不動産の税金

長期・短期譲渡の税率と計算方法、2026年の相談先

この記事の結論

  • 長期譲渡(5年超)は所得税15%・住民税5%、短期譲渡(5年以下)は所得税30%・住民税9%です。
  • 課税譲渡所得は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」で計算します。
  • 複雑な事案は国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)または所轄税務署の面接相談を活用してください。

不動産を売却したとき、「税金はいくらかかるのだろう」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。特に、長期譲渡と短期譲渡で税率が大きく異なることを知らないまま売却してしまうと、想定外の税負担を抱えることになりかねません。この記事では、長期・短期の判定基準から税率・計算方法、さらに使える特例や相談先まで、初心者でも理解できるよう順を追って解説します。売却前に知っておくべき知識を整理しておくことで、余裕を持った資金計画が立てられるはずです。

長期譲渡と短期譲渡の判定基準

長期譲渡と短期譲渡の判定基準のイメージ

不動産を売却したとき、まず確認しなければならないのが「長期譲渡」か「短期譲渡」かという区分です。この判定によって税率が大きく変わるため、売却前に必ず把握しておく必要があります。

重要なのは、判定の基準日が「売却した日」ではなく、「売った年の1月1日現在の所有期間」で決まるという点です。たとえば2026年(令和8年)中に売却する場合、令和2年12月31日以前に取得した不動産であれば長期譲渡所得、令和3年1月1日以後に取得した不動産であれば短期譲渡所得となります(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)。つまり、所有期間が5年を超えるかどうかが分かれ目になります。

この判定で見落としがちなのが、相続や贈与で取得した不動産の扱いです。相続や贈与で取得した場合は、自分が取得した日からではなく、被相続人や贈与者が取得した時点から所有期間を引き継いで計算します(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm)。親から相続した実家を売却する場合、親が何十年も前に購入していれば、相続した翌年に売っても長期譲渡として扱われるケースがあります。

また、「年の途中で5年を超えた」という場合でも、1月1日時点で5年を超えていなければ短期譲渡として扱われます。たとえば2020年6月に購入した物件を2026年7月に売却した場合、2026年1月1日時点では所有期間が5年7ヶ月ですが、2026年1月1日現在で5年超となるため長期譲渡の扱いになります。このように、1月1日という基準日を意識することが正確な判定につながります。

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税率と計算方法の基本

税率と計算方法の基本のイメージ

長期・短期の区分が決まったら、次は税率と計算方法を理解しましょう。不動産の譲渡所得は、給与所得や事業所得とは合算せず、分離して税額を計算するのが原則です(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)。

課税譲渡所得金額の計算式は、「譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額」です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)。取得費とは、購入代金や購入手数料に加え、改良費・設備費なども含まれます。ただし建物については、保有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算する点に注意が必要です。また、取得費が分からない場合や実際の取得費が低い場合は、譲渡価額の5%を概算取得費として使うことができます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)。

譲渡費用には、仲介手数料や売主負担の印紙税、立退料、建物の取壊し費用などが含まれます。一方で、修繕費や固定資産税といった維持管理費は譲渡費用に含まれないため注意が必要です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm)。

税率については、長期譲渡は所得税15%・住民税5%、短期譲渡は所得税30%・住民税9%と、約2倍の差があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm)。さらに、所得税額に対して復興特別所得税も別途かかります。たとえば課税譲渡所得が1,000万円の場合、長期なら所得税150万円・住民税50万円、短期なら所得税300万円・住民税90万円と、税負担に大きな差が生じます。売却のタイミングを少し調整するだけで税額が変わることもあるため、売却前に必ず確認しておきましょう。

知っておきたい特例と軽減措置

税額の計算方法を理解したうえで、次に確認したいのが各種特例の存在です。特例を活用することで、税負担を大幅に軽減できる場合があります。

まず代表的なのが、マイホーム(居住用財産)を売ったときの3,000万円特別控除です。この特例は、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)。以前住んでいた家でも、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば対象になります。ただし、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却では適用できない点は見落としがちな注意点です。

さらに、売った年の1月1日現在で所有期間が10年を超えるマイホームであれば、3,000万円控除後の課税長期譲渡所得金額に対して軽減税率の特例も重ねて適用できます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm)。具体的には、6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%、6,000万円を超える部分は所得税15%・住民税5%という軽減された税率が適用されます。3,000万円控除と軽減税率を組み合わせることで、長期保有のマイホーム売却では税負担を大きく抑えられる可能性があります。

一方、売却で損失が出た場合は注意が必要です。土地・建物の譲渡損失は、原則として給与所得や事業所得など他の所得と損益通算することができません(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm)。ただし、一定の要件を満たす居住用財産の長期譲渡損失については例外的な取り扱いがあります。損失が出た場合も、安易に申告を省略せず、専門家や税務署に確認することをおすすめします。

確定申告の手続きと必要書類

不動産を売却して譲渡所得が生じた場合は、確定申告が必要です。申告期限は、売却した年の翌年2月16日から3月15日の間となっています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm)。たとえば2026年中に売却した場合は、2027年2月16日から3月15日が申告期間です。

申告に必要な書類は、通常の確定申告書に加えて、分離課税用の「申告書第三表」と「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕」を作成する必要があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm)。内訳書には、取得費・譲渡費用・特別控除額などを記入するため、売買契約書や領収書、登記事項証明書などを事前に準備しておくとスムーズです。

10年超所有マイホームの軽減税率特例を適用する場合は、確定申告書に譲渡所得の内訳書と登記事項証明書を添付して提出します(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm)。なお、不動産番号等の明細書で登記事項証明書を省略できる場合もあります。書類の準備に不安がある場合は、早めに税務署や税理士に相談することで、申告漏れや記載ミスを防ぐことができます。

税額の計算や特例適用で迷ったときの相談先

譲渡所得の計算や特例の適用は、個別の事情によって判断が変わることが多く、自分だけで判断するのが難しいケースも少なくありません。そのような場合は、公的な相談窓口を積極的に活用しましょう。

国税庁では、国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)を設けており、電話相談センターの「3」を選ぶと譲渡所得等の窓口につながります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/)。受付時間は平日8時30分から17時00分です。一般的な疑問や計算方法の確認であれば、電話で手軽に相談できます。

一方、書類や具体的な事実関係の確認が必要な複雑な事案については、所轄の税務署で面接相談を受けることが公式に案内されています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/)。面接相談は事前に電話予約が必要なため、余裕を持って連絡しておくことをおすすめします。また、相続した不動産の売却や共有名義の不動産売却など、特に複雑な事案については、税理士への相談も有効な選択肢です。税理士に依頼することで、特例の適用可否や節税効果を含めた総合的なアドバイスを受けられます。

まとめ

長期譲渡と短期譲渡の税率の差は約2倍にのぼり、売却のタイミングや所有期間の確認が非常に重要です。判定基準は「売った年の1月1日現在の所有期間」であること、取得費や譲渡費用の正確な把握が税額計算の基本であることを、まず押さえておきましょう。また、マイホームの3,000万円特別控除や10年超所有の軽減税率特例など、活用できる制度を事前に確認することで、税負担を大きく軽減できる可能性があります。不安な点や複雑な事情がある場合は、国税相談専用ダイヤルや税務署の面接相談を遠慮なく利用してください。正確な知識と早めの準備が、不動産売却を成功させる第一歩です。

参考文献・出典

  • 国税庁「土地や建物を売ったとき」 — https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm
  • 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
  • 国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
  • 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
  • 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm
  • 国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm
  • 国税庁「No.3102 譲渡所得の申告期限」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm
  • 国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm
  • 国税庁「No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm
  • 国税庁「国税に関するご相談について」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/
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