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タワーマンションはSRC造?構造と資産価値の真実

タワーマンションの購入や投資を検討していると、「SRC造」という言葉を目にすることが多いのではないでしょうか。丈夫で高級感があり、資産価値も高いというイメージを持つ方は少なくありません。しかし実は、「タワーマンション=SRC造」という理解は正確ではありません。近年の超高層マンションでは、むしろ別の構造が主流になりつつあるのです。

この記事では、SRC造とはそもそもどのような構造なのか、そしてタワーマンションで本当に採用されているのは何かを整理します。さらに、構造そのものよりも資産価値を大きく左右する管理や修繕、防災の観点まで、公的機関の情報をもとに分かりやすく解説していきます。

SRC造とは何か?タワーマンションとの関係

SRC造とは「Steel Reinforced Concrete」の略で、日本語では鉄骨鉄筋コンクリート造と呼ばれます。鉄筋コンクリート造、いわゆるRC造の芯に鉄骨を組み込んだ構造で、鉄骨の粘り強さとコンクリートの強度を組み合わせた工法です。この特徴により、RC造よりも細い柱で高い強度を確保でき、建物の軽量化も可能になります。

そのためSRC造は、高層ビルやオフィスビル、大規模な建物で採用されやすい構造として知られてきました。柱を細くしながら広い空間をつくれる点は、大規模建築において大きな利点となります。こうした背景から、タワーマンションもSRC造で建てられているというイメージが広がったと考えられます。

実は超高層でもRC造が主流になっている

ところが、現在の状況は少し異なります。SRC造の最大の強みは広い無柱空間をつくれる点にあるため、商業ビルやオフィスビルでは重宝されますが、一般的なマンションではあまり採用されていません。超高層のタワーマンションにおいても、SRC造よりRC造が採用されるケースが多いのが実情です。

これはコンクリート技術の進歩が大きく影響しています。長谷工コーポレーションの技術研究所は、設計基準強度120N/mm²級という高強度コンクリートを用いた超高層RC造建物の構造設計ガイドラインを開発しました。同社によれば、このガイドラインを用いることで、高さ200メートル、60階建ての超高層集合住宅の設計が可能になるとされています。つまり、かつてはSRC造でなければ難しかった高さも、RC造で実現できる時代になっているのです。

ポイントは、タワーマンションを検討する際に「SRC造だから優れている」と単純に考えないことです。構造の種類だけで資産価値や住み心地が決まるわけではありません。むしろ、その建物がどのように設計され、どう管理されているかが、長期的な価値を左右します。

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SRC造の性能をどう評価すべきか

SRC造は確かに優れた構造ですが、その性能を過大に評価しすぎるのは避けるべきです。ここでは、耐震性や防音性といった項目について、実際のところをフラットに見ていきましょう。

耐震性はしなやかさが強み

SRC造のメリットは、RC造の丈夫さに加えて、鉄骨造のしなやかさも併せ持っている点にあります。長谷工の解説によると、このしなやかさによって地震のエネルギーを吸収できるため、耐震性に優れているとされています。地震が多い日本において、揺れのエネルギーを受け止められる構造であることは、安心材料の一つといえるでしょう。

ただし、耐火性や防音性については、同社は「RC造と大きく変わらない」と説明しています。SRC造だから特別に静かで火に強い、というわけではないのです。防音性の高さだけを理由にSRC造を選ぼうとすると、期待とのギャップが生じかねません。構造による差よりも、壁の厚みや遮音等級といった個別の仕様を確認することが大切です。

高層階の揺れ対策は制震構造がカギ

高層階の住み心地を考えるうえで重要なのが、揺れへの対策です。ここでは、SRC造かRC造かという構造の別だけでなく、制震構造が採用されているかどうかが大きな意味を持ちます。制震構造は制振装置によって揺れを吸収し小さくする仕組みで、耐震構造とは異なり上階での揺れを抑制する特徴があります。長谷工の解説でも、タワーマンションなど高層階の揺れを抑えるのに有効とされています。

さらに注意したいのが長周期地震動です。横浜市は、高層階では大きくゆっくりとした揺れである長周期地震動によって、家具類が転倒・落下・移動する可能性が高くなると案内しています。そのため家具の固定などの対策が特に必要であり、地震管制運転装置付きエレベーターへの改修も求められるとしています。高層階を選ぶなら、構造だけでなく揺れ対策と防災設備までチェックする視点が欠かせません。

資産価値を本当に左右するのは「管理」と「修繕」

タワーマンションの資産価値を考えるとき、構造以上に重要になるのが管理と修繕の状況です。マンション管理業協会も、タワーマンションやIT化、設備施設の高度化によって管理の専門性が増しており、管理の悪化は資産価値や居住価値の下落につながると指摘しています。つまり、どれだけ立派な構造でも、管理が行き届かなければ価値は守れないのです。

超高層は修繕費が高くなりやすい

まず理解しておきたいのは、超高層マンションほど修繕費用がかさむ傾向にあるという事実です。国土交通省は、地上20階以上の超高層マンションについて、外壁などの修繕に特殊な足場が必要となるうえ、共用部分の占める割合が高くなるため、修繕工事費が増大する傾向にあると説明しています。そのため、修繕積立金のガイドラインでも20階以上を別枠で扱っています。

同ガイドライン(令和6年6月改定)によると、20階以上のマンションにおける修繕積立金の目安は、機械式駐車場を除いて1平方メートルあたり月額240円から410円、平均で338円とされています。仮に70平方メートルの住戸であれば、平均で月2万円を超える計算になります。加えて機械式駐車場がある場合の負担も重く、エレベーター方式や垂直循環方式で1台あたり月4,645円、3段(ピット1段)昇降横行式で月7,210円が目安として示されています。

こうした費用感は、規模の大きさに比例します。国土交通省の資料によると、20階以上のマンションでは管理費収入の平均が月約535万円、修繕積立金の平均収入が月約518万円で、年間の合計は約1.3億円にのぼり、これは19階以下のおよそ4倍と試算されています。大規模だからこそ、資金計画の健全性が問われるのです。

「当初が安い」修繕積立金には要注意

中古・新築を問わず、修繕積立金の設定額には特に注意が必要です。国土交通省は、マンション購入者が修繕積立金について十分な知識を持つとは限らず、当初の月額が著しく低く設定される例も見られると明記しています。つまり、購入時の見かけ上の安さだけで良し悪しを判断するのは危険だということです。

必要な修繕積立金を確保できないと、適時適切な修繕が実施できず、建物の老朽化や不具合が進行してしまいます。国土交通省の資料では、こうした状況が進むと外壁の剥落など、居住者や周辺住民の生命・身体に危害を及ぼすおそれにまでつながると警告されています。目先の安さより、長期的に資金が回る計画かどうかを見極めることが重要です。

長期修繕計画の内容も確認しましょう。超高層マンションでは、30年から40年の計画期間を設定し、その中に大規模修繕を2回含める考え方が示されています。あわせて、エレベーターの地震時対応や機械式駐車装置、防災・被災後の生活維持、会計区分、積立金残高といった項目を確認すべきとされています。これらが計画に盛り込まれているかは、健全な管理の指標となります。

管理状況を客観的に見極める制度を活用する

「管理が大切なのは分かったが、素人にはどう判断すればよいか分からない」という方も多いでしょう。そこで役立つのが、公的な制度や第三者評価の仕組みです。これらを活用すれば、管理状況を客観的に把握しやすくなります。

その一つが管理計画認定制度です。これはマンション管理適正化法に基づき、管理・修繕に関する基準を満たしたマンションを地方自治体が認定する制度です。認定を通じて、区分所有者がより適正な管理に取り組むことや、購入検討者にも管理状況が分かりやすくなることが期待されています。認定の会計基準としては、管理費と修繕積立金の区分経理がされていること、修繕積立金会計から他会計への充当がされていないこと、修繕積立金の3カ月以上の滞納額が全体の1割以内であることなどが求められます。

もう一つが、マンション管理業協会が運営するマンション管理適正評価制度です。これはマンションの管理状態や管理組合運営の状態を6段階で評価し、インターネットを通じて情報を公開する仕組みです。管理状態を5つのカテゴリーに分類し、現在の管理組合などのソフト面と、建物などのハード面の両方から30項目を評価します。こうした認定や評価の有無は、物件選びの際に管理の質を推し量る手がかりになります。

安全と安心を支える設備・防災の視点

タワーマンションで暮らすうえでは、日常の安全と災害時の備えも見逃せません。特にエレベーターと防災体制は、高層マンション特有の重要なテーマです。

エレベーターについては、建築基準法令が安全性の確保を求めています。国土交通省の解説によると、同法令では建築物に設置される昇降機の設計・製造・設置段階における構造の基準に加え、その後の使用・維持管理段階における検査の基準も規定されています。高層階の生活はエレベーターに大きく依存するため、これらが適切に維持管理されているかは、住まいの安心に直結します。

防災の観点では、在宅避難という考え方が重要です。東京都は、被災後にマンションに倒壊の危険がなく被害が軽微であれば、在宅避難が可能になるとしています。そのうえで、発災時には各住戸での対応に加えて、管理組合などをはじめとしたマンション全体での防災が力を発揮すると案内しています。個々の備えと組織的な備えの両方が整っているかどうかが、いざというときの明暗を分けるのです。

税務面から見たSRC造とRC造の扱い

投資目的で検討する場合、税務上の耐用年数も気になるところです。ここで押さえておきたいのは、税法上ではSRC造とRC造が同じ扱いになるという点です。国税庁の耐用年数表によると、住宅用の「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造」はいずれも47年とされています。

つまり、減価償却の計算においては、SRC造だからといってRC造より有利になるわけではありません。この長い耐用年数は、融資期間の設定や減価償却費の計上において意味を持ちますが、それはRC造でも同様です。構造の種類による税務上の差はないと理解しておくと、物件比較の際に惑わされずに済みます。なお、具体的な税務処理は個別事情によって異なるため、最新の情報は国税庁など公的機関の公式サイトで確認し、必要に応じて税理士に相談することをおすすめします。

まとめ:構造名より「中身」を見極める

タワーマンションを検討するとき、SRC造という言葉に特別なイメージを抱きがちですが、実際には超高層でもRC造が主流になっています。コンクリート技術の進歩により、RC造でも高さ200メートル級の設計が可能となった今、構造の種類だけで優劣を判断する意味は薄れているといえるでしょう。

本当に資産価値を左右するのは、管理と修繕の健全性です。超高層ほど修繕費は高くなりやすく、当初の修繕積立金が著しく低く設定される例もあります。だからこそ、長期修繕計画の中身や積立金の水準、そして管理計画認定や管理適正評価といった第三者の指標を活用して、管理の質を見極めることが欠かせません。

あわせて、高層階特有の揺れ対策や防災体制、エレベーターの維持管理といった安全面も確認しましょう。構造名の響きにとらわれず、建物とその運営の「中身」を丁寧に見ることが、長く安心して住み続けられる、そして価値を守れる物件選びの近道となります。

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