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賃貸のハウスクリーニング費用は断れる?相場と交渉術を解説

賃貸物件を退去するとき、「ハウスクリーニング費用を請求されたけれど、これって本当に払わなければいけないの?」と疑問に感じた経験はないでしょうか。退去時の費用トラブルは、国民生活センターにも多くの相談が寄せられるほど身近な問題です。実は、ハウスクリーニング費用を借主が負担すべきかどうかは、契約内容や汚損の状況によって大きく異なります。この記事では、費用の相場から法的な考え方、交渉の進め方まで、初心者にもわかりやすく解説します。退去前にぜひ一度確認しておいてください。

ハウスクリーニング費用の法的な考え方

ハウスクリーニング費用の法的な考え方のイメージ

まず押さえておきたいのは、民法の原則です。民法621条では、通常の使用や収益によって生じた損耗(通常損耗)および経年変化は、借主の原状回復義務に含まれないと定められています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001493380.pdf)。つまり、普通に生活していてついた汚れや傷については、原則として借主が費用を負担する必要はないのです。

この考え方に基づくと、退去時のハウスクリーニング費用は本来、次の入居者を迎えるために貸主が負担すべきコストと整理されます。国土交通省の標準契約書でも、通常の清掃や退去時の清掃を怠った場合にのみ、その清掃費用相当分を借主負担とする整理が示されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001493354.pdf)。日常的に掃除をしていた入居者が、退去時に一律でクリーニング費用を請求されるのは、この原則からすると必ずしも当然ではありません。

一方で、借主が日常の清掃を怠ったことによる台所の油汚れや、結露を放置したことで拡大したカビ・シミ、ペットによる傷や臭いなどは、借主負担の典型例として国土交通省の資料に挙げられています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun.pdf)。また、喫煙によってクロスの変色や臭いが居室全体に及んだ場合も、居室全体のクリーニングや張替え費用を借主負担とする考え方が示されています。自分の生活状況と照らし合わせて、どちらに当てはまるかを冷静に判断することが大切です。

特約がある場合はどう考えるか

特約がある場合はどう考えるかのイメージ

実は、契約書に「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担」という特約が記載されている場合は、話が変わってきます。国土交通省の資料によると、通常損耗分の補修費用を借主負担とする特約自体は可能とされていますが、有効と認められるためには一定の要件を満たす必要があります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001493380.pdf)。具体的には、特約の必要性があり暴利的でないこと、借主がその内容を明確に認識していること、そして借主が自由意思で合意していることの3つが求められます。

裁判例でも、特約の有効性については判断が分かれています。「契約締結時に特約の内容が説明されていたこと」などを踏まえ、退去時に専門業者による清掃を実施しその費用を借主が負担する旨の特約を有効とした事例がある一方で、「ルームクリーニングに要する費用は賃借人が負担する」という一般的な文言だけでは、通常損耗まで借主負担にする特約とは認められないと判断された事例もあります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000024.html)。

重要なのは、契約書に特約がある場合は、まずその特約が有効かどうかを確認することです。単純に「払いたくない」と拒否するよりも、特約の内容が入居時に明確に説明されていたか、金額が相場と比べて妥当かどうかという観点で検討するほうが、実務的な対応として効果的です(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000026.html)。

退去時ハウスクリーニング費用の相場

費用の妥当性を判断するためには、相場を知っておくことが欠かせません。大手不動産ポータルサイトの情報によると、間取り別のハウスクリーニング費用の目安は以下のとおりです(アットホーム https://www.athome.co.jp/contents/manual/solution/restoration/howmuch/)。間取りや広さに応じて、一定の相場帯が存在するとされています。

また、別の情報源でも、間取りや広さに応じた相場帯が示されています(価格.com くらし https://kurashi.kakaku.com/magazine/24/)。実際の募集物件でも、間取りや広さに応じた定額設定の例が確認されています。

これらの相場と比べて請求額が大幅に高い場合は、費用の内訳について説明を求める根拠になります。国土交通省の資料では、貸主には敷金から差し引く原状回復費用について説明義務があり、借主は明細を請求して説明を求めることができると明記されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun.pdf)。まず相場を把握したうえで、請求額が妥当かどうかを冷静に判断しましょう。

費用に納得できないときの交渉の進め方

納得できない請求を受けた場合、感情的に対応するのではなく、順序立てて交渉することが大切です。国民生活センターも、納得できない請求をされた場合は貸主側に費用の明細等の説明を求め、費用負担について話し合うことを推奨しています(国民生活センター https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260217_1.html)。まずは冷静に「費用の内訳と根拠を書面で教えてください」と伝えることから始めましょう。

交渉の際に確認すべきポイントはいくつかあります。契約書に特約が明記されているか、入居時にその内容について説明を受けたか、請求金額が相場の範囲内かどうか、そして自分が実際に通常損耗を超える汚損をしていないかどうかです。これらを整理したうえで、「この箇所は通常の使用範囲内ではないか」「金額の根拠を示してほしい」と具体的に伝えることで、交渉がスムーズに進みやすくなります。

また、入居時の写真や動画が残っている場合は、退去時の状態と比較する証拠として非常に有効です。もし話し合いで解決しない場合は、各都道府県の宅地建物取引業協会や弁護士会の相談窓口、国民生活センターなどに相談することも選択肢のひとつです。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも大切な判断です。

まとめ

賃貸のハウスクリーニング費用は、民法の原則では通常損耗に当たる場合は借主負担ではありませんが、契約書に有効な特約がある場合はその限りではありません。大切なのは、まず自分の契約書を確認し、請求内容の明細を求め、相場と照らし合わせて妥当性を判断することです。感情的に全額を拒否するのではなく、根拠を持って話し合うことが、トラブルをスムーズに解決する近道になります。退去前に契約書を読み返し、入居時の写真を確認するだけでも、交渉の準備として大きな差が生まれます。疑問や不安があれば、国民生活センターや専門家への相談も積極的に活用してみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省「賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)について」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001493380.pdf
  • 国土交通省「賃貸住宅標準契約書」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001493354.pdf
  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun.pdf
  • 国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』(再改訂版)のQ&A」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000024.html
  • 国土交通省「賃貸住宅の入居・退去に係る留意点」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000026.html
  • 国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!」 – https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260217_1.html
  • アットホーム「退去の時にかかる原状回復費の相場はいくら?」 – https://www.athome.co.jp/contents/manual/solution/restoration/howmuch/
  • 価格.com くらし「ハウスクリーニングの相場・料金表」 – https://kurashi.kakaku.com/magazine/24/

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