再開発・街の話題

棒二森屋跡地の現在:2030年以降に延期された再開発の全容

函館駅前のランドマークとして長年親しまれてきた棒二森屋が閉店してから数年が経ちます。「跡地は今どうなっているの?」「解体はもう終わったの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、棒二森屋跡地の現在の状況から再開発計画の詳細、さらには周辺の不動産への影響まで、公式資料をもとにわかりやすく解説します。計画の遅れや変更の背景にある事情も含めて、2026年10月時点でわかっていることをまとめました。

棒二森屋はなぜ閉館したのか

棒二森屋はなぜ閉館したのかのイメージ

棒二森屋は函館市の中心部、函館駅前に位置する大型百貨店として、地域の人々に長く愛されてきた商業施設です。しかし、人口減少や消費行動の変化、さらに新型コロナウイルス感染拡大による買い物客や観光客の減少が重なり、経営環境は年々厳しさを増していきました。

函館市が公表した再開発事業の概要資料(函館市)によると、棒二森屋の閉店や新型コロナウイルスの影響によって、当該地区の歩行者通行量は大幅に減少したとされています。かつては函館駅前の賑わいの中心だったエリアが、日常的な人の往来を失い、地区全体の活力が低下していったのです。こうした状況が、跡地を活用した大規模な再開発事業を検討するきっかけとなりました。

閉店後も建物はそのまま残り続けており、函館市と地権者が連携しながら、跡地をどのように活用するかの議論が続けられてきました。単なる商業施設の建て替えにとどまらず、街全体の再生を見据えた計画として、市街地再開発事業という枠組みで取り組みが進められることになったのです。

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棒二森屋跡地の現在の状況

再開発事業の進捗状況(図解)

2026年10月時点において、棒二森屋の旧本館と函館駅前ビルは解体されておらず、建物はそのまま残っています。函館市の公式回答(函館市、2025年10月3日)によると、解体工事は事業計画の変更認可手続きを経た後に着手する予定であり、現時点では必要な手続きが完了していないため、解体工事のみを先行して行うことはできないとされています。

再開発事業の大きな転換点となったのは、建設物価の高騰です。函館市の公式回答によれば、建設物価高騰等により総事業費の大幅な増加が見込まれることから、施設計画を抜本的に見直し、事業収支の改善に取り組む必要が生じたと、再開発組合から市へ報告されています。この影響で、当初2029年5月を予定していた新施設の開業時期は、延期される見通しとなりました(e-HAKODATE、2025年8月22日時点の報道)。

一方で、事業の枠組み自体は着実に整備されています。2025年1月28日には「函館駅前東地区市街地再開発組合」が正式に設立されており(函館駅前東地区市街地再開発組合公式サイト)、行政と民間が連携して再開発を推進する体制が整いました。現地の物理的な工事は始まっていないものの、計画の実現に向けた組織的な準備は進んでいる段階です。

どんな施設が建つ予定か:複合開発の全容

複合開発の施設構成(図解)

再開発計画では、北海道の資料によると、函館駅前東地区は地区面積1.0ha、敷地面積6,712㎡で、共同住宅・ホテル・商業施設・公共施設・広場の整備が予定されており、延床面積は36,217㎡とされています。単一の用途に特化した建物ではなく、さまざまな機能を組み合わせることで、日常的な賑わいを生み出すことが目指されています。

再開発組合の公式サイト(函館駅前東地区市街地再開発組合)によると、この事業は「商業施設の再生と併せて、市民広場(コミュニティプラザ)と歩行者空間(コミュニティストリート)を整備することにより、人が集う、歩いて楽しい街づくり(ウォーカブルシティ)を目指す」としています。商業機能だけでなく、市民が日常的に集える公共空間を設けることが、計画の大きな特徴です。

公共施設の機能については、函館市が公表した原案資料(函館市、2025年1月23日)に候補が示されています。学習スペース・図書コーナー・防音室・作品展示等のオープンスペース・ビジネス向けワークスペース・プライバシーに配慮した相談室などが候補として挙げられており、市民活動や各種講座、文化活動の成果発表、修学旅行・教育旅行中のグループワークといった多様な使い方が想定されています。ただし、これらはあくまで原案段階の候補であり、最終的な確定内容については2026年10月時点では公表されていません。

市民の声と行政の対応

市民参画による計画策定(図解)

函館市は、公共施設の整備内容を検討するにあたり、市民の意見を積極的に取り入れる姿勢を示してきました。市が実施したWebアンケート調査(函館市、令和7年2月)では、どのような施設を利用したいかという問いに対し、「市民や観光客がくつろぎ、憩う空間」と回答した割合が高い傾向が見られました。また、施設の使い方については「市民も観光客も参加できるイベント」が多くの支持を集めており、地域の人々が求めているのは単なる商業空間ではなく、交流や憩いの場であることが浮かび上がっています。

さらに、函館市は2025年2月27日から3月28日にかけて、公共施設整備の基本的な考え方(案)に対するパブリックコメントを実施しました(函館市)。その結果、個人12人(37件)、法人等2団体(3件)から意見が寄せられましたが、意見による計画の修正はなかったとされています。行政が市民の声を丁寧に聞きながら計画を進めていることは、地域にとって重要なプロセスといえます。

事業目標として掲げられているのは、①賑わい空間の創出、②都市災害に強い街づくり、③中心市街地の活性化の3点です(函館市)。防災機能の強化も含めた総合的な街づくりとして位置づけられており、単なる商業再生にとどまらない取り組みであることがわかります。

棒二森屋跡地の再開発と周辺の不動産への影響

函館駅前という立地で大規模な再開発が進むことは、周辺の不動産市場にも少なからず影響を与える可能性があります。一般的に、大型の再開発事業が完成すると、周辺エリアの利便性や賑わいが向上し、住宅需要や地価に好影響をもたらすケースが多いとされています。ただし、具体的な地価の変動や賃料相場への影響は、計画の進捗や完成後の集客力によって大きく異なるため、現時点での断定は難しい状況です。

注目すべきは、今回の再開発が商業施設だけでなく共同住宅棟を含む複合開発である点です。函館駅前という交通の要所に居住機能が加わることで、駅周辺の居住人口が増加し、地域全体の活力底上げにつながることが期待されています。一方で、開業が延期されている現状では、その効果が現れるまでにはまだ時間がかかる見通しです。

不動産投資や移住を検討している方にとっては、再開発の進捗を継続的に確認することが重要です。計画の変更や工程の見直しが生じる可能性もあるため、函館市や再開発組合の公式発表を定期的にチェックする習慣をもつことをおすすめします。周辺エリアの不動産相場については、地元の不動産業者や函館市の公式情報を参照しながら、最新の動向を把握するようにしてください。

まとめ

棒二森屋跡地は、2025年1月に再開発組合が設立され、ホテル・商業・公共施設・住宅からなる複合施設の建設が計画されています。しかし、建設物価の高騰という外部環境の変化を受け、開業時期は延期され、解体工事も事業計画の変更認可手続きが完了するまで着手できない状況が続いています。

市民広場や歩行者空間を含む「ウォーカブルシティ」を目指す再開発は、函館駅前の賑わいを取り戻すための重要なプロジェクトです。計画の実現には時間がかかりますが、市民の声を反映しながら着実に準備が進められています。今後の動向については、函館市や再開発組合の公式サイトで最新情報をご確認ください。

参考文献・出典

  • 函館市「棒二森屋店跡地における公共施設整備検討会議」 — https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2024120300107/
  • 函館市「函館駅前東地区市街地再開発事業における公共施設整備の基本的な考え方(案)に対するパブリックコメント手続きの実施について」 — https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2025020600038/
  • 函館市「函館駅前再開発の再延期に対する函館市の見解と立場について確認」 — https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/citizensvoice/docs/2025100600033/
  • 函館駅前東地区市街地再開発組合 公式サイト — https://hakodate-ekimaehigashi.jp/
  • 函館駅前東地区市街地再開発組合「ごあいさつ」 — https://hakodate-ekimaehigashi.jp/greeting/
  • 函館市「棒二森屋店跡地における公共施設整備についてのWebアンケート調査結果報告書」 — https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2024032500039/file_contents/houkokusyo.pdf
  • 函館市「公共施設整備の基本的な考え方(原案)」 — https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2024120300107/file_contents/genan.pdf
  • 函館市「函館駅前東地区市街地再開発事業の概要」 — https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2024120300107/file_contents/saikaihatsujigyou.pdf
  • e-HAKODATE「棒二跡地再開発、30年5月以降に延期へ 再開発組合」 — https://www.ehako.com/news/news2024a/14780_index_msg.shtml
  • 北海道「函館駅前東地区市街地再開発事業」 — https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/1/7/7/6/1/8/7/_/%E5%88%A5%E7%B4%991_20241210.pdf

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