不動産の税金

不動産投資の節税に使える損益通算の仕組みと注意点

不動産投資に興味を持つ方の多くが、「節税効果があると聞いたけれど、具体的にどういう仕組みなのかわからない」という疑問を抱えています。特に「損益通算」という言葉は耳にしたことがあっても、実際に自分の税金がどう変わるのかイメージしにくいものです。この記事では、不動産投資における損益通算の基本的な仕組みから節税効果の考え方、そして見落としがちな注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。正しく理解して活用することで、不動産投資をより賢く進める第一歩にしてください。

損益通算とは何か、なぜ節税になるのか

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不動産投資の節税を語るうえで、まず押さえておきたいのが「損益通算」という制度の仕組みです。損益通算とは、ある所得で生じた赤字を、別の所得の黒字と相殺できる制度のことを指します。たとえば会社員として給与所得がある方が、不動産投資で不動産所得の赤字を出した場合、その赤字を給与所得から差し引くことができます。

国税庁の情報(No.1391)によると、不動産所得の赤字は原則として他の黒字の所得金額から差し引くことができます。これが節税につながる理由は、所得税や住民税が「課税所得」に対してかかる仕組みにあります。損益通算によって課税所得が減れば、その分だけ納める税金も少なくなるわけです。

たとえば給与所得が500万円あり、不動産所得が100万円の赤字だったとします。損益通算を行うと課税所得は400万円になり、500万円のままの場合と比べて税負担が軽くなります。この差額が、いわゆる「節税効果」として実感できる部分です。

ただし、節税効果を得るためには不動産所得がどのように計算されるかを理解することが欠かせません。国税庁(No.1370)によれば、不動産所得は「総収入金額 − 必要経費 = 不動産所得の金額」という式で計算されます。つまり、家賃収入などの収入から、かかった経費を引いた残りが不動産所得となります。

必要経費として計上できるものとは

必要経費として計上できるものとはのイメージ

不動産所得の赤字を生み出す要素として重要なのが、必要経費の存在です。国税庁(No.1370)が明示している代表的な必要経費には、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などがあります。これらを適切に計上することで、帳簿上の不動産所得が赤字になり、損益通算の対象となります。

なかでも減価償却費は、実際に現金が出ていかないにもかかわらず経費として計上できるため、節税効果を高める要素として注目されます。建物は時間の経過とともに価値が減少するという考え方に基づき、その減少分を毎年経費として計上できる仕組みです。現金支出を伴わない経費が計上されることで、帳簿上の赤字が生まれやすくなります。

修繕費や損害保険料なども、実際に支出した費用を経費として計上できます。これらを漏れなく記録・申告することが、正確な不動産所得の計算と適切な節税につながります。一方で、経費として認められるかどうかの判断は個別の事情によりますので、不明な点は税理士や国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)に相談することをおすすめします。

損益通算で節税するときの注意点

損益通算には節税効果がある一方で、いくつかの重要な例外と制限があります。これらを知らずに投資計画を立てると、期待していた節税効果が得られないケースがあるため、しっかり確認しておく必要があります。

まず注意したいのが、土地取得のための借入金利子に関するルールです。国税庁(No.2250)によれば、土地や借地権などの取得のために要した負債の利子に相当する損失部分は、赤字時の損益通算の対象外となります。つまり、土地部分の借入金利子が経費に含まれていても、その分は損益通算に使えないということです。建物と土地を一体で購入した場合には、この点を意識した計算が必要になります。

次に、別荘など主として趣味・娯楽・保養目的で所有する不動産の貸付けによる損失は、損益通算できないとされています(国税庁 No.2250)。投資目的ではなく個人的な利用が主体の不動産は、制度の対象外となる点を覚えておきましょう。

また、民法組合等の特定組合員や一定の信託受益者に生じた不動産所得の損失は、他の不動産所得の黒字との相殺も、他の所得との損益通算もできません(国税庁 No.1391)。不動産小口化商品や特定の組合形式の投資スキームを検討している方は、この点を事前に確認することが大切です。

さらに、令和3年分以後については、国外中古建物の簡便法等による減価償却費相当の損失は、不動産所得内での内部通算も、他の所得との損益通算もできないというルールが設けられています(国税庁 No.2250)。海外不動産への投資を検討している方は特に注意が必要です。

青色申告と純損失の繰越控除で節税効果を高める

損益通算をより効果的に活用するうえで、青色申告制度の活用は欠かせません。青色申告を選択することで、損益通算後もなお控除しきれない純損失が残った場合に、翌年以後3年間にわたってその損失を繰り越せる「純損失の繰越控除」が利用できます(国税庁 令和7年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き)。

純損失とは、事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得の損失のうち、損益通算をしてもなお控除しきれない金額のことをいいます。この繰越控除を使えば、今年の赤字を来年以降の黒字と相殺できるため、長期的な節税計画を立てやすくなります。一方、白色申告では純損失の繰越しは原則として広く認められておらず、変動所得や被災事業用資産などに限られるため、節税効果の面では青色申告が有利です。

青色申告の承認申請は、原則としてその年の3月15日までに行う必要があります。1月16日以後に新たに不動産の貸付けを始めた場合は、開始日から2か月以内に申請することが求められます(国税庁 A1-8)。申告の際には、青色申告者は青色申告決算書を、白色申告者は収支内訳書を作成し、確定申告書と一緒に提出します(国税庁 手順2)。なお、令和7年分の所得税の申告・納付期限は令和8年3月16日(月)です(国税庁 令和7年分 確定申告特集)。

不動産売却時の譲渡損失は損益通算できるのか

不動産投資を続けていると、いずれ物件を売却するタイミングが訪れます。そのとき売却損が出た場合、賃貸運用中の不動産所得の赤字と同じように損益通算できるのかという疑問を持つ方も多いでしょう。

実は、賃貸運用で生じる不動産所得の赤字と、不動産を売却したときの譲渡損失は別物として扱われます。国税庁(No.3203)によれば、不動産の譲渡損失は原則として給与所得などの他の所得と損益通算することはできません。この点は多くの初心者が誤解しやすいポイントですので、しっかり押さえておきましょう。

ただし例外もあります。長期譲渡所得に該当する居住用財産の譲渡損失については、一定の要件を満たす場合に限り、他の所得と損益通算でき、なお控除しきれなければ3年間繰り越せる制度があります(国税庁 No.3203)。ただし、この特例は投資用不動産ではなく居住用財産が対象であり、適用要件も細かく定められています。具体的な要件については、国税庁の公式サイトや税理士への相談で最新情報を確認することをおすすめします。

まとめ

不動産投資における損益通算は、不動産所得の赤字を給与所得などの他の所得と相殺することで課税所得を減らし、節税効果をもたらす仕組みです。固定資産税や減価償却費などの必要経費を適切に計上することが、この仕組みを活かす基本となります。一方で、土地取得のための借入金利子や特定の組合形式の損失など、損益通算の対象外となるケースも複数あるため、制度の全体像を正しく理解することが大切です。

青色申告を選択して純損失の繰越控除を活用すれば、長期的な節税計画も立てやすくなります。不動産投資の節税は「知っているかどうか」で大きな差が生まれる分野です。まずは今回解説した基本を押さえ、具体的な計画を立てる際には税理士や国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)に相談しながら進めることで、安心して投資を続けられるでしょう。

参考文献・出典

  • 国税庁 No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm
  • 国税庁 No.2250 損益通算 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm
  • 国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
  • 国税庁 No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm
  • 国税庁 令和7年分 確定申告特集 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/
  • 国税庁 令和7年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(損失申告用) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/003.pdf
  • 国税庁 A1-8 所得税の青色申告承認申請手続 — https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
  • 国税庁 国税に関するご相談について — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/
  • 国税庁 手順2 収入金額等、所得金額を計算する — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/03/order2/3-2_03.htm

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