旧耐震マンションのリノベーションを検討しているけれど、「そもそも住宅ローンを組めるのだろうか」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。確かに、旧耐震基準の物件は銀行によって審査の可否が大きく異なり、どこに相談すればよいか分からないまま時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。この記事では、旧耐震マンションとリノベーションローンの基本的な仕組みから、実際に融資を受けられる可能性がある銀行の特徴まで、初心者にも分かりやすく解説します。物件選びの前にぜひ一度、全体像を把握しておきましょう。
旧耐震マンションとは何か、なぜローンが難しいのか

まず押さえておきたいのは、「旧耐震基準」という言葉の意味です。日本では1981年6月1日を境に、建築基準法上の耐震基準が大きく変わりました。それ以前に建築確認を受けた建物が「旧耐震基準」に該当し、それ以降のものが「新耐震基準」と呼ばれています。この区分は、銀行が住宅ローンの審査をする際の重要な判断材料になっています。
なぜ旧耐震物件のローンが難しいかというと、銀行にとって担保価値の評価が難しいからです。地震による倒壊リスクが相対的に高いとみなされる物件は、万が一ローンが返済不能になった際に担保として処分しにくいと判断されます。そのため、多くの銀行は旧耐震物件への融資に慎重な姿勢をとっています。
一方で、旧耐震マンションは新耐震基準の物件と比べて購入価格が抑えられるケースが多く、リノベーションを加えることで快適な住環境を実現できる点が魅力です。都心部の築古マンションを安く買ってリノベーションするという戦略は、不動産投資家だけでなく自己居住目的の購入者にも注目されています。ただし、ローンの壁を乗り越えるためには、どの銀行がどのような条件で融資してくれるかを事前に把握しておくことが欠かせません。
旧耐震マンションのリノベローンに積極的な銀行

実は、旧耐震マンションへの融資を明確に認めている銀行はいくつか存在します。銀行ごとに条件が異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで自分に合った選択肢を探すことが大切です。
東京スター銀行の「スターセレクト住宅ローン」は、旧耐震構造のリノベーションマンションでも購入価格の100%融資・最長35年での申込が可能とされています(東京スター銀行 https://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/homeloan/homeloan_select/)。さらに、耐震診断の有無にかかわらず申込自体は受け付けており、建築基準法その他の法令に適合している物件であることが条件とされています(東京スター銀行サポート https://support.tokyostarbank.co.jp/answer/666831853d58d4a3aaec8afd/)。頭金なしで購入できる可能性がある点は、自己資金が限られている方にとって大きなメリットといえます。
auじぶん銀行も、公式FAQで「旧耐震の物件でもお申込みいただけます」と明記しているネット銀行のひとつです(auじぶん銀行 https://help.jibunbank.co.jp/faq_detail.html?category=2094&id=1944&page=1)。審査は申込内容や提出書類をもとに総合的に判断されるとのことで、一律に門前払いにはならない姿勢が示されています。なお、借換変動金利と事務手数料については、auじぶん銀行の公式サイトで最新の金利・手数料情報をご確認ください(auじぶん銀行 https://www.jibunbank.co.jp/interest_and_commission/interest/?cid=gaikald)。借入期間を35年1か月以上とする場合は年0.1%の上乗せが発生する点にも注意が必要です。
一方、楽天銀行は公式サイトで「旧耐震基準のお取り扱いはございません」と明記しており、旧耐震物件を検討している場合は候補から外す必要があります(楽天銀行 https://www.rakuten-bank.co.jp/home-loan/terms/kyutaishinkijun/)。銀行によってこれほど対応が異なるため、事前のリサーチが非常に重要です。
耐震適合証明書が鍵を握る銀行の条件
旧耐震マンションでも、「耐震適合証明書」を取得することで融資の扉が開く銀行があります。この証明書は、旧耐震基準で建てられた建物が現行の新耐震基準を満たしていることを証明するもので、耐震診断を経て発行されます。
りそな銀行は、旧耐震基準物件の住宅ローン利用について「耐震診断実施済みで適合証明書がある場合に限り、ご利用できます」と公式FAQで明確に回答しています(りそな銀行 https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/faq/faq_jutaku_0120.html)。つまり、証明書さえ取得できれば融資の対象になるということです。りそな銀行には「リフォーム資金セット型」という商品もあり、中古住宅の購入資金・諸経費・リフォーム資金をまとめて借りられ、借入期間は1年以上40年以内(固定金利選択型の場合は35年以内)となっています(りそな銀行 https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/reform_shikin/shinki.html)。費用面では、融資手数料型が借入金額の2.2%、金利上乗せ型が年0.3%加算という体系です。
伊予銀行の「リフォームプラン」も、一定の築年数以前に建築された物件については耐震基準適合証明書の提出を要件としています(伊予銀行 https://www.iyobank.co.jp/kariru/marugoto/reformplan/index.html)。ただし、この商品は中古マンション購入時の融資期間を最長50年かつ「65年-築年数」まで拡大しており、築古物件でも長期返済が可能な点が特徴的です。2026年8月時点の新変動金利型は0.95%〜となっており(伊予銀行 https://www.iyobank.co.jp/kinri-gaikokukawasesoba-market/monthly/kojinloankinri.html)、金利水準としては比較的低めに設定されています。
耐震適合証明書の取得には費用と時間がかかりますが、証明書を取得することで融資の選択肢が広がるだけでなく、住宅ローン控除の適用要件を満たせる可能性も出てきます。旧耐震マンションの購入を検討する際は、物件の耐震診断状況を早めに確認しておくことをおすすめします。
リノベ費用も一緒に借りられる商品を活用する
旧耐震マンションを購入してリノベーションする場合、物件購入費とリノベーション費用を別々に借りると手続きが煩雑になりがちです。そこで注目したいのが、購入資金とリフォーム資金を一本化して借りられるローン商品です。
みずほ銀行の「中古・リフォーム一体型」住宅ローンは、リフォーム資金にも住宅ローンと同じ金利を適用し、中古住宅の築年数に関係なく最長35年での申込が可能とされています(みずほ銀行 https://www.mizuhobank.co.jp/loan_housing/lineup/remodel/index.html)。借入金額は50万円以上3億円以内で、支払時期が異なる場合は分割実行にも対応しています。また、リフォームの内容によってはリフォーム部分の価値も加味して審査が行われるため、大規模なリノベーションを予定している場合は有利に働く可能性があります。なお、旧耐震物件への対応可否は個別の審査によりますので、事前に窓口へ確認することが重要です。
銀行での審査が難しい場合の代替手段として、フラット35リノベも選択肢のひとつです。フラット35リノベは、中古住宅の購入資金と同時のリフォーム資金を対象にできる全期間固定型のローンです(住宅金融支援機構 https://www.flat35.com/loan/lineup/reno/conditions01.html)。2026年8月の金利は、借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下の場合、年3.290%〜年5.570%(最頻値3.290%)となっています(住宅金融支援機構 https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top/)。変動金利と比べると金利水準は高めですが、将来の金利上昇リスクを排除できる安心感があります。
イオン銀行では、国土交通省が定める「安心R住宅」やR1・R3住宅認定を受けたリノベーション済み中古マンションに対して、住宅ローン金利プランを適用できる仕組みがあります(イオン銀行 https://www.aeonbank.co.jp/housing-loan/new/renovated/)。安心R住宅は新耐震基準等への適合が条件とされているため(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000038.html)、旧耐震マンションでもこの認定を取得していれば耐震面の一定条件をクリアしていると判断できます。2026年8月時点の変動金利は、物件価格の80%以内の借入で1.04%〜、80%超で1.12%〜となっています(イオン銀行 https://www.aeonbank.co.jp/interest/housing-loan/)。
まとめ
旧耐震マンションのリノベーションローンは、銀行によって対応が大きく異なります。東京スター銀行やauじぶん銀行のように旧耐震物件への申込を認めている銀行がある一方、楽天銀行のように明確に対象外としている銀行もあります。りそな銀行や伊予銀行のように耐震適合証明書の取得を条件とするケースも多く、物件の耐震診断状況を早めに確認することが成功への近道です。また、みずほ銀行の一体型ローンやフラット35リノベのように、購入費とリノベ費用をまとめて借りられる商品も積極的に活用しましょう。まずは複数の金融機関に相談し、自分の物件と資金計画に合った最適な選択肢を見つけることが大切です。
参考文献・出典
- 東京スター銀行 スターセレクト住宅ローン — https://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/homeloan/homeloan_select/
- 東京スター銀行 よくある質問(旧耐震物件の申込可否) — https://support.tokyostarbank.co.jp/answer/666831853d58d4a3aaec8afd/
- 伊予銀行 リフォームプラン — https://www.iyobank.co.jp/kariru/marugoto/reformplan/index.html
- 伊予銀行 個人ローン金利一覧(2026年8月) — https://www.iyobank.co.jp/kinri-gaikokukawasesoba-market/monthly/kojinloankinri.html
- みずほ銀行 中古・リフォーム一体型住宅ローン — https://www.mizuhobank.co.jp/loan_housing/lineup/remodel/index.html
- みずほ銀行 住宅ローン金利一覧 — https://www.mizuhobank.co.jp/loan_housing/housingloancost/index.html
- りそな銀行 旧耐震基準物件の住宅ローン利用(FAQ) — https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/faq/faq_jutaku_0120.html
- りそな銀行 リフォーム資金セット型 — https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/reform_shikin/shinki.html
- イオン銀行 リノベーション済み中古マンションのご購入について — https://www.aeonbank.co.jp/housing-loan/new/renovated/
- イオン銀行 住宅ローン金利 — https://www.aeonbank.co.jp/interest/housing-loan/
- auじぶん銀行 旧耐震物件の申込可否(FAQ) — https://help.jibunbank.co.jp/faq_detail.html?category=2094&id=1944&page=1
- auじぶん銀行 金利一覧 — https://www.jibunbank.co.jp/interest_and_commission/interest/?cid=gaikald
- 住宅金融支援機構 フラット35リノベ ご利用条件 — https://www.flat35.com/loan/lineup/reno/conditions01.html
- 住宅金融支援機構 フラット35最新金利情報(2026年8月) — https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top/
- 国土交通省 安心R住宅 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000038.html
- 楽天銀行 旧耐震基準(住宅ローン用語集) — https://www.rakuten-bank.co.jp/home-loan/terms/kyutaishinkijun/