「ワンルームマンション投資で節税できると聞いたけれど、実際にどれくらい税金が減るのか分からない」という方は多いのではないでしょうか。節税効果を正しく理解しないまま投資を始めると、期待していた効果が得られなかったり、確定申告で思わぬミスを犯したりするリスクがあります。この記事では、ワンルームマンション投資における節税の仕組みを基礎から丁寧に解説し、実際のシミュレーションを通じて節税効果をイメージしやすくお伝えします。必要経費の種類から青色申告の活用法まで、初心者の方でも理解できるよう順を追って説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
不動産所得の計算の仕組みを理解しよう

まず押さえておきたいのは、ワンルームマンション投資で得た収益がどのように課税されるかという基本的な仕組みです。不動産投資による収益は「不動産所得」として扱われ、その計算方法を正しく理解することが節税の第一歩となります。
国税庁の情報(令和7年4月1日現在法令等)によると、不動産所得の金額は「総収入金額-必要経費」で計算されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm)。つまり、受け取った家賃から認められた経費を差し引いた金額が課税対象になるわけです。この差し引き後の金額が小さくなるほど、税負担も軽くなります。
総収入金額には、毎月の賃貸料収入だけでなく、返還を要しない敷金・保証金、共益費名目で受け取った金額なども含まれます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm)。また、礼金や権利金は物件の引き渡し日または契約効力発生日に収入として計上するルールになっています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1376.htm)。受け取ったお金のすべてが収入に含まれると考えておくと分かりやすいでしょう。
一方、不動産所得は給与所得などの他の所得と合算して税額が計算される「総合課税」の対象です。所得税の税率は5%から45%の7段階に区分されており(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)、給与所得が高い方ほど高い税率が適用されます。そのため、給与所得が高い会社員の方にとって、不動産所得を圧縮することは大きな節税効果につながりやすいのです。
節税の鍵を握る「必要経費」の種類

ワンルームマンション投資における節税効果の大部分は、必要経費をどれだけ正確に計上できるかにかかっています。認められる経費の種類を把握することが、節税シミュレーションの精度を高める上で非常に重要です。
国税庁が例示する主な必要経費には、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費が含まれます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm)。これらは不動産収入を得るために直接必要な費用として認められており、確定申告の際に収入から差し引くことができます。
なかでも特に注目したいのが「減価償却費」です。建物は時間の経過とともに価値が減少するという考え方に基づき、取得費用を耐用年数にわたって毎年少しずつ経費として計上できます。鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の住宅用建物の耐用年数は47年とされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/019.pdf)。減価償却費は実際に現金が出ていかないにもかかわらず経費として計上できるため、節税効果が高い項目として知られています。
また、物件取得のために借り入れたローンの利息部分も必要経費として計上できます。ただし、重要な注意点があります。借入金返済額のうち元本に相当する部分は必要経費にはなりません(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/019.pdf)。毎月の返済額全額が経費になるわけではなく、利息部分のみが対象となる点をしっかり理解しておきましょう。
修繕費については、通常の維持管理や修理のための支出は必要経費として認められます。しかし、資産の価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする支出は「資本的支出」として扱われ、減価償却で各年に分けて計上することになります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1379.htm)。リフォームの内容によって扱いが変わるため、工事の目的と内容を明確に記録しておくことが大切です。
節税シミュレーションで効果を具体的にイメージする
実際の節税効果をイメージするために、ここでは一般的な例を使ってシミュレーションの考え方を説明します。ただし、実際の節税額は個人の収入状況や物件の条件によって大きく異なりますので、あくまで考え方を理解するための参考としてご覧ください。
たとえば、給与所得が一定額あり、所得税率が33%の税率区分に該当する会社員の方が、ワンルームマンションを購入したとします。年間の家賃収入が80万円あり、必要経費として固定資産税・損害保険料・借入金利息・減価償却費などを合計すると100万円になった場合、不動産所得は「80万円-100万円=▲20万円」のマイナスとなります。この赤字を給与所得と損益通算することで、課税所得が圧縮され、税負担が軽減される仕組みです。
ただし、ここで注意が必要な点があります。不動産所得の赤字全額が必ずしも損益通算できるわけではありません。土地等を取得するための負債の利子に相当する部分は、損益通算の対象から除かれます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm)。ワンルームマンションは建物と土地がセットになっているため、土地部分に対応するローン利息は損益通算できない点を事前に把握しておきましょう。
中古のワンルームマンションを購入する場合は、耐用年数の計算方法も節税効果に影響します。法定耐用年数を全部経過した中古資産であれば、法定耐用年数の20%に相当する年数が簡便法による耐用年数となります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm)。たとえば耐用年数47年の鉄筋コンクリート造の建物で法定耐用年数を全部経過している場合、47年×20%=9年(端数切捨て)が耐用年数となり、減価償却費を短期間で多く計上できるため、節税効果が高まりやすい傾向があります。
青色申告で節税効果をさらに高める
ワンルームマンション投資の節税を最大化するために、ぜひ活用したいのが「青色申告制度」です。青色申告を選択することで、通常の申告では受けられない特別控除を利用できるようになります。
国税庁の情報(令和7年4月1日現在法令等)によると、青色申告特別控除は最高で65万円の控除が受けられます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm)。この65万円控除を受けるためには、複式簿記による記帳、貸借対照表等の添付、期限内申告に加えて、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告が必要です。これらの要件を満たさない場合でも、55万円または10万円の控除を受けることができます。
ただし、65万円・55万円の青色申告特別控除を受けるには、不動産貸付けが「事業的規模」であることが求められます。建物の貸付けについては、独立した室数がおおむね10室以上、または独立家屋がおおむね5棟以上という基準が原則的な目安とされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm)。ワンルームマンションを1室だけ所有する場合は事業的規模に該当しないことが多く、その場合の青色申告特別控除は最高10万円となります。
青色申告を始めるには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。原則としてその年の3月15日までに提出が必要で、1月16日以後に新たに不動産の貸付けを始めた場合は、開始日から2か月以内に提出することとされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm)。投資を始めると同時に申請手続きを進めることで、最初の年から青色申告の恩恵を受けることができます。
確定申告の手続きと注意点
節税効果を確実に得るためには、正確な確定申告が欠かせません。不動産所得がある場合の申告手続きについて、基本的な流れと注意点を整理しておきましょう。
青色申告者は「青色申告決算書」、白色申告者は「収支内訳書」を確定申告書に添付して提出します(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/06.htm)。また、申告書にはマイナンバーの記載と本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。令和7年分の所得税の申告・納付期限は令和8年3月16日(月)までとされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/index.htm)。
記帳については、収入を賃貸料・雑収入等に区分し、費用を雇人費・減価償却費・貸倒金・地代・借入金利子・その他の経費に区分して記録することが求められます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm)。日々の取引をこまめに記録しておくことで、申告時の作業がスムーズになり、経費の計上漏れも防ぐことができます。
帳簿や書類の保存期間にも注意が必要です。青色申告の帳簿・書類は原則として7年間保存することとされており、書類によっては5年間でよいものもあります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm)。税務調査に備えて、領収書や契約書などの書類は適切に整理・保管しておきましょう。申告内容に不明な点がある場合は、各国税局の電話相談センターや税務署の面接相談(事前予約制)を活用することをおすすめします(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm)。
まとめ
ワンルームマンション投資の節税シミュレーションを正しく行うには、不動産所得の計算の仕組み、認められる必要経費の種類、青色申告の活用法をしっかり理解することが大切です。減価償却費や借入金利息などの経費を正確に計上し、損益通算の仕組みを活かすことで、給与所得が高い方ほど大きな節税効果が期待できます。一方で、土地部分に対応するローン利息の損益通算制限や、事業的規模の要件など、見落としやすい注意点も存在します。節税効果は個人の収入状況や物件条件によって大きく異なるため、実際の投資判断の前には税理士などの専門家に相談し、ご自身の状況に合ったシミュレーションを行うことを強くおすすめします。正しい知識を身につけて、長期的に安定した不動産投資を目指しましょう。
参考文献・出典
- 国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
- 国税庁 No.1376 不動産所得の収入計上時期 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1376.htm
- 国税庁 No.2210 必要経費の知識 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
- 国税庁 No.1379 修繕費とならないものの判定 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1379.htm
- 国税庁 No.5404 中古資産の耐用年数 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
- 国税庁 No.2070 青色申告制度 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
- 国税庁 No.2072 青色申告特別控除 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
- 国税庁 No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm
- 国税庁 No.2260 所得税の税率 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 国税庁 A1-8 所得税の青色申告承認申請手続 — https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
- 国税庁 令和7年分 確定申告特集 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/index.htm
- 国税庁 令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/019.pdf
- 国税庁 個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm
- 国税庁 国税に関するご相談について — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm
- 国税庁 賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い — https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/12.htm