不動産投資の基礎

土地総合情報システムは廃止|後継サービス完全ガイド

不動産投資を始めようとしたとき、「土地の相場がわからない」「どこで取引価格を調べればいいのか」と悩んだ経験はありませんか。かつて多くの投資家や購入検討者に活用されていた「土地総合情報システム」ですが、実はすでに廃止されており、現在は後継サービスへ移行しています。この記事では、旧システムの廃止の経緯から新しい「不動産情報ライブラリ」の具体的な使い方、データを読むうえでの注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。不動産の取引価格や地域の相場を正確に把握することは、投資判断の精度を高める第一歩です。ぜひ最後まで読んで、実際の調査に役立ててください。

土地総合情報システムはすでに廃止されている

まず押さえておきたいのは、「土地総合情報システム」は現在利用できないという点です。国土交通省によると、取引価格情報を掲載していた土地総合情報システムは令和6年(2024年)3月末で廃止されました。(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000069.html)長年にわたり相場調査の定番として使われてきたサービスだけに、廃止を知らずに旧システムを探し続けている方も少なくありません。

廃止後の取引価格情報は、2024年4月1日から「不動産情報ライブラリ」という新しいサービスに引き継がれています。運用開始は同日の午前10時からと公式に告知されており、それ以降は後継サービスで取引価格を閲覧できるようになりました。(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo17_hh_000001_00032.html)つまり、現在「土地総合情報システムで調べたい」と考えている方は、不動産情報ライブラリを使うことが正しい選択肢となります。

なお、この取引価格情報は一朝一夕に集められたものではありません。平成18年(2006年)4月から不動産取引の当事者へのアンケート調査をもとに情報を蓄積してきており、令和7年(2025年)3月31日時点で累計約547万件に達しています。(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000069.html)長年の蓄積が後継サービスにそのまま引き継がれているため、旧システムの利用者も安心して移行できます。

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不動産情報ライブラリとはどんなサービスか

不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営するWebGIS(地図情報システム)です。WebGISとは、インターネット上で地図と各種データを組み合わせて表示できるシステムのことで、専門的な知識がなくても直感的に操作できます。旧システムが取引価格の検索を中心としていたのに対し、後継サービスは価格・周辺施設・防災・都市計画などを一枚の地図に重ね合わせて表示できるよう設計されています。(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo17_hh_000001_00032.html)

このサービスの大きな特徴は、特別なソフトウェアのインストールが不要な点です。パソコンのブラウザからアクセスするだけで利用でき、スマートフォンやタブレットにも対応しています。(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo17_hh_000001_00032.html)そのため、物件の内見中にその場で周辺の取引価格を確認するといった使い方も可能です。外出先でも手軽に相場を調べられるのは、実務で動く投資家にとって大きな利点です。

地図に重ねられる情報のカテゴリは非常に豊富です。地価公示や取引価格などの価格情報に加え、周辺施設・防災・都市計画・人口情報などをまとめて確認できます。人口情報については将来推計人口が500mメッシュ単位で整備され、2050年まで5年刻みで表示されるため、長期の需要見通しを立てる際の参考になります。(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo17_hh_000001_00032.html)価格の安さの背景を探るうえでも、これらの情報を一画面で重ねられる意義は大きいといえます。

取引価格を調べる基本的な手順

実際に取引価格を調べる方法を見ていきましょう。不動産情報ライブラリでは、住所から検索する方法と路線・駅名から検索する方法の2通りが用意されています。(国土交通省 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/)検索対象となる価格情報は「不動産取引価格情報」と「成約価格情報」の2種類があり、両方をまとめて指定することもできます。

住所から検索する場合は、都道府県・市区町村・地区をプルダウンメニューで選択します。ポイントは、都道府県さえ選択されていれば、市区町村や地区まで細かく指定しなくても検索を実行できる点です。広いエリアの相場を大まかに把握したいときは、都道府県だけを選んで検索するのも一つの方法です。一方、路線・駅名から検索する場合は、地方・路線・駅の順に絞り込みます。この方法では駅名まで指定する必要がありますが、途中まで入力すれば候補が表示される補助入力が使えるため、正確な駅名がわからなくても検索できます。(国土交通省 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/)

ここで知っておきたいのが、成約価格情報とは何かという点です。成約価格情報は、指定流通機構(レインズ)が保有する取引価格情報を、国土交通省が個別の取引を特定できないよう加工したうえで公表しているデータです。(不動産情報ライブラリ 利用規約 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/termsOfUse/)ただし成約価格情報で検索できるのは「土地と建物(戸建て)」と「中古マンション等」に限られる点に注意が必要です。(国土交通省 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/)

検索可能な期間もあらかじめ把握しておくと便利です。不動産取引価格情報は検索画面では2005年(平成17年)7月以降を、成約価格情報は2021年(令和3年)2月以降をカバーしています。(不動産情報ライブラリ 掲載コンテンツ一覧 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/contents/)検索結果は一覧形式で表示され、条件に合うデータはCSVファイルとしてダウンロードできます。ダウンロードしたデータをExcelなどで加工すれば、複数エリアの価格比較や独自分析にも活用でき、投資判断の資料作りに役立ちます。(国土交通省 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/)

検索結果を深く読み解く機能

検索結果の一覧画面には、相場を掘り下げて分析するための機能が用意されています。所在地や最寄駅で表示データを絞り込んだり、金額や築年などの列を昇順・降順に並べ替えたりできるほか、文字・数値・空白・チェックボックスといった各種フィルタで条件を細かく設定できます。(国土交通省 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/)単に一覧を眺めるだけでなく、自分の関心に合わせてデータを整理できる点が便利です。

さらに、最寄駅や前面道路のリンクをクリックすると散布図が表示され、駅からの距離や道路条件が価格にどう影響しているかを視覚的に確認できます。各取引の詳細画面からは、周辺の地価公示や都道府県地価調査へ直接遷移できるため、公的な評価額と実際の取引価格を照らし合わせながら相場観を養えます。(国土交通省 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/)

エリア全体の価格傾向を把握したいときは「土地取引価格の概況」機能が役立ちます。地域と土地の種類を選ぶと、標本数とともに土地単価の平均値・標準偏差・最小値・第1四分位数・中央値・第3四分位数・最大値といった基本統計量を確認できます。ただし標本数が10件未満のエリアでは数値の信頼性が下がるため、その場合は括弧付きで表示される仕組みになっています。(国土交通省 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/)平均値だけでなく中央値や四分位数まで見ることで、一部の高額取引に相場観が引っ張られるのを避けられます。

地図表示機能を活用した相場の読み方

地図表示機能は、不動産情報ライブラリの中でも特に使いこなしたい機能の一つです。住所検索では都道府県・市区町村・町字・丁目を指定し、路線・駅検索では路線名と駅名を入力すると、該当エリアの地図が表示されます。地図が開いたら、右側のパネルから表示したいコンテンツのカテゴリを選び、オン・オフを切り替えるだけで必要な情報を重ねられます。(不動産情報ライブラリ 地図の利用方法 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/map/manual/)

地図上に表示されたアイコンやエリアをクリックすると、その名称や代表的な属性情報がポップアップで表示されます。取引価格のポイントをクリックすれば、その取引の概要をその場で確認できます。(不動産情報ライブラリ 地図の利用方法 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/map/manual/)ただし、地図画面で表示できる取引価格の期間は直近5年分に限られています。それ以前のデータを確認したい場合は、前述の価格情報の検索画面を利用してください。(不動産情報ライブラリ 掲載コンテンツ一覧 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/contents/)

投資判断に活かすには、価格だけでなく複数の情報を組み合わせて読み解くことが大切です。たとえば周辺の取引価格が低いエリアでは、防災情報を重ねることで浸水や土砂災害のリスクが背景にある場合が見えてきます。都市計画情報を確認すれば、用途地域や再開発の手がかりも得られます。人口情報も見逃せません。賃貸需要は人口動態と密接に関わっており、人口が減少傾向のエリアでは将来の空室リスクが高まる可能性があります。価格の安さには必ず理由があるため、複数の情報レイヤーを重ねて確認する習慣をつけましょう。

データを鵜呑みにしないための注意点

便利なサービスである一方、データの性質を理解して使うことが欠かせません。国土交通省の利用規約によると、不動産情報ライブラリのコンテンツは情報の精度や更新時期の違いにより、重ね合わせた際に位置のズレが生じる場合があり、すべての地域を網羅しているわけでもありません。(不動産情報ライブラリ 利用規約 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/termsOfUse/)表示された内容を絶対的なものと考えず、あくまで参考情報として扱う姿勢が重要です。

とりわけ実務上注意したいのが、このサービスがあくまで参考情報であり、重要事項説明や建築確認申請などの手続に用いることを保証していない点です。(不動産情報ライブラリ 利用規約 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/termsOfUse/)たとえば水害リスクを重要事項説明で示す際には、ライブラリ内の防災情報ではなく、水防法に基づき市町村が作成した水害ハザードマップを使う必要があります。(不動産情報ライブラリ Q&A https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/contact/)

価格データそのものにも独特のルールがあります。不動産取引価格情報等は四半期ごとに追加されますが、掲載後も順次追加される可能性があるほか、同一の取引が不動産取引価格情報と成約価格情報の双方に掲載される場合もあります。(不動産情報ライブラリ 利用規約 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/termsOfUse/)また面積などには丸め処理が施されており、200㎡未満は5㎡刻み、200㎡以上は上位2桁の表示、2,000㎡以上の大規模取引は「2,000㎡以上」とまとめて表示されます。数値がおおまかに丸められている点を踏まえて読み取りましょう。(不動産情報ライブラリ 用語の説明 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/about/)

データ分析を効率化するAPIと補完サービス

データ分析に慣れてきた方には、公開APIの活用も選択肢に入ります。不動産情報ライブラリのAPIは出力形式としてPBFおよびGeoJSONに対応し、位置情報を持つAPIではXYZ形式でタイルを指定してデータを取得できます。(不動産情報ライブラリ API操作説明 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/apiManual)ただし利用には手続が必要で、API利用規約に同意のうえ申請し、審査・承認を経てAPIキーが発行される流れです。同一のAPIキーで短期間に多数のリクエストを送るとアクセス制限がかかる点にも注意してください。(不動産情報ライブラリ API操作説明 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/apiManual)なお、利用許諾条件によりコンテンツの全体または一部が非商用となっているものもあるため、商用利用の際は条件の確認が欠かせません。(不動産情報ライブラリ Q&A https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/contact/)

不動産情報ライブラリだけで調査が完結しない場面も多いため、補完サービスを組み合わせると調査の精度が高まります。所有者や権利関係を確認したいときは、法務省の登記情報提供制度が役立ちます。この制度では、登記所が保有する登記情報を、一般利用者が自宅や事務所のパソコンからインターネット経由で確認できます。(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25)

価格評価をさらに掘り下げたい場合は、全国地価マップも参考になります。全国地価マップでは、固定資産税路線価等・相続税路線価等・地価公示価格・都道府県地価調査価格の4種類の公的土地評価情報を確認できます。(全国地価マップ https://www.chikamap.jp/)また、災害リスクを重要事項説明レベルまで確認したいときは、国土地理院が案内するハザードマップポータルサイトが有効です。全国の情報を一枚の地図に重ねられる「重ねるハザードマップ」と、市区町村が公開する各種ハザードマップを検索できる「わがまちハザードマップ」で構成されています。(国土地理院 https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri61053.html)

まとめ

「土地総合情報システム」は2024年3月末に廃止され、現在は後継サービスの「不動産情報ライブラリ」が取引価格情報の調査窓口となっています。特別なソフト不要で誰でも無料で使え、取引価格の検索だけでなく、防災・都市計画・人口情報などを地図上で重ねて確認できる点が大きな強みです。一方で、位置ズレや非網羅、丸め処理といったデータの性質を理解し、あくまで参考情報として扱うことも同じくらい重要です。

不動産投資で成功するには、感覚や口コミに頼るのではなく、公的データに基づいた客観的な相場把握が欠かせません。不動産情報ライブラリを軸に、登記情報提供制度や全国地価マップ、ハザードマップポータルサイトといった補完サービスを組み合わせれば、物件の割安・割高やエリアの将来性を多角的に見極められます。まずは気になるエリアを検索してみることから始めてみてください。一歩ずつ使い方を覚えていくことが、確かな投資判断力を身につける近道です。

参考文献・出典

  • 国土交通省 不動産取引価格情報提供制度 — https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000069.html
  • 国土交通省 報道発表資料「不動産情報ライブラリ」の運用を開始します — https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo17_hh_000001_00032.html
  • 不動産情報ライブラリ 不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード マニュアル — https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual/
  • 不動産情報ライブラリ 掲載コンテンツ一覧 — https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/contents/
  • 不動産情報ライブラリ 利用規約 — https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/termsOfUse/
  • 不動産情報ライブラリ 地図の利用方法 — https://www.reinfolib.mlit.go.jp/map/manual/
  • 不動産情報ライブラリ 用語の説明 — https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/about/
  • 不動産情報ライブラリ Q&A・問い合わせ — https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/contact/
  • 不動産情報ライブラリ API操作説明 — https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/apiManual
  • 法務省 登記情報提供制度の概要について — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25
  • 国土地理院 ハザードマップポータルサイトを活用して災害に備えよう — https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri61053.html

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