年収1,500万円という収入を得るようになると、毎月の家賃にいくらまで支払えるのか、そして賃貸を続けるべきか住宅を購入すべきかという新たな悩みが生まれてきます。国税庁の民間給与実態統計調査によれば、年収1,500万円を超える給与所得者は全体のごく一部にとどまり、この収入層ならではの住まい選びの考え方があります。
本記事では、年収1,500万円の方が押さえておくべき適正家賃の水準を手取り額から明確にした上で、二人世帯の家賃相場や賃貸契約にかかる初期費用、さらに購入という選択肢まで、公的データや大手不動産メディアの調査を交えながら具体的に解説していきます。
年収1500万円の手取り額と適正家賃を正しく理解する
年収1,500万円と聞くと大きな金額に思えますが、実際に手元に残る金額はそれよりもかなり少なくなります。所得税や住民税、社会保険料を差し引くと、手取りは年間おおよそ1,000万円前後になるのが一般的です。月額に換算すると80万円台が実際に使える金額の目安となり、この数字を基準に家計を組み立てていく必要があります。ただし、扶養人数やボーナス比率、社会保険の加入形態によって手取り額は変わるため、正確な金額はご自身の給与明細で確認することをおすすめします。
では、この手取り額に対してどの程度の家賃が適正なのでしょうか。家賃の目安としてよく使われるのが「手取り額の3割まで」という基準です。大手不動産情報サイトのSUUMOによると、この目安に沿って計算すると、年収1,500万円・世帯年収1,500万円の二人世帯の家賃目安は約25万円から27万円になるとされています。この水準であれば、貯蓄や教育費、その他の支出にも余裕を持った暮らしが実現しやすいでしょう。
もっとも、この目安はあくまで一般的な整理にすぎません。実際の適正家賃は、子どもの有無や私立学校の教育費、車の保有、旅行などの支出傾向によって大きく変わってきます。支出が多い世帯であれば家賃を目安より抑える判断が必要ですし、逆に堅実な生活をしている世帯なら、もう少し家賃に余裕を持たせても問題ないケースがあります。つまり、25万円から27万円という数字を出発点としながら、自分の家計全体を見渡して調整していく姿勢が大切です。
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年収1500万円層が検討しやすい東京の家賃相場
実際に住まいを探す際には、エリアごとの相場感を把握しておくことが欠かせません。年収1,500万円の二人世帯であれば、2LDKや3DKといった間取りが現実的な選択肢になります。SUUMOが公開している東京都の賃貸相場を見ると、この間取りクラスの家賃は区によって大きく異なります。
たとえば2LDKクラスの相場は、江東区で約23.6万円、文京区で約25.7万円と、目安の範囲内に収まるエリアもあります。一方で、品川区は約28.4万円、中央区は約29.0万円、港区にいたっては約47.2万円と、都心の人気エリアでは家賃目安の上限を超える水準になります(数値は取得時点の目安のため、最新の相場はSUUMO公式サイトでご確認ください)。同じ23区内でも家賃には大きな開きがあるため、収入に見合った暮らしを実現するには、エリア選定が非常に重要な意味を持ちます。
賃貸マンションの賃料相場は近年、全体的に高い水準で推移しています。不動産情報サービスの調査によると、2026年5月時点で東京23区の分譲マンション賃料は5,078円/㎡となっており、各築年帯の賃料は高水準で安定しています。首都圏全体で見ても4,000円/㎡台を維持しており、賃料が下がりにくい環境が続いています。人気エリアで希望の物件を探す場合は、こうした相場上昇を前提に予算を組んでおくと安心です。
賃貸契約でかかる初期費用を把握しておく
家賃の目安を決めたら、契約時にまとまって必要になる初期費用も忘れずに見積もっておく必要があります。SUUMOの解説によれば、賃貸契約の初期費用の総額は、ざっくり家賃の4.5カ月から5カ月分を見ておくのが目安とされています。仮に家賃25万円の物件を契約する場合、初期費用は110万円から125万円程度になる計算です。
この初期費用には、敷金や礼金、仲介手数料、前家賃がそれぞれ1カ月分程度含まれるほか、保証料や火災保険料なども加わります。国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査を見ると、敷金・保証金があった世帯は全体の57.7%で、その月数は1カ月ちょうどが最も多くなっています。礼金についても、あった世帯は42.6%で、こちらも1カ月ちょうどが最多です。物件によって条件は異なるため、契約前に内訳をしっかり確認しておくことが大切です。
なお、同じ調査によると民間賃貸住宅の入居時家賃の平均は月額77,677円、中央値は70,000円であり、平均世帯年収は486万円となっています。年収1,500万円層は賃貸市場全体で見れば上位に位置しており、選べる物件の幅も広い立場にあります。また、勤務先から住宅手当を受けている世帯は全体の23.8%で、その平均額は月額31,428円です。住宅手当や借上社宅の制度がある会社に勤めている場合は、実質的な住居費負担を大きく抑えられるため、制度の有無を踏まえて家賃予算を検討するとよいでしょう。
賃貸か購入か――高年収層が考えるべき選択
年収1,500万円という収入があると、賃貸を続けるだけでなく住宅購入も現実的な選択肢に入ってきます。月25万円の家賃を10年間払い続けると総額は3,000万円に達するため、その支出を資産形成につなげたいと考える方も少なくありません。ここでは、購入を検討する際に知っておきたいポイントを整理します。
まず気になるのが、どのくらいの金額を借りられるかという点です。SUUMOの試算によると、年収1,500万円の方が返済期間35年で住宅ローンを組む場合、固定金利2.3%なら約1億2,627万円、変動金利0.7%なら約1億6,312万円が借入可能額の目安になるとされています。ただし、審査金利を3%で計算すると約1億1,381万円、4%では約9,892万円と、金利の前提によって大きく変わります。借入可能額いっぱいまで借りるのではなく、余裕を持った返済計画を立てることが賢明です。
公的な融資制度である「フラット35」も選択肢の一つです。住宅金融支援機構によると、フラット35の総返済負担率は年収400万円以上なら35%以下という基準が設けられており、借入額の上限は2026年4月から1億2,000万円に引き上げられています。2026年7月時点の最頻金利は、返済期間21年から35年で年3.14%となっています。ただし、フラット35は自分または親族が住むための住宅が前提であり、第三者に賃貸する投資用物件には利用できない点に注意が必要です。
住宅ローン控除の活用と所得要件に注意
住宅を購入して住宅ローンを組むと、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)によって税負担を軽減できる可能性があります。これは、年末のローン残高に応じて所得税などが控除される制度です。国税庁の資料によれば、控除率は0.7%で、控除期間は原則として13年間とされています。
ただし、年収1,500万円の方が特に注意したいのが所得要件です。住宅ローン控除を受けるには、控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下である必要があります。年収と所得は異なる概念で、給与所得控除などを差し引いた後の金額が所得となりますが、収入が高い年には所得が2,000万円を超えて控除が受けられなくなるケースもあります。このほか、住宅取得後6か月以内に入居すること、床面積が50㎡以上であること、返済期間が10年以上であることといった要件も定められています。適用の可否は個別の事情によって異なるため、最新の要件は国税庁の公式サイトで確認してください。
物件選びと資金計画で失敗を避けるポイント
賃貸・購入のいずれを選ぶにしても、無理のない資金計画が成功の土台になります。特に購入の場合は、月々のローン返済だけでなく、管理費や修繕積立金、固定資産税、火災保険料といった継続的な費用が発生します。賃貸の家賃と単純に比較すると見落としがちなこれらのコストまで含めて、総住居費で判断することが欠かせません。
また、東京23区の中古マンション価格は高い水準が続いています。不動産情報サービスの調査によると、2026年4月時点で東京23区の中古マンション70㎡価格は12,724万円と、24か月連続で上昇しています。首都圏全体でも7,225万円と21か月連続の上昇となっており、購入のハードルは決して低くありません。こうした価格高騰が続く局面では、焦って購入せず、賃貸で柔軟性を保つという判断にも十分な合理性があります。
転勤の可能性がある方や、数年後にライフスタイルが変わる見込みがある方にとっては、賃貸のほうが機動的に住み替えられるメリットがあります。逆に、長く同じ地域に住む予定があり、物件価格や金利の条件が整っているなら、購入によって資産を積み上げる選択が有利に働くこともあります。どちらが正解かは一概に言えず、家族構成や勤務先の制度、将来のライフプランを総合的に見て判断することが重要です。
よくある質問
年収1500万円で家賃はいくらまで払えますか?
手取り額の3割という目安に沿うと、二人世帯の家賃目安は約25万円から27万円とされています。この範囲内であれば貯蓄や教育費にも余裕を持った生活が可能です。ただし、子どもの有無や教育費、車の保有などによって適正額は変わるため、家計全体を見て調整することをおすすめします。
賃貸契約の初期費用はどのくらいかかりますか?
初期費用の総額は、おおむね家賃の4.5カ月から5カ月分が目安とされています。家賃25万円の物件なら110万円から125万円程度が目安です。内訳には敷金・礼金・仲介手数料・前家賃がそれぞれ1カ月分程度、加えて保証料や火災保険料が含まれます。物件によって条件が異なるため、契約前に内訳を確認しましょう。
年収1500万円なら住宅ローンはいくら借りられますか?
返済期間35年の場合、固定金利2.3%なら約1億2,627万円、変動金利0.7%なら約1億6,312万円が目安とされています。ただし審査金利によって借入可能額は下がるため、借りられる上限いっぱいではなく、余裕を持った返済計画を立てることが大切です。
まとめ
年収1,500万円・二人世帯にとって、適正な家賃目安は月額25万円から27万円程度とされています。ただし、これはあくまで手取りの3割という一般的な目安であり、家族構成や支出傾向、住宅手当の有無によって最適な水準は変わってきます。まずは自分の手取り額と家計全体を正確に把握することが、住まい選びの第一歩です。
賃貸を続けるか、住宅を購入するかは、ライフプランや勤務先の制度、物件価格や金利の動向を総合的に見て判断すべきテーマです。購入を検討する場合は、住宅ローン控除の所得要件やフラット35の利用条件、そして管理費や固定資産税まで含めた総住居費を丁寧に見積もることが欠かせません。制度や金利は変化するため、最新情報は国税庁や住宅金融支援機構などの公式サイトで確認し、信頼できる専門家と相談しながら、自分に合った住まいの形を選んでいきましょう。
参考文献・出典
- 国税庁 マイホームを持ったとき(住宅借入金等特別控除など) – https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/pdf/14.pdf
- 国土交通省 令和6年度 住宅市場動向調査 報告書 – https://www.e-stat.go.jp/
- 住宅金融支援機構 フラット35 ご利用条件 – https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/conditions/index.html
- 住宅金融支援機構 フラット35 新規借入れをご検討の方 – https://www.flat35.com/loan/
- SUUMO 年収1500万円の家賃相場 – https://suumo.jp/
- 東京カンテイ 賃料・中古マンション価格レポート – https://www.kantei.ne.jp/