不動産の税金

相続登記の費用相場2026年|登録免許税と司法書士報酬の計算方法

親や配偶者が亡くなり、不動産の名義変更(相続登記)を進めようとしたとき、「いったいいくらかかるのか」と不安に感じる方は多いでしょう。相続登記の費用は登録免許税・司法書士報酬・各種証明書の実費と複数の要素が重なり合うため、ひと口に「相場はこれくらい」とは言いにくい構造になっています。この記事では、費用の内訳ごとに計算方法と目安金額を丁寧に解説します。また、2027年3月31日まで使える登録免許税の免税措置や、放置した場合のペナルティについても触れますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

相続登記の費用は3つの要素で決まる

相続登記の費用は3つの要素で決まるのイメージ

相続登記にかかる費用は、大きく「登録免許税」「司法書士報酬」「証明書類の実費」の3つに分けて考えると整理しやすくなります。この3つはそれぞれ計算の仕組みが異なり、物件の評価額・相続人の人数・不動産の数によって金額が変わります。

まず登録免許税は、不動産の固定資産税評価額をもとに計算する国税です。次に司法書士報酬は、各事務所が自由に設定できる費用であり、依頼する業務の範囲によって大きく変わります。そして戸籍謄本や評価証明書といった証明書類の取得費用は、自治体ごとに手数料が異なります。この3つを合算したものが、実際に支払う総費用になります。

一般的な目安として、土地1筆・建物1棟(固定資産評価額合計1,000万円)を司法書士に依頼した場合、登録免許税4万円+司法書士報酬7〜12万円程度+実費数千円〜1万円程度が目安になります。ただし、相続人の数や不動産の数が増えると費用は大きく上振れするため、あくまで参考値として捉えてください。

登録免許税の計算方法と免税措置

登録免許税の計算方法と免税措置のイメージ

相続登記で最初に押さえておきたいのが、登録免許税の計算方法です。国税庁の情報によると、相続を原因とする所有権移転登記の税率は固定資産税評価額の0.4%と定められています(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_1.htm)。

計算式はシンプルで、「固定資産税評価額×0.4%」が登録免許税の額になります。たとえば評価額が2,000万円の不動産であれば、2,000万円×0.4%=8万円が登録免許税です。なお、法務局の案内によると、計算結果が1,000円未満になる場合でも最低1,000円が課税されます(盛岡地方法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/morioka/page000001_00110.html)。固定資産税評価額は、毎年送られてくる固定資産課税明細書や、市区町村が発行する固定資産評価証明書で確認できます。

100万円以下の土地には免税措置がある

法務局の情報によると、固定資産税評価額が100万円以下の土地については、2027年3月31日までの間、登録免許税が非課税となる時限措置が設けられています(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html)。地方の農地や山林など、評価額が低い土地を相続した場合に活用できる制度です。

ただし、この免税措置を受けるには申請書に「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」と明記する必要があります。記載がなければ免税は適用されないため、自分で申請する場合は特に注意が必要です。また、この措置は時限措置であり、2027年3月31日以降の扱いについては法務局の最新情報を必ずご確認ください。

司法書士報酬の相場はいくらか

司法書士への依頼費用は、各事務所が自由に設定できる仕組みになっています。日本司法書士会連合会の情報によると、「司法書士が業務を行ったときに受ける報酬については、各司法書士が自由に定めることになっています」とされており、全国一律の料金表は存在しません(日本司法書士会連合会 https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/)。

では実際の相場はどのくらいでしょうか。日本司法書士会連合会が2024年3月に実施したアンケートでは、土地1筆・建物1棟(固定資産評価額合計1,000万円)の相続登記を標準設例として調査した結果、司法書士報酬の平均は74,888円という結果が出ています(日本司法書士会連合会 https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf)。ただし、この平均値はあくまで標準的な設例に基づくものであり、実際の案件では相続人の数や不動産の数によって大きく変わります。

料金の幅が生まれる理由

複数の事務所の料金例を見ると、費用の幅がよくわかります。たとえば司法書士 船橋駅前事務所では相続登記の基本報酬が55,000円〜(税込)ですが、戸籍収集・遺産分割協議書作成・登記簿取得などは別建てとなっています(https://www.sincere-shihou.com/souzoku/fee.html)。一方、司法書士法人リーガル・フェイスの「相続登記おまかせプラン」は121,000円〜(税込)ですが、戸籍収集・法定相続情報一覧図・遺産分割協議書作成・評価証明書取得まで含まれています(https://www.l-faith.com/service/sozoku/about/pricelist/)。

このように、「基本報酬が安い」事務所でも、オプション費用を合算すると総額が変わることがあります。見積もりを取る際は、どの業務が含まれているかを必ず確認することが大切です。また、リーガル・フェイスの例では、不動産が6筆以上・相続人が5名以上・管轄が複数にわたる場合などに加算報酬が発生するとされており、複雑な案件ほど費用が上がる傾向があります。

証明書類の実費はどのくらいかかるか

司法書士報酬とは別に、戸籍謄本や評価証明書などの取得費用が実費として発生します。これらは自治体によって手数料が異なりますが、おおよその目安を知っておくと予算を立てやすくなります。

戸籍関係の証明書については、京都市の例では戸籍1通450円、除籍・改製原戸籍1通750円、戸籍の附票1通350円となっています(京都市 https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000145604.html)。相続人の数や被相続人の本籍地の移動歴によって必要な通数が変わるため、数通〜十数通になることもあります。なお、法務省の情報によると、2024年3月1日以降は本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍証明書を請求できる「広域交付」が利用できるようになり、収集の手間が軽減されています(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082)。

固定資産評価証明書の手数料は自治体によって異なります。東京都主税局の情報では、東京23区の場合、1件目400円・2件目以降100円という設定になっており、土地2筆・家屋1棟であれば600円になります(東京都主税局 https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/scene/certification/fixed_assets/tesuuryou)。大阪市では1件300円(コンビニ取得は200円)、多摩市では土地2筆・家屋1棟で300円という例もあり、数百円〜千円台が一般的な目安です。

登記事項証明書(登記簿謄本)は、法務省の情報によると書面請求で1通600円ですが、オンライン請求を使えば郵送受取520円・法務局窓口受取490円まで下げられます(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html、法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/online_syoumei_annai.html)。

費用を抑えるための2つのポイント

相続登記の費用を少しでも抑えたい場合、知っておくと役立つ制度が2つあります。

1つ目は「法定相続情報証明制度」の活用です。法務局の情報によると、この制度を使うと戸籍の束の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を無料で取得でき、複数の法務局に戸籍を出し直す手間を省けます(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html)。複数の不動産を相続した場合や、銀行手続きと並行して進める場合に特に効果的です。

2つ目は「自分で申請する」という選択肢です。法務局では電話・窓口・ウェブ会議による登記手続案内を完全予約制(1回20分以内)で提供しており、自分で申請する際のサポートを受けられます(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page_000001_00050.html)。ただし、法務局の案内でも「申請内容によっては専門家への依頼をお勧めする場合がある」とされており、相続人が多い・不動産が複数ある・遺産分割が複雑といったケースでは、自分で進めることで逆に時間と手間がかかることもあります。費用だけでなく、手続きの複雑さも考慮して判断することをおすすめします。

放置すると10万円以下の過料になる可能性も

費用の話と合わせて知っておきたいのが、相続登記を放置した場合のリスクです。法務省の情報によると、相続登記には申請義務があり、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となります(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html)。

具体的には、遺産分割が成立した場合はその日から3年以内に登記を申請することが義務付けられています。もし遺産分割の話し合いがまとまらないなどの事情がある場合でも、「相続人申告登記」という簡易な手続きを使えば3年以内の義務を履行できます(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html)。また、2026年2月2日に施行された「所有不動産記録証明制度」を活用すると、被相続人名義の不動産を一覧化して確認することができます。書面請求の場合、検索条件1件あたり1通1,600円の手数料がかかります(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00740.html)。

相続登記を先送りにすることで、登記費用に加えて過料というコストが発生するリスクがあります。早めに手続きを進めることが、結果的に費用を抑えることにもつながります。

まとめ

相続登記の費用は、登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)・司法書士報酬(平均約7.5万円、ただし案件により大きく変動)・証明書類の実費(数千円〜1万円程度)の3つで構成されます。司法書士報酬は事務所によって含まれる業務範囲が異なるため、見積もりを取る際は業務内容を必ず確認してください。評価額100万円以下の土地には2027年3月31日まで登録免許税の免税措置があるなど、使える制度も存在します。費用の不安から手続きを先送りにすると、過料のリスクも生じます。まずは法務局の相談窓口や司法書士への無料相談を活用して、早めに動き出すことをおすすめします。

参考文献・出典

  • 日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」 — https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/
  • 日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年3月実施)」 — https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf
  • 国税庁「マイホームを持ったとき」 — https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_1.htm
  • 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」 — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」 — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
  • 法務省「相続人申告登記について」 — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html
  • 法務局「『法定相続情報証明制度』について」 — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
  • 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」 — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082
  • 法務省「登記手数料について」 — https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html
  • 法務局「登記手続案内」 — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page_000001_00050.html
  • 法務省「所有不動産記録証明制度について」 — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00740.html
  • 東京都主税局「固定資産に関する証明書等の手数料について」 — https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/scene/certification/fixed_assets/tesuuryou
  • 大阪市「固定資産評価(公課)証明書」 — https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000007983.html
  • 京都市「窓口での戸籍関係証明書の請求について」 — https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000145604.html
  • 盛岡地方法務局「長期間相続登記等がされていないことの通知が届いた皆様へ」 — https://houmukyoku.moj.go.jp/morioka/page000001_00110.html
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