この記事の結論
- フルローンで始めると空室増加・金利上昇が重なった際に赤字化しやすく、自己資金の確保が最重要です。
- 利回りだけで地方の築古アパートを選ぶと空室リスクに悩まされ、初心者には基本的に不向きです。
- 青色申告や減価償却の仕組みを理解しないまま始めると、税務面でも損をする可能性があります。
サラリーマンとしての安定収入を活かしてアパート経営に挑戦したものの、思うような結果が出ずに悩んでいる方は少なくありません。「副業として始めたはずが、毎月赤字になってしまった」「空室が続いてローンの返済が苦しい」という声は、不動産投資の現場でよく聞かれます。この記事では、サラリーマン大家が陥りやすい失敗パターンとその原因を具体的に解説し、リスクを回避するための考え方をわかりやすくお伝えします。これからアパート経営を検討している方にも、すでに始めている方にも役立つ内容です。ぜひ最後までお読みください。
フルローンが招く資金繰りの崩壊

アパート経営で最も多い失敗の入り口は、自己資金をほとんど用意しないまま始めることです。サラリーマンは安定した給与収入があるため金融機関の審査を通りやすく、フルローン(物件購入費用の全額を融資で賄う形)で物件を取得するケースが見られます。しかし、この選択が後々の経営を大きく圧迫することになります。
たとえば、30代の公務員が初期費用をほとんど用意せずにフルローンでアパートを購入したケースがあります(ノムコム・プロ)。購入当初は家賃収入がローン返済額を上回っており、順調に見えていました。ところが年数が経つにつれて空室が増え、家賃も下落し、さらに金利上昇が重なることで収支が一気に悪化したのです。このように、フルローンは「余裕がない状態」でスタートすることを意味し、想定外の出来事が起きたときに対処できなくなります。
自己資金の目安として、ある程度の金額を手元に用意しておくことが重要とされています。これは融資審査を有利に進めるだけでなく、月々の返済額を抑えてキャッシュフローに余裕を生む効果もあります。また、修繕費や空室期間中の返済に備えた予備資金も別途確保しておくことが大切です。資金計画の段階で「最悪のシナリオ」を想定しておくことが、長期的な経営安定の基盤となります。
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利回りだけで物件を選ぶ危険性

物件選びの段階での判断ミスも、サラリーマン大家が失敗する大きな原因のひとつです。特に「表面利回りが高い」という理由だけで地方の築年数が経過した一棟アパートを購入するケースは、初心者にとって非常にリスクが高いとされています(日本財託タイムズ)。
表面利回りとは、年間の家賃収入を物件価格で割った数値のことです。この数値が高いほど収益性が良さそうに見えますが、実際には空室率・修繕費・管理費などを差し引いた「実質利回り」で判断しなければなりません。地方の築古物件は価格が安いために表面利回りが高く見えますが、入居者が集まりにくく、修繕コストも増大しやすいという現実があります。
実際に、ある会社員が相続した土地をきっかけに1億円程度を借りて新築した賃貸アパートでも、築5年を超えたあたりから空室が増加し、修繕費の増大と家賃下落が重なり、築11年時点で収入が当初計画の70%まで落ち込んだ事例があります(全国任意売却協会)。新築でさえこのような状況になるのですから、築年数が経過した物件を利回りだけで選ぶことは、初心者には特に危険な判断です。物件を選ぶ際は、エリアの人口動態・賃貸需要・競合物件の状況を丁寧に調べることが不可欠です。
金利上昇リスクを甘く見た失敗
変動金利でアパートローンを組んでいる場合、金利の上昇が経営を直撃するリスクがあります。金利が低い時期に「変動金利の方が返済額が少ない」と判断してローンを組んだものの、その後の金利上昇で返済負担が大幅に増えてしまうケースは、決して珍しくありません。
具体的には、金利が1%から3%に上昇することで毎月の返済額が増加し、家賃収入の大半が返済に充てられて修繕費用を捻出できなくなるという失敗パターンがあります(フィル・パークマガジン)。修繕ができなければ物件の劣化が進み、さらに空室が増えるという悪循環に陥ります。また、金利上昇に伴って物件の資産価値が下落することも多く、売却によって損失を確定させざるを得ない状況になることもあります。
変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは、自分のリスク許容度と返済余力を踏まえて慎重に判断する必要があります。一般的には、返済期間が長いほど金利変動の影響を受けやすくなります。複数の金融機関の条件を比較し、金利が上昇した場合のシミュレーションも必ず行っておきましょう。
サブリース契約の落とし穴
「家賃保証があるから安心」という言葉に惹かれてサブリース契約付きの物件を購入するサラリーマン大家も多くいます。しかし、サブリース契約は初めて不動産投資に取り組む方には不向きとされており、注意が必要です(日本財託タイムズ)。
サブリースとは、管理会社が物件をまるごと借り上げてオーナーに一定の家賃を支払い、管理会社が入居者に転貸する仕組みです。一見すると空室リスクがなくなるように見えますが、実際には契約内容によって家賃が減額されることがあり、当初の収支計画が崩れるケースがあります。また、管理会社が倒産した場合には保証が受けられなくなるリスクもあります。
国土交通省は、賃貸住宅管理業の適正化とオーナーが安心して管理委託できる環境整備を制度目的として掲げており、管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者には国土交通大臣への登録を義務付けています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/how_to_register.html)。管理会社を選ぶ際は、この登録の有無を確認することが最低限のチェックポイントとなります。サブリース契約の内容は必ず専門家に確認してから締結することを強くお勧めします。
税務の知識不足が損失を拡大させる
アパート経営で得た収入は「不動産所得」として課税対象となります。国税庁によると、不動産所得の金額は「総収入金額 − 必要経費」で計算され、必要経費には固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費などが含まれます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm)。これらの経費を正しく計上できるかどうかで、納税額は大きく変わります。
特に減価償却費は、建物の取得費用を耐用年数にわたって分割して経費計上できる仕組みです。この制度を理解していないと、本来計上できる経費を見落として余分な税金を払うことになります。ただし、国税庁は減価償却資産の少額特例について、貸付けの用に供した資産には適用制限があると案内しており(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm)、詳細は税理士などの専門家に確認することが重要です。
また、青色申告を活用することも節税の観点から有効です。国税庁によると、青色申告では収入や必要経費に関する日々の取引を帳簿に記帳し、関係書類を保存する必要があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm)。手間はかかりますが、青色申告特別控除などのメリットを受けられる可能性があるため、不動産所得がある方は積極的に検討する価値があります。税務の知識不足は、経営の失敗と同じくらい大きな損失につながることを忘れないでください。
まとめ
サラリーマンのアパート経営で失敗する原因は、フルローンによる資金不足・利回り重視の物件選び・金利上昇リスクの軽視・サブリース契約の誤解・税務知識の不足という5つに集約されます。これらはいずれも、事前の知識と準備で回避できるリスクです。
大切なのは、「最悪のシナリオでも耐えられるか」を常に問い続けることです。楽観的な収支計画ではなく、空室率の上昇や金利の変動を織り込んだ保守的なシミュレーションを行い、自己資金・融資条件・物件選び・管理体制・税務処理のすべてを丁寧に整えることが成功への近道となります。不安な点は不動産の専門家や税理士に相談しながら、一歩ずつ着実に進めていきましょう。
参考文献・出典
- ノムコム・プロ「アパート経営はやめたほうがいい?失敗例とリスクから考える判断基準」 — https://www.nomu.com/pro/contents/knowhow/20250729.html
- 日本財託タイムズ「【実例多数】サラリーマン大家とは?魅力と成功・失敗事例を紹介」 — https://www.nihonzaitaku.co.jp/column/post/salaryman-landlord/
- フィル・パークマガジン「アパート経営の13のリスクと失敗例から学ぶ成功への道」 — https://philpark.jp/magazines/s_8b20/
- 国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト」 — https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/
- 国土交通省「賃貸住宅管理業登録の方法」 — https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/how_to_register.html
- 国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
- 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
- 国税庁「No.2070 青色申告制度」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
- 一般社団法人 全国任意売却協会「アパート経営に失敗。収入が減少しローンが返済できない」 — https://963281.or.jp/cases/inheritance/2792/