「アパート経営に興味はあるけれど、利回りがどのくらいあれば安心なのか分からない」という会社員の方は多いのではないでしょうか。給与収入とは別に安定した家賃収入を得たいと考えたとき、最初に立ちはだかるのが利回りの読み方と融資の仕組みです。この記事では、2026年8月時点の最新データをもとに、会社員がアパート経営を始める際に知っておくべき利回りの目安、融資条件の実態、そして収益を安定させるための考え方を分かりやすく解説します。数字の意味を正しく理解することで、物件選びの判断軸がぐっと明確になるはずです。
表面利回りと実質利回りの違いを正しく理解する

アパート経営の収益性を語るうえで、まず押さえておきたいのが「表面利回り」と「実質利回り」の違いです。この2つを混同したまま物件を選ぶと、思っていたより手元に残るお金が少ないという事態に陥りやすくなります。
表面利回りとは、年間の家賃収入を物件価格で割った数値のことです。たとえば年間家賃収入が720万円で物件価格が9,000万円であれば、表面利回りは8%となります。不動産情報サイトに掲載されている利回りは、ほぼすべてこの表面利回りです。不動産情報サービスを運営するLIFULLが公表したデータによると、2026年2月時点の一棟アパートの全国平均表面利回りは8.07%、平均価格は8,958万円となっています(LIFULL / https://lifull.com/doc/2026/03/8117cd8787559f8375b01e06906dea1e.pdf)。
一方、実質利回りは年間家賃収入から管理費・修繕費・固定資産税・火災保険料などの諸経費を差し引いたうえで、物件価格に加えて購入時の諸費用も含めた総投資額で割って算出します。一般的には、表面利回りより低くなるとされていますが、物件の築年数や立地によって差は大きく変わります。重要なのは、広告に掲載された数字をそのまま信じるのではなく、実際にかかるコストを自分で試算する習慣を持つことです。
さらに、空室が発生した場合の影響も見落とせません。表面利回りは満室を前提とした計算であるため、空室率が10〜20%になると実際の収益は大きく目減りします。物件を検討する際は、空室率を保守的に見積もったシミュレーションを必ず行うようにしましょう。
会社員が目安にすべき利回りの水準とは

実際のところ、会社員がアパート経営で目指すべき利回りの水準はどのくらいなのでしょうか。これは物件の立地や築年数、融資条件によって異なりますが、いくつかの考え方を整理しておくと判断しやすくなります。
まず基本的な考え方として、表面利回りが融資金利を大きく上回っていることが収益の前提条件になります。たとえば融資金利が年2〜3%台であれば、表面利回りが5〜6%程度では諸経費や空室リスクを考慮すると手元に残る利益はほとんどなくなる可能性があります。前述のLIFULLデータが示す全国平均8.07%という数字は、あくまでも掲載物件の平均値であり、都市部の物件は利回りが低く、地方の物件は高い傾向があります。
都市部の物件は利回りが低い代わりに空室リスクが小さく、資産価値も維持されやすいという特徴があります。一方、地方の物件は表面利回りが高く見えても、人口減少による空室リスクや将来的な売却時の流動性リスクを抱えていることが少なくありません。つまり、利回りの数字だけで物件の優劣を判断するのは危険であり、エリアの需給バランスや将来性を合わせて評価することが不可欠です。
会社員として安定した給与収入がある場合、融資を活用してレバレッジをかけることが不動産投資の大きな強みになります。ただし、融資返済後のキャッシュフローがプラスになるかどうかを最優先の判断基準に置くことが、長期的な経営安定につながります。
会社員が利用できる融資の実態と条件
アパート経営を始めるにあたって、融資の条件を事前に把握しておくことは非常に重要です。金融機関によって金利・融資期間・審査基準が大きく異なるため、複数の選択肢を比較検討することが成功への近道となります。
オリックス銀行の不動産投資ローンは、2026年7月1日現在の公開レンジで変動金利が年2.425%〜年4.425%となっています(オリックス銀行 / https://www.orixbank.co.jp/personal/property/)。なお、実際の借入金利は申込時ではなく借入日のプライムレートを基準に決まり、毎月見直される仕組みです。また、取扱事務手数料は借入金の2.20%以内で、保証料と団体信用生命保険料は不要という点も特徴的です(オリックス銀行 / https://www.orixbank.co.jp/personal/property/charges.html)。
りそな銀行のアパート・マンションローンは、借入金額が最高5億円、借入期間は最長35年で、変動金利型または固定金利選択型から選べます(りそな銀行 / https://www.resonabank.co.jp/kojin/apaman/)。団信加入の条件は借入時に満20歳以上70歳未満かつ最終返済時に満80歳未満で、事務取扱手数料は99,000円となっています。
イオン銀行の投資用マンションローンでは、会社員向けの条件として「勤続3年以上・前年度税込年収400万円以上の給与所得者」が明示されています(イオン銀行 / https://www.aeonbank.co.jp/housing_loan/apartment_loan/pdf/ml_product_summary_03.pdf)。融資額は500万円以上1億円以下、融資期間は最長35年で変動金利型のみの取り扱いです。なお、イオン銀行は2026年5月1日に変動金利の基準金利を2.870%から3.220%へ改定しており(イオン銀行 / https://www.aeonbank.co.jp/news/2026/0501_01/)、金利環境が変化していることも念頭に置く必要があります。
融資審査で会社員が評価されるポイント
融資審査において、会社員という属性は実は大きなアドバンテージになります。金融機関は物件の収益性だけでなく、借り手の信用力を総合的に判断するからです。
不動産投資の融資実務に詳しい専門家の整理によると、金融機関が審査で重視する項目として、年収・勤務先の規模や安定性・勤続年数・他の借入状況・自己資金の額・税金の納付状況・過去の信用情報などが挙げられています(Wealth Agent / https://www.agent-hp.com/real-estate-investment-loan-start/)。大企業や公務員など安定した雇用形態にある会社員は、これらの評価項目で有利になりやすい傾向があります。
自己資金の準備も審査において重要な役割を果たします。一般的には、相応の自己資金を用意できると融資審査が通りやすくなるとされています。また、クレジットカードの延滞や他のローンの残高が多い場合は審査に影響することがあるため、融資申し込みの前に自身の信用情報を整理しておくことが大切です。
金利についても注意が必要です。変動金利は現時点では固定金利より低い水準にあることが多いですが、将来的な金利上昇リスクを考慮したシミュレーションも欠かせません。金利が1〜2%上昇した場合でも月々のキャッシュフローがプラスを維持できるかどうかを確認することが、リスク管理の基本となります。
長期的に安定したアパート経営を続けるための考え方
利回りと融資条件を把握したうえで、次に考えるべきは長期的な経営の安定性です。アパート経営は購入して終わりではなく、入居者管理・修繕・税務申告など継続的な対応が求められます。
修繕費の積み立ては、経営を長続きさせるための重要な備えです。築年数が経過するにつれて外壁塗装・屋根修繕・設備交換などの大規模修繕が必要になります。これらの費用を事前に見込んでいないと、突発的な出費でキャッシュフローが一気に悪化することがあります。物件購入前の段階から、修繕費を年間収入の一定割合として計上したシミュレーションを作成しておくことが賢明です。
管理会社の選定も経営の質を左右する大きな要素です。会社員として日中は本業に集中しなければならない以上、入居者対応や家賃回収を任せられる信頼できる管理会社を見つけることが、安定経営の土台になります。管理費用は一般的に家賃収入の5〜10%程度とされていますが、サービス内容と費用のバランスを複数社で比較することをおすすめします。
税務面では、アパート経営による不動産所得は給与所得と合算して確定申告する必要があります。減価償却費や借入金利息、管理費などを経費として計上できるため、節税効果が生まれることもあります。ただし、税務処理は個別の状況によって異なるため、税理士などの専門家に相談しながら進めることが安心です。
まとめ
アパート経営で安定した収益を得るためには、表面利回りの数字だけに惑わされず、実質利回りや空室リスク、融資コストを含めた総合的な視点で物件を評価することが欠かせません。2026年2月時点の全国平均表面利回りは8.07%(LIFULLデータ)ですが、これはあくまでも参考値であり、エリアや築年数によって大きく異なります。会社員という安定した属性を活かして融資を受けやすい立場にある一方で、金利変動リスクや修繕費への備えを怠らないことが長期的な成功につながります。まずは複数の金融機関に相談し、自分の属性でどのような条件が引き出せるかを確認することから始めてみましょう。
参考文献・出典
- LIFULL(不動産投資と収益物件の情報サイト 掲載物件データ) — https://lifull.com/doc/2026/03/8117cd8787559f8375b01e06906dea1e.pdf
- オリックス銀行 不動産投資ローン — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/
- オリックス銀行 借り入れに必要な諸費用 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/charges.html
- りそな銀行 りそなアパート・マンションローン — https://www.resonabank.co.jp/kojin/apaman/
- イオン銀行 投資用マンションローン商品概要説明書(2025年6月1日現在) — https://www.aeonbank.co.jp/housing_loan/apartment_loan/pdf/ml_product_summary_03.pdf
- イオン銀行 基準金利(投資用マンションローン変動金利)の改定について — https://www.aeonbank.co.jp/news/2026/0501_01/
- 住宅金融支援機構 賃貸住宅を建設する場合 — https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf
- 住宅金融支援機構 子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資 — https://www.jhf.go.jp/kanri/syoenechintai/jouken.html
- Wealth Agent 融資条件早見表 — https://www.agent-hp.com/real-estate-financing-conditions-table/
- Wealth Agent 不動産投資は「融資が全て」。理由を分かりやすく解説 — https://www.agent-hp.com/real-estate-investment-loan-start/