この記事の結論
- 恵泉女学園大学は2023年3月に2024年度以降の学生募集停止を決定し、閉学した。
- 跡地の一部はすでに国士舘大学が取得し「多摩南野キャンパス」として運用中。
- 多摩市の土地相場データは教育施設としての用途を維持する方針で、跡地の環境悪化を防ぐ姿勢を示している。
「恵泉女学園大学の跡地は今どうなっているの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。大学が閉学するというニュースは地域に大きな衝撃を与えますが、その後の跡地活用については情報が断片的で、全体像をつかみにくいのが実情です。この記事では、恵泉女学園大学がなぜ閉学に至ったのか、跡地は現在どのように使われているのか、そして多摩市の都市計画や周辺の不動産環境にどう影響しているのかを、公式情報をもとに整理してお伝えします。
恵泉女学園大学が閉学した経緯

まず押さえておきたいのは、恵泉女学園大学の閉学が突然の出来事ではなく、少子化という長期的な構造問題を背景にした苦渋の決断だったという点です。
学校法人恵泉女学園は、2023年3月20日に開催した理事会において、2024年度以降の恵泉女学園大学・大学院の学生募集停止を正式に決定しました(出典:恵泉女学園大学公式サイト)。公式発表の文中には「閉学を前提とした募集停止という苦渋の決断」という言葉が明記されており、大学側が相当の検討を重ねた末の結論であることが読み取れます。
少子化の進行に伴い、地方・郊外に立地する中小規模の私立大学を中心に、定員割れや経営難が深刻化しています。恵泉女学園大学も多摩丘陵の緑豊かな環境に位置する女子大学として長年の歴史を持ちましたが、学生数の減少という構造的な課題に抗しきれなかったというのが実態です。閉学の決定は、在学生への影響を最小限にとどめるための配慮とともに行われ、既存の在学生については卒業まで教育が継続されました。
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跡地の現在:国士舘大学「多摩南野キャンパス」として活用

跡地がどうなったのかという点については、すでに明確な答えが出ています。恵泉女学園大学の南野校舎跡地は、学校法人国士舘が取得し「多摩南野キャンパス」として運用を開始しています(出典:学校法人国士舘 2019年度事業報告書)。
国士舘大学の公式情報によると、多摩南野キャンパスは「防災教育・研究の拠点および大学院の研究施設を有するキャンパス」として位置づけられています(出典:国士舘大学公式サイト)。具体的には、防災・救急救助総合研究所や大学院の研究施設、そして体操競技部の練習場として活用されており、既存の建物のうち複数棟が改修されて使用されています。
国士舘大学の発表によれば、工事は「8棟ある建物のうち3棟の一部となる教室や体育施設の改修」として進められました(出典:国士舘大学公式サイト)。つまり、すべての建物が解体・撤去されたわけではなく、既存の校舎を活かしながら新たな用途に転換するという形が取られています。ただし、取得範囲の詳細な地番や面積、売買契約の条件については2026年10月時点で公表されていません。
多摩市の都市計画と今後の方針

跡地の一部が国士舘大学に活用されている一方で、多摩市全体としての都市計画の観点からも、この地区の動向は注目されています。
多摩市は、南野二丁目地区について「教育施設としての位置付けの維持・保全を図りつつ、学校用途の拡大を行う方針」を示しています(出典:多摩市公式ホームページ、2026年2月26日)。これは、この地区が今後も教育関連の用途で活用されることを前提とした都市計画上の方針であり、住宅地や商業施設への転換を想定したものではありません。
一方で、2025年11月に開催された多摩市都市計画審議会の議事録には、「恵泉女学園大学の後の利用者がなかなか見つからないのではないか」「事業者が見つからなくて環境が悪化するのではないかというところが気になる」という懸念の声が記録されています(出典:令和7年度第3回多摩市都市計画審議会議事録)。これに対して市側は、「利活用がされず環境が悪化することは市としても望むものではない」と応じており、跡地の適切な活用に向けた姿勢を明確にしています。
跡地全体の最終的な用途変更の確定情報は、2026年10月時点では公表されていません。国士舘大学が取得・活用しているのは跡地の一部とされており、残りの部分についての具体的な計画は引き続き注目が必要です。
周辺の不動産環境への影響を考える
大学の閉学と跡地の変化は、周辺地域の不動産環境にも少なからず影響を与えます。一般的に、大学は地域の人口流入や商業活動を支える重要な存在であり、閉学によって学生向けの賃貸需要が減少するケースが多く見られます。
多摩市の南野・百草園エリアは、京王相模原線沿線に位置し、自然環境が豊かな住宅地として知られています。大学の閉学によって学生向けの賃貸需要は一定程度減少したと考えられますが、一方でファミリー層や自然環境を好む居住者にとっての魅力は変わりません。跡地が国士舘大学のキャンパスとして活用されることで、大学関係者の往来は続いており、地域の活気が完全に失われたわけではないといえます。
また、多摩市が教育施設としての用途維持を都市計画上の方針として明示していることは、跡地が突然大規模な商業開発や高層マンション建設の場になるリスクが低いことを示しています。これは周辺の住環境の安定という観点から、既存の居住者にとってはプラスの要素と捉えることもできます。ただし、不動産価格や賃料の動向は個別の物件条件や市場全体の動きに左右されるため、具体的な影響については最新の市場情報を確認することをおすすめします。
まとめ
恵泉女学園大学は2023年3月に閉学を決定し、その跡地の一部はすでに国士舘大学が取得して「多摩南野キャンパス」として活用しています。防災研究や大学院施設、体操競技部の練習場として既存の建物が改修・利用されており、跡地が完全に更地になったわけではありません。多摩市は教育施設としての用途維持を都市計画の方針として掲げており、跡地の環境悪化を防ぐ姿勢を示しています。一方で、跡地全体の最終的な活用計画については2026年10月時点で未確定の部分も残っており、今後の動向を引き続き注視することが大切です。周辺の不動産環境への影響を含め、最新情報は多摩市の公式サイトや国士舘大学の発表でご確認ください。
参考文献・出典
- 恵泉女学園大学 公式サイト「恵泉女学園大学・大学院 学生募集停止のお知らせ」 — https://www.keisen.ac.jp/other/post-1428.html
- 学校法人国士舘「2019年度事業報告書」 — https://www.kokushikan.ac.jp/houjin/disclosure/business_reports/docs/conventionreport_H31.pdf
- 国士舘大学 公式サイト「新たな教育支援施設『多摩南野キャンパス』4月から運用開始」 — https://www.kokushikan.ac.jp/news/000595.html
- 国士舘大学 公式サイト「多摩南野キャンパス」 — https://www.kokushikan.ac.jp/information/campus/tamaminamino/
- 多摩市公式ホームページ「南野二丁目地区地区計画の変更(原案)に関する説明会・意見書の受付を実施しました」 — https://www.city.tama.lg.jp/kurashi/machi/toshi/chiku/1018180/1018181.html
- 多摩市「令和7年度第3回多摩市都市計画審議会 議事録」 — https://www.city.tama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/018/780/gijiroku251128.pdf