賃貸の費用と契約

賃貸保証料を払いたくない人向け|不要な物件の条件

賃貸物件を契約するとき、初期費用のなかでも「保証料」を大きな負担に感じる方は多いのではないでしょうか。敷金や礼金に加えてさらに保証料がかかると聞くと、できれば払いたくないと考えるのは自然なことです。

実は、いまの賃貸市場では保証会社の利用を条件とする物件が主流になっています。国土交通省の資料によると、2018年の時点で新規の賃貸契約のおよそ6割が家賃債務保証業者による保証(機関保証)を利用していたと説明されています。つまり、保証会社を回避するルートは、どちらかといえば少数派になりつつあるのが現実です。それでも、探し方や交渉の工夫しだいで負担を軽くすることは十分に可能です。

この記事では、賃貸保証料の仕組みを正しく理解したうえで、保証料を払わずに済む物件の探し方や、金額を安く抑える具体策を詳しく解説します。初期費用の負担を減らし、有利な条件で契約を結ぶためのヒントをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

賃貸保証料とは何か

賃貸保証料とは、入居者が家賃を滞納したときに、保証会社が大家さんへ家賃を立て替え払いするサービスを利用するための費用です。かつては連帯保証人を立てて入居審査をクリアするのが一般的でしたが、近年は核家族化や高齢化の影響で、身内に連帯保証人を頼みにくい人が増えています。こうした背景から、保証会社を利用する仕組みが急速に広がりました。

ここで誤解しやすいのが、保証会社は「保険」ではないという点です。JKK東京(東京都住宅供給公社)の案内でも、保証会社のサービスは保険ではなく立替払いであり、立て替えてもらった家賃は最終的に利用者が保証会社へ返済する必要があると明記されています。言い換えると、保証料を払ったからといって、滞納した家賃の支払い義務が消えるわけではないのです。

また、保証料は敷金のように退去時に戻ってくるお金ではありません。あくまでも保証サービスへの対価であり、一度支払えば返金されないのが基本です。ただし契約成立前にキャンセルした場合など、ごく限られたケースでは返金される可能性もあるため、気になる場合は契約前に規約を確認しておくと安心です。

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保証料の種類と相場を知る

賃貸保証料には、大きく分けて契約時に一括で払う「初回保証料」と、更新のたびに払う「更新保証料」、毎月少しずつ払う「月次保証料」があります。まず初回保証料は家賃の一定割合で計算されることが多く、月次保証料は毎月の家賃に一定率を上乗せするかたちで発生します。どのタイプが採用されるかは保証会社や物件によって異なります。

具体的な料率のイメージとして、公的な例が参考になります。JKK東京が保証会社を利用する場合、保証会社や契約プランによって異なる料率が設定されています。一方、東京公社住宅サービスのプランでは、入居時の初期保証料がない毎月払い型が用意されており、敷金0円プランでは月次1.5%、スタンダードなプランでは月次1.2%となっています。このように、同じ保証でもプラン設計によって負担のかかり方が大きく変わります。

重要なのは、初回一括型と月次型では長く住むほど総額の差が開くという点です。たとえば家賃8万円の物件に4年間住むとしましょう。初回保証料が家賃の50%(4万円)で更新料が1万円のプランなら、4年間で合計5万円ほどになります。一方、月次1.5%(毎月1,200円)のプランでは48か月で約5万7,600円となり、居住期間が長いほど月次型の総額が膨らみやすいのです。自分の居住予定期間を踏まえてプランを選ぶことが、総額を抑える第一歩になります。

保証料の支払いは拒否できるのか

結論から言うと、保証会社の利用が条件になっている物件で、保証料の支払いだけを拒否するのは基本的に難しいのが現実です。法律で一律に義務化されているわけではありませんが、多くの物件で保証会社への加入が契約条件として設定されているためです。

国土交通省が公開している賃貸住宅標準契約書には、「家賃債務保証業者型」と「連帯保証人型」の両方が用意されています。つまり、どちらの方式を採用するかは物件ごとに異なるということです。連帯保証人型を採用している物件を選べば、そもそも保証会社が不要になる可能性があります。逆に家賃債務保証業者型の物件では、保証会社への加入が前提となるため、加入を拒めば契約自体が成立しません。

ただし、すべての物件で保証会社が必須というわけではありません。大家さんが連帯保証人だけで対応している物件や、公的な賃貸住宅のように保証会社も連帯保証人も不要な物件も存在します。次からは、保証料を払わずに済む具体的な選択肢を見ていきましょう。

保証料を払わずに済む物件の探し方

「保証人不要」と「保証会社不要」を混同しない

まず気をつけたいのが、「保証人不要」という表示イコール「保証料不要」ではないという点です。SUUMOには保証人不要で絞り込める専用ページがあり、一次的な候補探しには便利です。しかし、LIFULL HOME’Sの保証人不要特集などでも「保証会社との契約が別途必要となる場合があります」と注記されているように、保証人が不要でも保証会社への加入が必要なケースは珍しくありません。

CHINTAIの特集ページでも、保証会社の利用が条件となる物件が増えていることが明記されています。したがって、ポータルサイトで保証人不要を条件に絞り込んだうえで、各物件の詳細欄で「保証会社の要否」まで必ず確認する二段構えが欠かせません。表示のタグだけで判断すると、あとから保証料が発生して驚くことになりかねません。

UR賃貸住宅を検討する

保証料を確実に避けたいなら、UR賃貸住宅は有力な選択肢です。URは保証人が不要で、申込本人の資格確認だけで手続きが進むため、保証会社への加入も基本的に必要ありません。礼金や更新料、仲介手数料もかからない点も大きな魅力です。

ただし、収入基準を満たす必要があります。世帯で申し込む場合、家賃に応じた一定の収入基準が設定されています。収入が基準に届かない場合でも、家賃をまとめて前払いする「家賃等の一時払い制度」を使えば収入要件は問われません。さらに、月額家賃の100倍以上の貯蓄があることを示す貯蓄基準制度も用意されており、状況に応じて複数のルートから申し込めます。

公営住宅・公社住宅を選ぶ

各自治体が運営する公営住宅も、保証料の負担を避けやすい選択肢です。国土交通省は2020年に、公営住宅について保証人の確保を入居の前提とする運用からの転換を求め、保証人が見つからない場合は免除や緊急連絡先の登録によって入居を認めるよう自治体に要請しています。この方針を受けて運用を見直す動きが各地で広がっています。

実際に東京都住宅供給公社の案内では、都営住宅などで連帯保証人が不要となり、連絡先の届け出でよいとされています。また大阪府では、府営住宅の保証人が2024年3月27日から不要になったと公表されています。こうした公的住宅は収入要件などの条件はありますが、保証料の負担なく暮らせる可能性がある点で検討する価値があります。

公社住宅では、機関保証を使うか個人の連帯保証人を立てるかを選べる方式もあります。連帯保証人を用意できるなら、保証会社を使わずに契約できる可能性があるということです。特にJKK東京の社宅利用の案内では、上場企業等に勤めている場合は保証会社の利用が不要になり、連帯保証人も不要になるなど条件が変わると説明されています。勤務先によっては有利に進められるケースもあるのです。

セーフティネット住宅を活用する

住宅確保に配慮が必要な人に向けた「セーフティネット住宅」も見逃せません。国土交通省のセーフティネット住宅情報提供システムでは、「連帯保証人不要」「家賃保証加入不要」「両方不要」といった条件で物件を絞り込めます。保証会社を使いたくない人にとって、条件を直接指定して探せるのは大きな利点です。

さらに、登録されたセーフティネット住宅では、低額所得者向けに家賃債務保証料を軽減する補助制度があります。国交省のハンドブックによると、補助率は100%で、限度額は1戸あたり最大6万円とされています。保証会社の利用が避けられない場合でも、こうした補助で実質的な負担を抑えられる可能性があります。なお、LIFULL HOME’Sでは2026年2月3日からセーフティネット住宅を直接検索できるようになったと発表されており、探しやすさは今後さらに高まりそうです。

大家や管理会社と交渉する

希望する民間物件が保証会社必須の場合でも、大家さんや管理会社との交渉で条件が変わることがあります。特に安定した収入を証明できる場合や、信頼できる連帯保証人を用意できる場合は、話が進みやすくなります。勤続年数の長さや過去に滞納がないことなどを具体的に伝えると、説得力が増します。

ただし、大家さんにとって保証会社の利用は家賃滞納リスクへの重要な備えです。前述のとおり保証会社を条件とする物件は増えており、無理に交渉を押し通そうとすると契約自体を断られることもあります。相手の立場を尊重しながら、丁寧に相談する姿勢が大切です。

保証料を安く抑える実践的なテクニック

連帯保証人を併用してプランを見直す

保証会社を利用する場合でも、連帯保証人を同時に立てることで保証料が割引になるプランを用意している会社があります。連帯保証人という追加の保証があると、保証会社側のリスクが下がるためです。親や兄弟など保証人を頼める人がいる場合は、契約時に不動産会社へ割引プランの有無を確認してみましょう。

保証範囲と支払いタイプを調整する

保証プランには、家賃のみを保証するシンプルなものから、原状回復費用まで含むフルカバー型まで幅があり、保証範囲が広いほど料金は高くなります。自分にとって本当に必要な保証は何かを見極め、過剰なオプションを外すことで費用を抑えられる場合があります。また初期一括型と月次型のどちらが総額で有利かは居住期間しだいなので、この点も踏まえて選ぶとよいでしょう。

複数の不動産会社で比較する

同じ物件でも、不動産会社によって提携している保証会社が異なることがあります。保証会社が変われば料率も変わるため、複数の会社で見積もりを取る価値があります。相談する際は「保証料を安く抑えたい」「保証会社不要の物件も検討したい」と希望を明確に伝えましょう。あわせて、保証料だけでなく敷金・礼金を含めた初期費用の総額で比較する習慣をつけることも重要です。

保証料を滞納するとどうなるのか

保証料や立て替えられた家賃の支払いを放置することは、絶対に避けるべきです。滞納すると保証会社から督促が届き、遅延損害金が加算されるだけでなく、保証契約が解除される可能性もあります。多くの賃貸契約では保証会社への加入が条件になっているため、保証契約の解除は賃貸契約違反とみなされ、最悪の場合は退去を求められることになります。

さらに、保証会社のなかには信用情報機関に加盟しているところもあります。滞納履歴が記録されると、将来ほかの物件を借りる際の審査に悪影響を及ぼす恐れがあります。短期的な節約のために長期的な信用を失うのは、あまりに大きな代償です。

どうしても払えない場合の対処法

経済的な事情で支払いが難しい場合は、まず保証会社や管理会社に正直に相談することが大切です。事情を説明すれば、支払い期限の延長や分割払いに応じてもらえる場合があります。黙って滞納するより、早めに相談するほうが圧倒的に有利です。

住まいに関する問題で困っているときは、各地域の消費生活センターや住宅相談窓口も頼りになります。専門の相談員が状況に応じた助言をしてくれます。また、生活困窮者向けの公的支援として住居確保給付金などの制度もあり、一定の条件を満たせば家賃相当額の支援を受けられる場合があります。該当しそうなときは、お住まいの自治体の福祉窓口に相談してみてください。制度の詳しい要件は個別事情によって異なるため、最新情報は各公的機関の公式サイトで確認しましょう。

よくある質問

保証料は途中解約で返金されますか

基本的に、契約後に支払った保証料は返金されません。保証料はサービス利用への対価であり、保証契約が続いている限り返金の対象にならないのが一般的です。ただし契約成立前にキャンセルした場合など、ごく一部のケースでは返金の可能性があります。詳細は契約前に規約を確認してください。

連帯保証人がいても保証会社への加入を求められるのはなぜですか

連帯保証人がいても、保証会社への加入を必須とする物件が増えています。保証人が高齢で支払い能力に不安がある場合や、督促に時間がかかる場合を避けるためです。大家さんにとっては、保証会社を通じたほうが確実かつ迅速に家賃を回収できるメリットがあります。

「保証人不要」の物件なら保証料はかかりませんか

必ずしもそうとは限りません。保証人不要という表示は、保証会社不要や保証料不要を意味しないケースが多くあります。ポータルサイトのタグだけで判断せず、物件詳細で保証会社の要否まで確認することが大切です。保証料を確実に避けたい場合は、UR賃貸住宅や公営住宅、セーフティネット住宅などの公的な選択肢を優先して検討するとよいでしょう。

まとめ

賃貸保証料は、いまの賃貸市場では避けて通りにくい費用になっています。新規契約の約6割が機関保証を利用しているとされる現状では、保証料を完全にゼロにするのは簡単ではありません。しかし、正しい知識と探し方の工夫しだいで、負担を大きく減らすことは十分に可能です。

保証料を避けたいなら、まずUR賃貸住宅や公営住宅、公社住宅、セーフティネット住宅といった公的な選択肢を検討するのが近道です。民間物件では、保証人不要の表示に頼りきらず保証会社の要否を確認し、連帯保証人の併用やプラン見直しで金額を抑える工夫が有効です。大切なのは、契約前にしっかり情報を集め、自分に合った方法を選ぶことです。

そして、保証料や立替家賃の滞納だけは絶対に避けてください。信用情報に傷がつくと、将来の住まい探しに大きな支障をきたします。支払いが難しいときは早めに相談し、誠実に対応することで、多くの場合は解決策が見つかります。賢く初期費用を抑えて、快適な新生活をスタートさせましょう。

参考文献・出典

  • 国土交通省「『賃貸住宅標準契約書』について」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html
  • 国土交通省「民法改正等を踏まえ『賃貸住宅標準契約書』等を改定しました!」 – https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000121.html
  • 国土交通省「公営住宅への入居に際しての保証人の取扱いについて」 – https://www.mlit.go.jp/common/001347142.pdf
  • 国土交通省「住宅セーフティネット制度活用ハンドブック・Q&A」 – https://www.mlit.go.jp/common/001220443.pdf
  • 国土交通省「住宅セーフティネット制度」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000055.html
  • セーフティネット住宅情報提供システム – https://safetynet-jutaku.mlit.go.jp/
  • UR賃貸住宅「メリット・特徴」「お申込み資格」 – https://www.ur-net.go.jp/chintai/
  • JKK東京(東京都住宅供給公社)「保証会社のご案内」 – https://www.to-kousya.or.jp/chintai/guarantor/index.html
  • 大阪府「大阪府営住宅(公営住宅)の保証人が不要になりました」 – https://www.pref.osaka.lg.jp/o130210/ju_keikan/r6kouji_shikkou/000.html
電宅男
監修 電宅男 宅地建物取引士 / MBA|株式会社青山地所 営業部

一橋大学大学院MBA修了。大手デベロッパー法人部門、買取再販会社を経て現職。区分リノベ再販・都心事業用物件の買取再販を手がけ、業界7年の知見で記事を監修。

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