不動産物件購入・売却

売れないマンションの価格は、どう動いていくのか|値下げ回数の実測

売り出したのに、内見が入らない。内見とは、買いたい人が実際に部屋を見に来ることです。1か月たっても、2か月たっても、電話が鳴らない。そのうち担当者から「そろそろ価格を見直しませんか」と言われる。中古マンションの売却では、よくある流れです。

ここから先、値段はどう動くのでしょうか。当社が独自に集計した首都圏の成約データで追いかけてみました。2024年1月から2026年8月までに成約した中古マンション110,887件が対象です。

値下げの回数で、結果はここまで変わります

売り出してから成約までに、価格を何回変えたか。その回数ごとに並べたのが次の表です。

価格を変えた回数件数割合売出価格からの下げ幅(中央値)売れるまでの日数(中央値)
0回23,332件24.5%0.00%38日
1回34,187件35.9%4.04%61日
2回18,344件19.2%8.57%138日
3回9,327件9.8%11.93%206日
4回4,581件4.8%14.73%277日
5回以上5,578件5.9%17.72%404日
2024年1月〜2026年8月に成約した首都圏の中古マンション(当社が独自に集計)

中央値とは、全部を順番に並べたときに真ん中に来る数字のことです。0回、つまり売り出した価格のまま売れた部屋は、38日で決まっています。1か月ちょっとです。

そこから、回数が増えるごとに階段を下りていきます。2回下げた部屋は8.57%下がり、138日かかっています。5回以上下げた部屋は17.72%下がり、404日かかりました。4,000万円で売り出した部屋なら、約710万円下がって、1年1か月後に決まった計算です。

ここまでのまとめ:値下げの回数が1回増えるごとに、下げ幅も期間も階段のように増えていきます。

回数が増えるのは、下げ方が小さいからです

表をもう一度見てください。5回下げた部屋の下げ幅は17.72%です。1回あたりに直すと、3.5%ほどになります。4,000万円なら、1回140万円ずつです。

この下げ方には、大きな弱点があります。買主の検索に引っかからないのです。

買いたい人は、3,000万円・3,500万円・4,000万円といった区切りで物件を探します。「予算4,000万円まで」で検索している人には、4,050万円の部屋は表示されません。ここで4,000万円まで下げれば、その人たちの画面に初めて出てきます。ところが3,900万円から3,760万円へ下げても、同じ人たちに見えているだけです。新しい買主は増えません。

ですから、下げるときは区切りを一つまたぐように下げるのが基本です。50万円ずつ何度も下げるより、一度でまたぐほうが反応が出ます。

もう一つ、小刻みな値下げには副作用があります。広告に「価格変更」の履歴が何度も残ることです。買主は「ずっと売れていない部屋だ」と受け取ります。すると、さらに待とうとします。値下げを待たれる部屋になってしまうのです。

ここまでのまとめ:小刻みな値下げは、買主を増やさないまま「売れ残り」の印だけを増やします。

あなたはいま、どの段階ですか

  • 売り出して3週間以内、内見0件——判断には早いですが、手は打てます。最初の3週間は一度きりの見せ場です。反応が薄いなら、写真と価格の両方を見直します
  • 1〜2か月、内見はあるが申し込みがない——価格より、部屋の見せ方や説明に原因があることが多いです。案内した担当者に、断られた理由を聞いてください
  • 3か月たった、すでに1回下げた——ここが分かれ目です。集計では90日以内に半数(50.1%)が決まっています。ここから先は、下げ幅も期間も急に伸びます
  • 半年以上、3回以上下げた——価格だけの問題ではない可能性があります。買主の数そのものが少ない部屋かもしれません。売り方を変える段階です

ここまでのまとめ:3か月が分かれ目です。ここを過ぎると、下げ幅も期間も急に伸びます。

期間で見ても、同じことが言えます

売り出しから成約までの日数割合売出価格からの下げ幅(中央値)価格を変えた回数(中央値)
90日以内50.1%1.75%1回
91〜180日23.3%6.25%2回
181〜365日17.7%9.17%2回
365日超8.9%12.50%4回
同じ集計を売却期間で分けたもの(当社が独自に集計)

1年を超えた部屋は12.50%下がっています。4,000万円なら約500万円です。そのうえ、その1年ぶんの管理費と修繕積立金がかかっています。集計では合計で月に約25,200円が中央値なので、1年で約30万円。住宅ローンが残っていれば、その返済も続いています。

ここで、順番を間違えないでください。長く売れ残ったから下がるのではありません。高く出したから売れず、売れないから下げるのです。

価格帯によっても、動きは少し違います。3,000万円未満の部屋は、一度も下げずに売れた割合が19.8%しかありません。2回以上下げた部屋は、下げ幅が16.67%、期間が227日でした。一方、5,000万円から8,000万円の帯では、一度も下げずに売れた部屋が30.0%あります。安い部屋のほうが値付けを外しやすい、ということです。似た部屋が近所に少なく、比べる目安が取りにくいためだと考えられます。

ここまでのまとめ:1年待った部屋は12.50%下がっています。待つこと自体に費用がかかります。

売れないときにやること、五つ

1. 内見の数を数える

最初に見るのは価格ではなく、内見の件数です。内見が入っているのに決まらないなら、価格ではなく見せ方の問題です。内見が0件なら、価格か、情報が回っていないかのどちらかです。ここを取り違えると、下げなくてよい価格を下げることになります。

2. 写真を撮り直す

買主が最初に見るのは写真です。暗い、荷物が写っている、枚数が少ない。これだけで候補から外れます。値下げには費用がかかりますが、写真の撮り直しには、ほとんどかかりません。先に試す価値があります。

3. 下げるなら、区切りを一つまたぐ

4,180万円なら、4,000万円まで。3,780万円なら、3,500万円まで。区切りをまたがない値下げは、買主を増やしません。中途半端に下げると、回数だけが増えていきます。

4. 次に見直す日を、先に決める

「3週間で内見が2件なければ、○○円に下げる」。これを紙に書いておきます。決めずに始めると、判断が毎回先送りになります。値下げの回数が増える部屋は、たいていこの先送りが積み重なった結果です。

5. 撤退する日も決めておく

「半年で決まらなければ、買取に切り替える」「いったん取り下げて、来春に出し直す」。どちらでも構いません。決めておくことが大事です。半年たった部屋をさらに半年待って売った場合、手元に残る額は、最初に別の方法を選んだ場合とそう変わらないことがあります。

ここまでのまとめ:内見の数を見る、写真を直す、下げるなら区切りをまたぐ、見直す日と撤退する日を先に決める。

当社では、こう見ています

当社は買取と仲介の両方を行っています。売れ残りのご相談をいただいたときは、まず内見の件数と、売出価格が成約データからどれくらい離れているかを確かめます。離れていなければ、価格ではなく見せ方から直します。この記事の集計も、その判断にそのまま使っているものです。月に500件ほど売却のご相談やお持ち込みをいただきますが、値下げの回数が3回を超えている部屋は、ほとんどが「最初の値付けが相場より1割以上高かった」ものでした。

次の一歩

下げるかどうかを決める前に、いまの売出価格が相場からどれくらい離れているかを測ってください。離れていないのに下げるのは、いちばんもったいない判断です。マンション名・専有面積・部屋番号が分かれば、実際に売れた価格をもとにした金額をその場で確認できます。この記事の下にご案内がありますので、必要な方はそちらからどうぞ。

同じ建物で最近いくらで売れたかはマンション棟別の相場データで、駅ごとの相場は駅別の中古マンション相場データで確認できます。

まとめ

  • 一度も下げずに売れた部屋は24.5%で、38日で決まっている。5回以上下げた部屋は17.72%下がり404日かかった
  • 90日以内に半数(50.1%)が決まる。1年を超えた部屋の下げ幅は12.50%(4,000万円なら約500万円)
  • 小刻みな値下げは買主を増やさない。買主は区切りの金額で検索しているため
  • 3,000万円未満の部屋は一度も下げずに売れる割合が19.8%と低い。比べる目安が少ないため
  • まず内見の件数を見る。次に写真。下げるのはそのあと。見直す日と撤退する日は先に決めておく
電宅男
監修 電宅男 宅地建物取引士 / MBA|株式会社青山地所 営業部

一橋大学大学院MBA修了。大手デベロッパー法人部門、買取再販会社を経て現職。区分リノベ再販・都心事業用物件の買取再販を手がけ、業界7年の知見で記事を監修。

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