「今の家の住宅ローンが残っているのに、もう一軒買いたい」と考えたとき、多くの方が最初に感じるのは「本当に借りられるのだろうか」という不安ではないでしょうか。実は、住宅ローンに残債がある状態でも2件目のローンを組める銀行は複数存在します。ただし、通常の住宅ローンとは異なる商品や条件が適用されることが多く、事前に仕組みを理解しておくことが大切です。この記事では、住み替えや買い替えを検討している方に向けて、残債ありでも借りられる銀行の具体的な商品情報と、審査を通過するためのポイントをわかりやすく解説します。
残債があっても借りられる理由と仕組み

まず押さえておきたいのは、「残債あり=絶対に借りられない」というわけではないという点です。銀行によっては、住み替えや買い替えを前提とした専用ローン商品を用意しており、既存の残債を含めて新たな融資を組める仕組みが整っています。
通常の住宅ローン審査では、既存の借入れが返済比率(年収に占める年間返済額の割合)を圧迫するため、2件目の審査が厳しくなります。しかし、住み替えローンや買い替えローンと呼ばれる専用商品は、旧居の売却を前提として設計されているため、残債を新しいローンに組み込んで一本化できる仕組みになっています。また、セカンドハウスローンは、旧居を売却せずに2軒目を持ち続けることを前提とした商品です。つまり、目的や状況によって利用すべき商品が異なるため、まず自分がどちらのケースに当てはまるかを整理することが重要です。
住み替え・買い替えローンを提供する主な銀行

旧居を売却して新居に移る「住み替え」を検討している方には、専用の住み替えローン・買い替えローンが有力な選択肢となります。代表的な銀行の商品を見ていきましょう。
三井住友銀行のWEB申込専用住み替えローンは、新居の購入資金と旧居売却後に残る住宅ローン残債をまとめて借りられる商品です(三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/shouhin/web_sumikae/)。新規購入・建築分は最長39年11カ月、既存住宅ローン返済分は最長35年で借り入れが可能です。銀行手数料は融資金額の2.2%(税込)で、保証料は金利内包、団信保険料は銀行負担となっています。2026年7月1日現在の店頭金利は変動型で年3.125%、固定金利特約型は期間によって異なり、2年固定で年4.900%、10年固定で年6.100%などとなっています(三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/kinri/loan.html)。
みずほ銀行の買い替えローンは、新規に購入する自宅の取得資金と、売却する旧自宅の住宅ローン返済資金を対象としています(みずほ銀行 https://www.mizuhobank.co.jp/loan_housing/lineup/replacement_lineup/index.html)。借入額は50万円以上3億円以内、期間は1年以上35年以内です。ただし、返済資金のみを目的とした借り入れはできない点に注意が必要です。また、売却予定の旧自宅の住宅ローンに延滞等がないことが条件となっており、ローン取扱手数料型では借入金額の2.2%を支払う形式です。
りそな銀行・埼玉りそな銀行は、「住みかえプラン」と「住みかえローン」の2種類を提供しています(りそな銀行 https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/sumikae/)。住みかえローンは、現在の住宅ローンを3年以上正常に返済していることが条件で、新居購入資金と「現在の住宅ローン残高と旧居売却価格との差額」を合わせて借りられます。借入額は50万円以上3億円以内、最長40年で、返済比率35%以内という条件が設けられています。住みかえプランでは、新居への住み替え後1年間の元金据置も可能なため、旧居売却が完了するまでの資金繰りに余裕が生まれます。
セカンドハウスローンで2軒目を持ち続ける選択肢
旧居を売却せず、2軒目を新たに購入したい場合に活用できるのがセカンドハウスローンです。通常の住宅ローンとは異なり、既に住宅ローンがある状態でも申し込める商品が複数の銀行から提供されています。
イオン銀行のセカンドハウスローンは、本人または配偶者が日本国内に自宅を所有していることを前提とした商品です(イオン銀行 https://www.aeonbank.co.jp/housing-loan/second-house/)。借入額は200万円以上2億円以内、期間は3年以上35年以内で、前年度年収500万円以上・給与所得者は勤続3年以上などの条件があります。2026年8月1日現在の店頭表示利率は年3.22%で、最大年1.48%の引き下げが適用されます(イオン銀行 https://www.aeonbank.co.jp/housing-loan/second-house/)。
三菱UFJ銀行のセカンド住宅ローンは、自己利用のセカンドハウス・別荘だけでなく、家族が居住する住宅の購入にも使える点が特徴です(三菱UFJ銀行 https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/shouhin/second/pdf/sjl_setsumei_02.pdf)。借入額は500万円以上1億円以内、期間は2年以上40年以内で、事務手数料は2.2%、保証料は不要です。変動金利と固定金利を選べるほか、借入時から最長1年間の元金返済据置も可能なため、引越し直後の出費が重なる時期でも返済計画を立てやすくなっています。
東京スター銀行のセカンドハウス・別荘ローンは、住宅ローンが残っていても申し込み可能で、購入物件以外の戸建て・マンション・アパート・更地・駐車場にも担保設定できる柔軟性が魅力です(東京スター銀行 https://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/mortgage_collateral/second_house.html)。融資期間は1年以上30年以内、融資金額は100万円以上で、事務手数料は2.2%〜3.3%となっています。
審査を通過するために知っておくべきポイント
重要なのは、2件目のローン審査では1件目よりも厳しい基準が適用されることが多いという点です。事前に審査のポイントを理解しておくことで、通過率を高めることができます。
最も重視されるのが返済比率です。一般的には、年収に占める全借入れの年間返済額の割合が一定水準以内に収まることが求められます。たとえば住宅金融支援機構のリ・バース60では、年収400万円未満の場合は30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下という基準が設けられています(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/kojin/yushihoken_revmo/jouken.html)。各銀行でも同様の基準が設けられていることが多く、既存の住宅ローン返済額と新たなローンの返済額を合算した上で、この比率に収まるかどうかが審査の鍵となります。
次に大切なのが、既存ローンの返済実績です。りそな銀行の住みかえローンでは「現在の住宅ローンを3年以上正常に返済していること」、みずほ銀行の買い替えローンでは「売却予定自宅の住宅ローンに延滞等がないこと」が条件として明記されています。これは多くの銀行に共通する考え方であり、過去の返済履歴が良好であることが審査通過の大前提となります。また、担保評価も重要な要素です。りそな銀行の住みかえローンでは、担保となる自宅の評価額に基づいて借入上限が管理されており、物件の価値が融資額に直接影響します。
60歳以上の方向けの選択肢:リ・バース60
実は、60歳以上の方には住宅金融支援機構が提供する「リ・バース60」という選択肢もあります。この制度は、毎月の支払いを利息のみとし、元金は自宅売却時や相続時に一括返済する仕組みです(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/kojin/yushihoken_revmo/jouken.html)。
リ・バース60は、セカンドハウスの購入・リフォームにも対応しており、既存の住宅ローンの借換にも使えます。毎月の返済が利息のみとなるため、年金収入が中心のシニア世代でも月々の負担を抑えながら2件目の取得を検討できる点が大きなメリットです。ただし、第1順位の抵当権設定が必要であり、物件の担保価値が重要な審査基準となります。また、返済比率の基準として年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下が設けられているため、既存の借入れも含めた総合的な返済計画を立てることが必要です。
まとめ
住宅ローンに残債がある状態でも、目的と状況に合った商品を選べば2件目のローンを借りることは十分に可能です。旧居を売却して住み替える場合は三井住友銀行・みずほ銀行・りそな銀行などの住み替えローン・買い替えローンが、旧居を手放さずに2軒目を持ちたい場合はイオン銀行・三菱UFJ銀行・東京スター銀行などのセカンドハウスローンが有力な選択肢となります。審査を通過するためには、返済比率の管理と既存ローンの返済実績が特に重要です。まずは自分の年収・残債額・購入希望物件の価格を整理した上で、複数の銀行に相談してみることをおすすめします。各銀行の最新の金利や条件は変動することがあるため、必ず各銀行の公式サイトや窓口で最新情報をご確認ください。
参考文献・出典
- 三井住友銀行 WEB申込専用住み替えローン — https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/shouhin/web_sumikae/
- 三井住友銀行 ローン金利 — https://www.smbc.co.jp/kojin/kinri/loan.html
- みずほ銀行 みずほ買い替えローン商品概要 — https://www.mizuhobank.co.jp/loan_housing/lineup/replacement_lineup/index.html
- りそな銀行・埼玉りそな銀行 住みかえプラン・住みかえローン — https://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/sumikae/
- イオン銀行 セカンドハウスローン — https://www.aeonbank.co.jp/housing-loan/second-house/
- イオン銀行 セカンドハウスローン 商品概要説明書 — https://www.aeonbank.co.jp/content/dam/abk/products_list/pdf/second_house_loan.pdf
- 三菱UFJ銀行 セカンド住宅ローン — https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/shouhin/second/pdf/sjl_setsumei_02.pdf
- 東京スター銀行 セカンドハウス・別荘ローン — https://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/mortgage_collateral/second_house.html
- 足利銀行 セカンドハウスローンNEXT — https://www.ashikagabank.co.jp/loan/house/secoundhouse.html
- 住宅金融支援機構 リ・バース60 — https://www.jhf.go.jp/kojin/yushihoken_revmo/jouken.html
- 住宅金融支援機構 フラット35(ホームファーストファイナンス) — https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/view/1390/2