はどこまで直せば付くのでしょうか。キッチンだけでよいのか、全部やり直さないと駄目なのか。

売り出し中の部屋には、どこを直したかが書かれています。「キッチン・浴室・トイレ・洗面」「全室クロス張替」「スケルトンからフルリフォーム」。この記載を工事の範囲ごとに分けて、値段の付き方を比べました。

使ったのは、当社が独自に集めている売り出し中の中古マンション11,663件のうち、リフォームの記載と建物の照合がそろった1,791件です。比べる相手は、同じ建物で実際に売れた「直していない部屋」の㎡単価の真ん中。これを100とします。

ひとつ先に断っておきます。ここで見るのは売り出し価格、つまり売主側が付けた希望の値段です。実際にその金額で売れたかどうかは、まだ分かりません。

直した範囲で並べてみる

直した範囲件数売り出し単価(同じ建物の成約の真ん中=100)記載なしとの差
リフォームの記載なし412件123.1
内装だけ・その他22件123.5+0.4
水回りの一部98件133.5+10.4
水回り4か所+内装368件141.9+18.8
フルリノベーション・全面50件144.9+21.8
売り出し中の中古マンション1,791件(当社が独自に集計)。件数の少ない段は幅として読んでください

いちばん上の行から見ていきます。リフォームの記載がない部屋でも123.1。売り出し価格は成約価格より高いので、この差はリフォームとは関係ありません。ここを出発点として、上に積み上がった分を読みます。

内装だけを直しても、値段はほとんど変わっていません(+0.4)。水回りに手を入れると+10.4。水回り4か所と内装をそろえると+18.8。ここまでは順調に増えます。

問題はその先です。フルリノベーションまで進めても144.9。4か所+内装から先は、+3.0しか増えません。

工事の金額は、水回り4か所+内装とスケルトンからのやり直しでは、まったく違います。ところが値段の付き方はほぼ同じでした。費用がいちばん戻りにくいのは、この最後のひと押しの部分です

ここまでのまとめ:水回り4か所と内装まではきれいに増えます。その先へ進めても、値段はほとんど変わりませんでした。

水回りは、3か所そろえたところで段が付く

水回りをキッチン・浴室・トイレ・洗面の4か所に分けて、いくつ直したかで並べ直しました。

直した水回りの数件数売り出し単価(同じ建物の成約の真ん中=100)
0か所26件123.5
1か所30件123.1
2か所16件125.6
3か所45件139.0
4か所421件142.4
リフォームの記載がある売り出し中の部屋538件(当社が独自に集計)

2か所までは、直していない部屋とほとんど変わりません。3か所で段が付き、4か所でもう少し上がります。中途半端にやると、かけた費用が値段に出てこないということです。

そして実際、リフォーム済として売られている部屋のほとんどは4か所そろえています。記載のある538件のうち421件がそうでした。

直されているのは、目に見えるところだけ

どこを直したかの記載5,369件から、出てくる言葉を数えました。

記載されていた箇所件数割合
トイレ4,756件88.6%
キッチン4,755件88.6%
床・フローリング4,637件86.4%
浴室4,562件85.0%
洗面4,469件83.2%
壁紙4,303件80.1%
建具3,468件64.6%
給湯器2,041件38.0%
給排水管・配管997件18.6%
サッシ・窓679件12.6%
リフォーム内容の記載がある売り出し中の部屋5,369件(当社が独自に集計)

上から6つは、内見したときに目に入る場所です。8割以上で直されています。いっぽう、壁の中を通っている給排水管は18.6%、サッシは12.6%しかありません

売る側から見れば、値段に出るところにお金をかけるのは合理的な判断です。買う側から見れば、リフォーム済という言葉が配管まで含んでいる可能性は低い、ということになります。どちらの立場でも、覚えておいて損はありません。

ここまでのまとめ:直されているのは目に見える場所です。配管は18.6%、サッシは12.6%しか記載がありません。

築年数によって、乗る額は変わる

ここからは、実際に売れた部屋の話に戻ります。同じ建物のなかで、リフォーム済の部屋が直していない部屋の真ん中から何円ぶん上にあるかを数えました。

築年数件数単価(同じ建物の真ん中=100)上乗せ額売れるまで
0〜9年172件105.4+343万円194日
10〜19年435件112.5+772万円153日
20〜29年743件117.5+853万円160日
30〜39年340件122.2+480万円166日
40〜49年664件121.5+479万円190日
50年以上547件119.3+340万円202日
2024年1月〜2026年8月に成約したリフォーム済2,901件(当社が独自に集計)

パーセントの列と、円の列で、山の位置が違います。パーセントは築30〜39年が最大。ところが円で見ると、いちばん大きいのは築20〜29年の853万円でした。

理由は単純です。築古の部屋はもとの単価が低いので、同じ100万円でもパーセントが大きく出ます。工事費と比べるべきなのは、パーセントではなく円のほうです。築50年以上は119.3という数字だけ見れば良さそうですが、額にすると340万円しかありません。

場所によっても変わる

都県件数単価(同じ建物の真ん中=100)上乗せ額売れるまで(リフォーム済/直していない)
東京都1,643件116.2+701万円145日/77日
神奈川県574件115.6+460万円227日/86日
千葉県360件123.0+405万円221日/90日
埼玉県324件119.9+456万円226日/92日
2024年1月〜2026年8月に成約したリフォーム済2,901件(当社が独自に集計)

東京都以外の3県は、上乗せ額が400万円台でそろっています。そのうえ、売れるまでに220日前後かかっています。直していない部屋の2.5倍前後です。

駅ごとに見ると、もっとばらつきます。リフォーム済が20件以上あった69駅を、同じ駅・同じ築年帯の真ん中と比べました。上のほうには検見川浜141.5(24件)、南行徳134.9(20件)、原木中山134.2(20件)、広尾130.2(26件)が並びます。下のほうは東戸塚78.9(31件)、辻堂95.6(20件)、松戸97.8(23件)、戸塚98.8(20件)。

ただし、1駅あたり20件から50件しかありません。順位そのものに意味を持たせるべきではないと考えています。読み取れるのは「駅によってここまで違う」という幅のほうです。全国どこでも同じ額が乗る、という前提は成り立ちません。

ここまでのまとめ:上乗せ額は築年数でも場所でも変わります。パーセントではなく円で比べてください。

上乗せの代わりに払うもの

件数売れるまで180日超365日超値下げした割合
リフォーム済2,901件174日48.5%19.6%73.6%
直していない部屋54,868件82日22.4%6.0%62.2%
2024年1月〜2026年8月の成約(当社が独自に集計)

リフォーム済の部屋は、5件に1件が1年以上売れ残っています。直していない部屋は6.0%です。値下げに追い込まれる割合も高くなっています。

高い値段を付けているのだから時間がかかる、というだけの話ではあります。ただ、その時間のあいだ管理費と修繕積立金は出ていきますし、住宅ローンが残っていれば返済も続きます。上乗せは、時間と引き換えに得るものです

先に測っておくもの

ここまでの数字は、全部「差」です。差である以上、引かれる相手が要ります。それが、直さずに売った場合の金額です。

この金額は、工事を始めたあとでは測れなくなります。順番として、査定が先になります。マンション名・専有面積・階が分かれば、実際に売れた価格をもとにした金額を中古マンションの査定で確認できます。そこに工事の見積もりを並べて、この記事の上乗せ額と比べてください。

上乗せがいくらになるかを金額で測った話は、売る前にリフォームすべきかとあわせて読んでいただくと、判断がしやすくなると思います。

まとめ

  • 売り出しの値付けは、水回り4か所+内装まではきれいに上がる。その先へ進めても+3.0しか変わらない
  • 水回りは2か所までだと値段にほとんど出ない。3か所で段が付く
  • 直されているのは目に見える場所。給排水管は18.6%、サッシは12.6%しか記載がない
  • 上乗せ額が最大なのは築20〜29年の853万円。築50年以上は340万円しかない
  • 東京都以外の3県は上乗せ400万円台で、売れるまで220日前後かかっている
  • リフォーム済の5件に1件は1年以上売れ残っている(直していない部屋は6.0%)
  • 比べる相手は、直さずに売った場合の金額。工事の前にしか測れない
詳しいガイド売る前のリフォーム判断水回り4か所と内装までで上がり方が止まるなら、その先へ進む前にリフォームして売るべきかどうかを考えておきたいところです。売られている部屋の多くは個人ではなく不動産会社が手掛けたものでした。売却ガイド一覧を見る →

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