不動産投資を続けていると、「今の金利のまま返済し続けていいのだろうか」「借り換えで毎月の負担を減らせないか」と悩む方は少なくありません。しかし、借り換えには諸費用がかかるため、実際に得になるかどうかを正確に把握しないまま動いてしまうと、思わぬ損失につながることもあります。この記事では、不動産投資ローンの借り換えシミュレーションをエクセルで自作する方法と、借り換え効果を正しく計算するポイントをわかりやすく解説します。エクセルの関数を使えば、金利や返済期間を変えたさまざまなシナリオを手軽に比較できるようになります。初心者の方でも実践できる内容ですので、ぜひ最後までお読みください。
不動産投資ローンの借り換えとは何か

まず押さえておきたいのは、借り換えの基本的な仕組みです。借り換えとは、現在返済中のローンを別の金融機関の新しいローンに切り替えることを指します。金利が低い商品に乗り換えることで、毎月の返済額や総返済額を減らす効果が期待できます。
住宅ローンの借り換えはよく知られていますが、不動産投資ローンでも同様の借り換えが可能です。ただし、投資用ローンは住宅ローンとは審査基準や条件が異なるため、すべての方が簡単に借り換えられるわけではありません。金融機関によって取り扱い条件が異なりますので、複数の機関を比較検討することが大切です。
借り換え時に借り入れできる金額にも上限があります。たとえば三菱UFJ銀行のよくあるお問い合わせによると、借り換えの場合は「現在お借入中の住宅ローンの残高+諸費用(登記費用・印紙代・事務手数料等)」の範囲内での借り入れが案内されています(三菱UFJ銀行 https://www.mufg.jp/faq/loan/706)。投資用ローンでも同様の考え方が基本となります。
また、オリックス銀行の商品説明書によると、同行の不動産投資ローンは「当社およびオリックスグループの住宅ローンの借りかえには利用できません」と明記されています(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/property/account.html)。このように、金融機関によって借り換え対象や条件が異なる点を覚えておきましょう。
借り換えにかかる諸費用を正確に把握する

借り換えの効果を正しく計算するには、諸費用の把握が欠かせません。金利が下がっても、諸費用が高ければ実質的なメリットが小さくなるからです。
オリックス銀行の不動産投資ローンを例にとると、借り入れ時に必要な諸費用として、取扱事務手数料(借入金の2.20%(消費税込み)以内)、登記費用、火災保険料、印紙代が挙げられています(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/property/charges.html)。これらはすべて借り換えコストとして計算に含める必要があります。
さらに、現在のローンを早期に完済する際には、繰上返済手数料が発生する場合があります。この手数料は金融機関や契約内容によって異なりますので、現在の契約書や金融機関への問い合わせで事前に確認しておくことが重要です。
諸費用の合計は、一般的に借入残高の数パーセント程度になることが多いとされています。ただし、具体的な金額は個別の契約条件や金融機関によって大きく異なりますので、必ず各金融機関の公式サイトや窓口で最新情報をご確認ください。シミュレーションを作成する際は、これらの諸費用を初期コストとして必ず入力欄に設けることをおすすめします。
エクセルで返済シミュレーションを作る基本
実は、エクセルには不動産投資ローンのシミュレーションに役立つ財務関数が標準で備わっています。これらを使いこなすことで、複雑な計算を自動化できます。
最も基本となるのがPMT関数です。Microsoftのサポートページによると、PMT関数は「一定利率の支払いが定期的に行われる場合の、ローンの定期支払額を算出」するもので、「返される定期支払額には元金と利息が含まれますが、その他の手数料や税金は含まれません」と説明されています(Microsoft Support https://support.microsoft.com/ja-JP/Excel/pmt-function)。つまり、PMT関数で求められるのはあくまで元金と利息の合計であり、諸費用は別途計算が必要です。
さらに詳細な返済表を作りたい場合は、IPMT関数とPPMT関数を組み合わせる方法が実務的です。IPMT関数は各返済回の利息部分を、PPMT関数は元金部分をそれぞれ算出します。入力する際は「利率」を月利(年利÷12)で、「期間」を月数(年数×12)で指定するのが基本的な作り方です(Wealth Agent https://www.agent-hp.com/excel-loan-simulation-how-to-create/)。これにより、毎月の返済額が元金と利息にどう配分されているかを一覧で確認できる返済スケジュール表が完成します。
エクセルのシートには、借入金額・年利・返済期間(年)・返済開始月を入力セルとして設け、計算結果が自動で更新される構成にしておくと便利です。借り換え前と借り換え後の2シートを並べて作成すると、比較がしやすくなります。
データテーブル機能で複数シナリオを比較する
エクセルのシミュレーションをさらに活用するなら、データテーブル機能を使った複数シナリオの比較が効果的です。
Microsoftのサポートページによると、データテーブルの「1変数テスト」を使うと「数式内の1つの変数の値を変えると結果がどのように変化するかを確認でき」、「金利と月々の返済期間の異なる組み合わせをテストして、住宅ローンの返済額を計算できる」と説明されています(Microsoft Support https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/calculate-multiple-results-by-using-a-data-table)。不動産投資ローンでも同じ手法が応用できます。
たとえば、現在の金利から0.5%刻みで下げた場合の毎月返済額をテーブルで一覧表示すれば、どの金利水準になれば借り換えメリットが生まれるかを視覚的に把握できます。また、返済期間を変えた場合の比較表を作れば、月々の負担と総返済額のバランスを検討しやすくなります。
さらに、借り換え後の金利が将来上昇した場合を想定したシナリオも作成しておくと安心です。変動金利を選ぶ場合は特に、金利が上昇したときに毎月の返済額がどう変化するかをあらかじめ確認しておくことが、リスク管理の観点から重要です。複数のシナリオを並べて比較することで、楽観的な見通しだけでなく、厳しい条件でも耐えられるかどうかを冷静に判断できます。
借り換え効果を正しく計算するポイント
借り換えの効果を正確に把握するには、単純な金利差だけでなく、総合的な収支で判断することが大切です。
シミュレーションで確認すべき主な項目は、借り換え前後の毎月返済額の差、残りの返済期間における総返済額の差、そして借り換えにかかる諸費用の合計です。これら三つを組み合わせることで、諸費用を回収するまでに何ヶ月かかるか(損益分岐点)を計算できます。たとえば、毎月の返済額が減少する金額で諸費用の合計を割れば、何ヶ月で元が取れるかの目安が出ます。
オリックス銀行の返済シミュレーションの説明によると、「返済額および想定年数経過後の借入残額は、金利等の当初の借入条件が一定で変化しないものと仮定し、計算しています」とされています(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/house/simulation.html)。エクセルで自作する場合も同様に、まずは金利一定の前提でシミュレーションを行い、その後に金利変動シナリオを追加するという順序で進めると整理しやすいでしょう。
また、全国銀行協会の返済シミュレーションでは「返済額は元利均等返済方式で算出し、実際の返済額は銀行や条件で異なる」と明記されています(全国銀行協会 https://www.zenginkyo.or.jp/article/simulation/loan-new/)。エクセルで作成したシミュレーションはあくまで試算であり、実際の返済額は金融機関との契約内容によって異なる点を忘れないようにしましょう。最終的な判断は、金融機関の担当者や不動産投資の専門家に相談したうえで行うことをおすすめします。
まとめ
不動産投資ローンの借り換えは、正しくシミュレーションすることで効果を客観的に判断できます。エクセルのPMT関数・IPMT関数・PPMT関数を活用して返済表を作成し、データテーブル機能で複数の金利・期間シナリオを比較することが、賢い借り換え判断への近道です。重要なのは、金利差だけでなく諸費用(事務手数料・登記費用・繰上返済手数料など)を含めた総合的な収支で効果を計算することです。シミュレーションはあくまで試算ですので、実際の借り換えを検討する際は必ず金融機関や専門家に相談し、最新の条件を確認してください。エクセルを使いこなして、不動産投資の収益改善に役立ててみましょう。
参考文献・出典
- Microsoft Support「PMT 関数」 — https://support.microsoft.com/ja-JP/Excel/pmt-function
- Microsoft Support「データ テーブルを使用して複数の結果を計算する」 — https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/calculate-multiple-results-by-using-a-data-table
- 一般社団法人 全国銀行協会「住宅ローン新規借入れ返済シミュレーション」 — https://www.zenginkyo.or.jp/article/simulation/loan-new/
- 三菱UFJ銀行「住宅ローンの借り換えの場合、いくらまで借入できますか。」 — https://www.mufg.jp/faq/loan/706
- オリックス銀行「借り入れに必要な諸費用 | 不動産投資ローン」 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/charges.html
- オリックス銀行「不動産投資ローン 商品説明書」 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/account.html
- オリックス銀行「投資用不動産ローン・住宅ローン 返済シミュレーション」 — https://www.orixbank.co.jp/personal/house/simulation.html
- Wealth Agent「〖不動産投資の返済計画〗エクセルで元利均等返済シミュレーションを作成する方法」 — https://www.agent-hp.com/excel-loan-simulation-how-to-create/