不動産の税金

家賃収入は月いくら?物件別の目安と手取り計算

不動産投資を始めたいと考えているものの、「実際に毎月いくら手元に残るのか」という疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。広告に記載された利回りだけを見て物件を購入すると、想像よりも手取りが少なく後悔するケースは珍しくありません。実際、表面利回りと実質利回りには2%以上の差が生じることもあり、この違いを理解せずに投資を始めると資金繰りに苦労することになります。

本記事では「家賃収入で月いくら稼げるのか」という疑問に正面から向き合います。物件タイプ別の収入目安から、家賃収入の計算方法、差し引かれる費用、融資条件の比較、さらに税制のポイントまで、公的データや最新の市場動向をもとに網羅的に解説します。読み終えるころには、ご自身の資金計画に合わせた月々の手取り額を具体的にイメージできるようになるはずです。

家賃収入の基本的な仕組みと税務上の起点

物件タイプ別に見る月々の収入目安

家賃収入とは、所有する不動産を第三者に貸し出すことで得られる賃料のことを指します。毎月定期的に入金されるため、給与所得とは異なる安定した収入源として多くの投資家に注目されています。しかし、入居者から受け取る家賃がそのまま手元に残るわけではありません。

ここで押さえておきたいのが、税務上の起点となる「不動産所得」という考え方です。国税庁によると、不動産所得の金額は「総収入金額-必要経費」で計算されます。さらに、この総収入金額には毎月の賃料だけでなく、返還を要しない敷金や保証金、共益費などの名目で受け取る電気代や水道代、掃除代なども含まれる点に注意が必要です。つまり、手元に残る現金と課税対象となる所得は必ずしも一致しないのです。

家賃収入から差し引かれるものは大きく分けて三つあります。まず、ローンを利用している場合は毎月の返済額が発生します。次に、管理費や修繕積立金、固定資産税といった運営に必要な経費がかかります。そして、空室期間中は収入がゼロになるリスクも考慮しなければなりません。これらをすべて差し引いた金額が、実際に手元に残る「キャッシュフロー」となります。

投資判断で使われる指標には「表面利回り」と「実質利回り」があります。表面利回りは年間家賃収入を物件価格で割った単純な数値で、物件広告でよく見かけるのがこちらです。一方、実質利回りは経費を差し引いた後の収益率を示すため、投資判断には必ず実質利回りを確認する必要があります。計算式は「(年間家賃収入-年間経費)÷物件価格×100」で求められます。

物件タイプ別に見る月々の収入目安

家賃収入の仕組みと利回り計算の基本

家賃収入で得られる月々の金額は、投資する物件タイプによって大きく異なります。まず全国平均を押さえておくと、総務省の調査では借家(専用住宅)の1か月あたり家賃は一定の水準にあります。種類別に見ると、民営借家の木造と非木造では異なる傾向が見られており、非木造のほうが高い傾向があります。この数字を出発点に、物件タイプごとの特徴を見ていきましょう。

ワンルームマンションの特徴と収入

ワンルームマンションは少額の自己資金から始められるため、不動産投資の入門として人気があります。東京23区の実勢を見ると、アットホームの調査では2026年3月時点で30㎡以下のマンションの募集家賃が111,922円、アパートでは73,491円でした。同じ単身向けでも、マンションとアパートで月額に大きな差があることがわかります。

この投資タイプの魅力は、頭金を抑えて会社員が副収入を得られる点にあります。ただし注意すべきは、募集賃料と実際に契約が決まる賃料の乖離です。LIFULLの2026年4月のレポートでは、東京23区のシングル向けで掲載賃料137,845円に対し、反響のあった賃料は100,678円まで下がっていました。広告表示の家賃をそのまま収入と見込むと、実際の収支が計画を下回る恐れがあります。

ファミリータイプの安定性

1LDKから3LDKのファミリータイプは、入居期間が長いという特徴があります。単身者向けが平均2〜3年程度であるのに対し、ファミリー層は5年以上住み続けることも珍しくありません。入居者の回転率が低いため、募集広告費や原状回復費用といった入退去コストを抑えられます。

東京23区では、複数の調査で50〜70㎡マンション募集家賃と70㎡超の募集家賃が報告されています。ただし東京都下になると同じサイズでも大きく下がり、エリアによる差が鮮明です。大阪市や京都市など、都市ごとの相場を把握することが投資判断の前提になります。なお、水回りの設備更新など修繕費が大きくなりやすいため、購入前に長期修繕計画を確認することが重要です。

一棟アパートと戸建て賃貸

一棟アパートは複数戸からの家賃収入を同時に得られるため、スケールメリットを活かせます。複数の入居者がいるため、一人の退去による収入への影響が限定的という利点があります。区分マンションでは空室が即収入ゼロを意味しますが、一棟であれば他の入居者からの収入が続くのです。ただし初期投資額が大きく、融資審査のハードルは相応に高くなります。

一方、戸建て賃貸は競合が少ない点が強みです。マンションやアパートに比べて供給量が限られるため、需要のあるエリアでは安定した入居率を維持しやすく、庭付きや駐車場付きといった条件はファミリー層の長期入居につながりやすくなります。ここで注意したいのが供給の厚みです。総務省の分析によると、民営の賃貸用等空き家は小型住戸に偏っており、49㎡以下だけで全体の約4割を占めています。単身向け小型住戸は家賃単価が高く見えても競合が多いため、供給過剰のエリアを避ける視点が欠かせません。

実質利回りを構成する主なコスト

月々の手取り額を正確にシミュレーションするためには、家賃から差し引かれる費用の内訳を詳しく理解することが欠かせません。見落としやすいコストも含めて確認しておきましょう。

毎月・毎年発生する費用

管理委託手数料は、賃貸管理会社に物件管理を委託する際に発生し、一般的な相場は家賃の5%前後です。月10万円の賃料であれば月5,000円程度が目安になります。マンションの場合はこれに加えて管理費と修繕積立金が毎月徴収され、合計で月1万円から3万円程度を見込む必要があります。修繕積立金は将来の大規模修繕に備えるものですが、築年数が経過した物件では不足して一時金を求められるケースもあるため、購入前に残高と修繕計画を確認しておきましょう。

年単位では固定資産税と都市計画税が毎年1月1日時点の所有者に課税されます。区分マンションであれば年10万円から15万円程度、一棟アパートでは数十万円に達することもあります。月々のキャッシュフローを計算する際は、年間税額を12で割って月額換算しておくと管理しやすくなります。火災保険料も忘れてはならず、近年は自然災害の増加に伴い上昇傾向が続いています。

見落としやすい隠れコスト

不動産投資では表面上見えにくい費用も多く存在します。入居者募集時の広告費は、家賃の1〜2か月分を管理会社や仲介業者に支払うケースが一般的で、入居者の入れ替わりが多い物件では収益を圧迫します。退去時の原状回復費用や、入居促進のためのフリーレント設定による家賃減収も計算に入れておく必要があります。前述した募集賃料と反響賃料の差を踏まえると、これらのコストは想定より重くのしかかることがあるのです。

空室リスクと市場の供給状況

空室リスクは不動産投資における最大の懸念事項の一つです。いくら高い利回りの物件を購入しても、入居者がいなければ収入はゼロになってしまいます。ここで押さえておきたいのが、賃貸市場の供給の厚みです。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、共同住宅の空き家は5,028,900戸で、そのうち賃貸用等空き家は4,794,200戸です。民営・民営以外の内訳については別表で示されており、共同住宅の賃貸用等空き家全体における民営の割合については、設問の条件のみでは単純に断定できません。

この数字が示すのは、賃貸需要だけでなく供給の多さも見なければならないという現実です。とくに小型住戸は空き家が集中しているため、単身向けワンルームを検討する際は周辺の競合状況を丁寧に調べる必要があります。物件購入前には、そのエリアの人口動態や賃貸需給のバランスを必ず確認してください。

具体的なキャッシュフローシミュレーション

ここでは実際の数字を使って、月々の手取り額をシミュレーションしてみましょう。複数の市場調査では、区分マンションの全国平均価格と利回りについて様々な報告がなされています。この市場環境を踏まえて、二つのケースを比較します。

ケース1:表面利回り4%の区分マンション

3,000万円の中古区分マンションを想定します。自己資金600万円、残り2,400万円を金利2.4%・期間25年のローンで組んだ場合を考えましょう。年間家賃収入は120万円、つまり月10万円の賃料設定です。ここから空室分として年間6万円、管理費と修繕積立金を年24万円、固定資産税を年10万円、火災保険料を年1万円計上します。

ローン返済額は年間約128万円になります。これらを差し引くと年間の手取りは大きくマイナスに沈み、月平均でも赤字となります。表面利回り4%の区分マンションは、金利が上昇局面にある現在、ローン比率が高いとキャッシュフローがマイナスになりやすいのです。このケースでは自己資金を増やすか、より利回りの高い物件を選ぶ必要があります。

ケース2:表面利回り6.5%前後の物件

同じ価格帯で表面利回り6.5%前後の物件ならどうでしょうか。年間家賃収入は195万円まで増えるため、同じ経費とローン条件を適用しても手取りは黒字に転じます。この2.5ポイントの利回り差が、月々のキャッシュフローを赤字から黒字に変えているのです。

つまり、物件選びの段階で利回りを高める工夫が、長期的な収益に決定的な影響を与えます。物件価格の交渉、リフォームによる賃料アップ、ローン金利の引き下げなど、複数の方法で実質利回りを改善する視点を持ちましょう。加えて、金利が1ポイント上がるだけで返済額が大きく増えるため、変動金利で借りる場合は金利上昇への耐性も必ず確認してください。

融資条件をどう選ぶか

融資条件は収益性に直結する要素です。不動産投資ローンは金融機関によって金利や対象エリア、審査基準が大きく異なるため、複数の選択肢を比較することが欠かせません。ここでは公表条件のある主要な金融機関を整理します。

まず銀行系では、オリックス銀行の不動産投資ローンが2026年7月1日現在で変動金利型年2.425%〜4.425%、借入金額2,000万円以上2億円以下、期間は最長35年となっています。保証料不要で団体信用生命保険が付き、対象は原則として首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市の居住用不動産で、マンションは専有面積40㎡以上が条件です。りそな銀行のアパート・マンションローンは上限5億円、最長35年で、団信は任意加入、担保設定事務取扱手数料は99,000円と、条件面が窓口照会型である点が特徴です。福岡銀行のアパートローンは固定期間を2・3・5・7・10年から選べ、返済期間は最長30年、団信加入時は0.4%加算、担保手数料55,000円で保証料は不要です。三井住友信託銀行は使途が建築から借換まで広く、借入額3億円以内、期間は最長35年ながら原則として建物の法定耐用年数以内とされています。

これらの銀行系で条件が合わない場合は、ノンバンク系が選択肢になります。セゾンファンデックスの不動産投資ローンは2026年5月時点で融資年率4.4〜5.8%、融資金額500万円〜5億円で、団信ありの変動金利が4.9〜5.8%、団信なしが4.4〜5.2%です。金利は銀行系より高い一方、永住権のない外国人にも門戸を開くなど、属性や物件の柔軟性が高い点が特徴です。ただし事務手数料が融資額の1.65%以内、調査料が0.55%以内かかる点は見込んでおきましょう。

一方、事業として一定要件を満たす場合は公的融資も検討できます。日本政策金融公庫の国民生活事業では、一定の要件を満たす不動産賃貸業も対象になりうるとされ、一般貸付の融資限度額は4,800万円、特定設備資金は7,200万円です。また住宅金融支援機構の賃貸住宅融資は省エネ賃貸住宅やサービス付き高齢者向け賃貸住宅の建設が対象となります。これらは使える人と使えない人が明確に分かれるため、ご自身の物件や事業計画が対象になるかを事前に確認することが大切です。融資条件は改正されることがあるため、最新情報は各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。

税務のポイントと手取りへの影響

家賃収入から得られる手取りを考えるうえで、税務の仕組みを理解しておくことは欠かせません。前述のとおり、不動産所得は総収入金額から必要経費を差し引いて計算され、所得税と住民税はこの不動産所得に対して課税されます。したがって、適切な経費計上が節税につながります。

ローン金利のうち建物にかかる部分は必要経費に計上できますが、ここで注意すべき点があります。国税庁によると、土地等を取得するために要した負債の利子は、不動産所得が赤字となった場合、その負債利子に相当する部分の損失は生じなかったものとみなされ、他の所得との損益通算はできません。会社員が赤字を給与所得と通算して節税を狙う際、土地取得分の利子は制限がかかることを理解しておく必要があります。

減価償却費の計上も重要な考え方です。建物部分は法定耐用年数に応じて毎年経費として計上でき、実際にはお金が出ていかないにもかかわらず所得を圧縮できます。ただし、損益通算を目的とした投資は本末転倒であり、あくまでキャッシュフローがプラスになることを前提とした計画が大切です。個別の税務判断は事情によって異なるため、詳細は税理士や国税庁の公式情報でご確認ください。

よくある質問

家賃収入で月5万円を得るにはいくら必要ですか?

目安として1,000万円から1,500万円程度の物件を現金で購入すれば、月5万円程度の手取りを期待できるケースがあります。ローンを利用する場合は自己資金比率を高め、物件価格の30%程度を頭金として用意することで、月々の返済負担を抑えながら目標に近づけやすくなります。ただし空室や経費を見込んだ実質利回りで試算することが前提です。

会社員でも家賃収入を得ることはできますか?

会社員として安定した収入がある方は、むしろ融資審査で有利に働くことが多いです。賃貸管理を専門会社に委託すれば、入居者対応や家賃回収などの実務を任せられるため、本業に支障なく続けられます。多くの投資家が会社勤めをしながら副収入として家賃収入を得ています。

空室が長期間続いた場合の対策は?

まず賃料設定の見直しを検討してください。周辺相場より高い賃料では入居者が決まりにくくなります。室内のリフォームや設備更新で競争力を高める方法もあります。ただし小型住戸は空き家の供給が多いため、根本的には購入段階で需給バランスの良いエリアを選ぶことが最も重要です。

まとめ

家賃収入で月いくら稼げるかは、物件タイプ、立地、融資条件によって大きく異なります。全国平均の借家家賃が一定の水準にある一方、東京23区の広めのマンションでは月25万円を超えるなど、エリアと面積による差は非常に大きいのが実情です。ただし、募集賃料と実際の反響賃料には差があり、供給過剰の小型住戸も多いため、表面の数字だけで判断すると実際の収支とのギャップに悩まされます。

投資を成功させるためには、実質利回りでの計算を習慣づけ、ローン返済額や固定費、空室損を含めたキャッシュフローを確認することが欠かせません。融資は金利の低い銀行系から柔軟性の高いノンバンク、条件が合えば公的融資まで幅広い選択肢があり、ご自身の属性と物件に合った借入先を比較することが手取りを左右します。まずは具体的な数字でシミュレーションを行い、着実な資金計画のもとで安定した家賃収入を実現しましょう。

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