この記事の結論
- 新築マンションの管理費は首都圏平均で月2万円超だが、築10年中古は約1万6千円と差がある。
- 修繕積立金は新築が安く中古が高い傾向で、合計額では新築と中古の差は意外と小さい。
- 投資判断では月額の安さより「積立金の充足度」と「将来の値上がりリスク」で比較すべき。
マンション投資を検討するとき、「新築と中古、どちらが管理費や修繕積立金の負担が少ないのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。表面利回りだけを見て物件を選んでしまうと、毎月の管理費・修繕積立金が予想以上に重くのしかかり、手残りが大きく減ってしまうケースがあります。この記事では、2026年時点の最新データをもとに、新築と中古のランニングコストを具体的な数字で比較しながら、投資判断に役立つ視点をわかりやすく解説します。
まず確認したい「管理費」の定義

この記事で扱う「管理費」は、区分所有マンションの管理組合に毎月支払う費用のことです。賃貸管理会社に支払う管理委託手数料(家賃の数パーセント程度)とは別物ですので、最初に区別しておきましょう。
マンションの管理費は、共用部分の清掃・電気代・管理員の人件費・エレベーターの保守点検などに充てられます。一方、修繕積立金は将来の大規模修繕工事(外壁塗装・防水工事・給排水管の更新など)に備えて毎月積み立てるお金です。どちらも区分所有者が毎月必ず支払う義務があり、投資物件の収支計算では必ず差し引いて考える必要があります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、管理費の全国平均は月11,503円/戸、修繕積立金の全国平均は月13,054円/戸となっており、修繕積立金は管理費を上回るのが全国的な実態です(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750163.pdf)。
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新築マンションの管理費・修繕積立金の実態

新築マンションは、販売時点ですでに管理費と修繕積立金の月額が設定されています。ただし、引き渡し後は管理組合が長期修繕計画を見直しながら積立額を変更していくため、購入時の金額がずっと続くわけではありません。
東京カンテイのデータによると、近年の首都圏新築マンションの管理費は月額2万円台に達し、修繕積立金と合わせて月額29,000円前後となっています(R.E.port https://www.re-port.net/article/news/0000076179/)。管理費が月2万円台を超えたことは業界でも注目されており、人件費や光熱費の上昇が管理コストに直接影響していることがわかります。
一方で、新築の修繕積立金が比較的低い点には注意が必要です。新築時は建物が新しいため積立額を低く設定し、年数が経つにつれて段階的に引き上げる「段階増額積立方式」を採用するケースが多いからです。国土交通省のマンション修繕積立金に関するガイドラインでは、新築で段階増額方式を採る場合、将来の負担増が自分の資金計画に無理がないか確認することが必要と明記されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf)。購入時の月額だけを見て「安い」と判断するのは危険です。
また、新築購入時には月額とは別に「修繕積立基金」という一時金が発生します。不動産流通経営協会のデータでは、2022年の首都圏新築マンションの修繕積立基金は平均67万6,043円でした(不動産流通経営協会 https://www.fudousan.or.jp/topics/2307/01_2.html)。この初期費用も含めた総コストで比較することが、正確な投資判断につながります。
中古マンションの管理費・修繕積立金の実態
中古マンションの管理費と修繕積立金は、築年数や規模によって大きく異なります。東京カンテイの流通分調査では、首都圏の築浅物件と築10年程度の物件を比較すると、築年数が上がるにつれて管理費は低下傾向にある一方、修繕積立金は増額傾向にあり、合計額で見ると両者の差は意外なほど小さいという結果が出ています(東京カンテイ https://www.kantei.ne.jp/wp-content/uploads/running-cost-chu2024.pdf)。
この数字から読み取れる重要なパターンがあります。築年数が上がるにつれて管理費は下がる一方、修繕積立金は増額傾向にあるという点です。同調査は「築20年前後までは修繕積立金は増額傾向、管理費は減額傾向」と整理しており、合計額で見ると新築と中古の差は意外なほど小さいことがわかります。
さらに直近のデータとして、2025年度に首都圏で成約した中古マンションの平均は管理費13,895円・修繕積立金13,910円・合計27,805円/月となっています(R.E.port https://www.re-port.net/article/news/0000081938/)。管理費と修繕積立金がほぼ同額水準まで近づいており、中古では修繕積立金の負担が管理費と並ぶほど重くなっているのが現状です。
投資判断で見落としがちな「積立金の充足度」
ワンルームマンション投資を含む区分所有投資では、月額の安さだけで物件を選ぶと大きなリスクを抱えることになります。特に中古物件では、修繕積立金が適切に積み立てられているかどうかを確認することが欠かせません。
国土交通省が公表している資料では、中古購入時の重要事項説明において、管理費・修繕積立金の月額だけでなく、管理組合に積み立てられている修繕積立金の総額と滞納額まで確認対象になると明記されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001615230.pdf)。また、前の所有者が管理費・修繕積立金を滞納していた場合、その滞納額を新しい買主が継承する契約になっていないか確認することも重要です(国土交通省 https://www.mansion-info.mlit.go.jp/manshion_kanri/329/)。
修繕積立金が安すぎる物件には別のリスクもあります。積立不足が続くと、大規模修繕の時期に一時金として数十万円単位の追加徴収が発生したり、修繕が先送りされて建物の資産価値が下がったりする可能性があるからです。国土交通省のガイドラインでは、20階未満・延床5,000㎡未満のマンションの修繕積立金の目安は235〜430円/㎡・月(平均335円/㎡・月)とされており(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf)、この水準を大きく下回る物件は将来の値上がりリスクが高いと考えるべきです。
物件の規模・階数・設備で変わる管理費の差
管理費と修繕積立金は、築年数だけでなく物件の規模や設備によっても大きく変わります。この点は新築・中古の比較と同様に、投資判断で見落とされやすいポイントです。
戸数が少ない小規模マンションは、共用部分の維持コストを少ない戸数で分担するため、1戸あたりの負担が大きくなります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、20戸以下の物件では管理費が月14,282円/戸、修繕積立金が月15,569円/戸であるのに対し、151〜200戸の物件では管理費9,540円/戸、修繕積立金12,213円/戸と、規模による差が明確に出ています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750163.pdf)。ワンルームマンション投資では小規模物件を選ぶケースも多いため、この点は特に注意が必要です。
また、タワーマンションや高層物件も修繕積立金の負担が軽くないことがわかっています。同調査では、20階建て以上の物件の修繕積立金平均は月14,025円/戸、11〜19階建ては12,423円/戸となっており、高層になるほど外壁工事や設備維持のコストが増す傾向があります。さらに、コンシェルジュサービスや豪華な共用施設を備えた物件は、規模に関係なく管理費が高くなりやすいことも覚えておきましょう。
まとめ
新築と中古のマンション投資における管理費・修繕積立金を比較すると、管理費は新築が高く中古が低い傾向がある一方、修繕積立金は新築が低く中古が高い傾向があります。合計額で見ると両者の差は意外と小さく、2025年度の首都圏中古成約データでは月27,805円、近年の首都圏新築データでは月29,000円前後と、大きな開きはありません。
投資判断で本当に重要なのは、月額の数字だけでなく「積立金が適切に積み立てられているか」「将来の値上がりリスクはないか」「物件の規模や設備に見合った水準か」という視点です。特に中古物件では、重要事項説明で積立金の残高と滞納状況を必ず確認し、修繕積立金が安すぎる物件には慎重に向き合うことが大切です。管理費・修繕積立金を差し引いた実質的な収益で物件を評価する習慣をつけることが、長期的に安定したマンション投資への第一歩となります。
参考文献・出典
- 国土交通省 令和5年度マンション総合調査(管理組合向け調査結果) — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750163.pdf
- 国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf
- 国土交通省 取引時におけるマンション管理に関する情報開示 参考資料 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001615230.pdf
- 国土交通省 マンション管理情報サービス(管理状況チェックシート) — https://www.mansion-info.mlit.go.jp/manshion_kanri/329/
- e-Stat 令和5年度マンション総合調査結果 — https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?fileKind=2&statInfId=000040188314
- R.E.port 首都圏の新築マンション管理費、初の2万円台(東京カンテイ調査) — https://www.re-port.net/article/news/0000076179/
- 不動産流通経営協会 新築マンションの月額管理費・修繕積立金(2023年7月) — https://www.fudousan.or.jp/topics/2307/01_2.html
- 東京カンテイ 2024年 首都圏の築10年物件における管理費&修繕積立金 — https://www.kantei.ne.jp/wp-content/uploads/running-cost-chu2024.pdf
- R.E.port 首都圏既存マンション、管理費+修繕費は2万7,805円(2026年5月) — https://www.re-port.net/article/news/0000081938/
- LIFULL HOME’S 修繕積立金・管理費にも値上げの波(2025年6月) — https://www.homes.co.jp/cont/press/report/report_00509/