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賃貸の申込金・手付金とは?返金ルールと相場を解説

賃貸物件を探していると、申し込みの際に「申込金」や「手付金」を求められることがあります。「これって何のお金?」「キャンセルしたら返ってくるの?」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。実は、名目が似ていても申込金と手付金では法的な扱いが大きく異なり、返金されるかどうかも変わってきます。この記事では、賃貸における申込金・手付金の意味や相場、返金のルール、そしてトラブルを防ぐための注意点をわかりやすく解説します。物件探し中の方はもちろん、すでに申込金を支払ってしまった方にも役立つ内容です。

申込金・手付金とは何か

申込金・手付金とは何かのイメージ

賃貸物件の申し込みで求められる「申込金」は、入居の意思を示すために支払う一時金です。不動産会社によって「預かり金」「申込証拠金」などと呼ばれることもありますが、基本的な性質は同じです。

申込金の目的は、他の申込者より優先的に入居審査を進めてもらうための意思表示にあります。公益財団法人不動産流通推進センターの解説によると、申込金は「他に申し込みがあった場合に優先的に入居審査をしてもらう」などの目的で支払う金銭とされています。つまり、物件を「仮押さえ」するためのお金というイメージです。

一方、「手付金」は契約が成立した証拠として授受される金銭で、法的な意味合いが異なります。賃貸の場面では申込金と混同されがちですが、手付金として支払った場合、借主都合でキャンセルすると返金されないのが原則です。名目が違うだけで同じお金に見えても、受け取った書類に「手付金」と書かれているかどうかで、返金の可否が大きく変わってきます。

重要なのは、契約前に支払う金銭は名目を問わず「預り金」として扱われるという点です。守口市の自治体資料によると、「契約成立前の申込み時に支払う金銭は、申込金・手付金・内金などの名目を問わずすべて預り金とみなされ、法律では、預り金の返金を拒んではならないとされています」と明記されています(守口市資料)。つまり、契約が成立する前であれば、契約書に定められた条件に基づいて返金を求めることができるということです。

申込金の相場はどのくらいか

申込金の相場はどのくらいかのイメージ

申込金の金額は不動産会社によってさまざまで、全国一律の公的統計は現時点では確認されていません。ただし、複数の業界資料から相場感をつかむことはできます。

アットホームの解説によると、申込金の相場は不動産会社によって異なります。また、UR賃貸住宅のコラムでも「相場は家賃の1か月分程度」と紹介されています(UR賃貸住宅)。一方、公益財団法人不動産流通推進センターの実務解説では「家賃の1か月分以内であることが多い」とされており、複数の情報源が概ね同じ水準を示しています。

注意したいのは、家賃1か月分を大きく超えるような金額を求められた場合です。不動産流通推進センターの解説では、「特に、家賃の1か月分を超えるなど」多額の請求には注意が必要と警告しています。申込金はあくまで意思表示のための一時金であり、高額すぎる場合は立ち止まって確認することが大切です。

また、申込金を支払う際は必ず「預かり証」を受け取るようにしましょう。UR賃貸住宅のコラムでは、「申込金を渡す場合は必ず『預かり証』を発行してもらいましょう。その際、タイトルに『預かり金』と書かれていることも確認してください」と案内しています。もし「手付金」と書かれていれば、支払ったお金の意味合いが変わり、返金されない方向に扱われやすくなるため、書類の確認は非常に重要です。

契約前のキャンセルと返金のルール

申込金を支払った後でも、契約が成立する前であればキャンセルして返金を求めることができます。これは法律上の原則であり、初心者の方にぜひ知っておいていただきたい重要なポイントです。

東京都の消費生活相談窓口「東京くらしWEB」では、「貸主の承諾前なので契約は成立していません。契約が成立する前に申込みを取りやめ(撤回)ても、違約金や損害賠償を請求されることはありません」と解説されています(東京くらしWEB)。

では、契約が成立するのはいつでしょうか。契約成立の時点は実務上や契約条項によって判断が異なるケースもあるため、個別の状況によっては争いが生じることもあります。守口市の自治体資料によると、「貸主の『貸す』という意思表示(審査承諾)がなされたときに賃貸借契約は成立すると考えられます」と整理されています(守口市資料)。

国土交通省の相談対応事例集には、「申込書に記入し、申込金として1万円を支払った」ケースでも、「キャンセルできます。また、契約成立前に不動産業者から要求されて支払った申込金は、預かり金として返還」されると示されています(国土交通省)。申込金を支払っていても、審査が通る前の段階であれば、基本的にキャンセルと返金が認められると理解しておきましょう。

契約成立後のキャンセルはどうなるか

契約が成立した後のキャンセルは、契約前とは状況が大きく異なります。この点を正しく理解しておくことが、後悔のない物件選びにつながります。

東京くらしWEBによると、「契約が成立すれば、一方的に解約はできません。また、敷金は返還されますが、礼金は通常は返金されません。仲介手数料は、仲介してくれた不動産仲介業者に払う成功報酬なので、契約が成立した場合は、返金されません」と整理されています(東京くらしWEB)。つまり、契約後にキャンセルすると、礼金や仲介手数料は戻ってこないのが原則です。

申込金についても、契約成立後は扱いが変わります。守口市の資料によると、「契約前の預り金は申込証拠金として本来返還されるべき性質の金銭ですが、契約成立後は契約した証拠としての手付金にあてられることが多く、借主から解約を申し出ると『手付流し』として返金されないことになります」とされています(守口市資料)。一方、公益財団法人不動産流通推進センターの専門解説では、賃貸では申込金が自動的に手付金へ振り替わるとは考えにくく、通常は賃料の一部に組み込まれると解釈する方が実務に合致するという見方も示されています。このように、契約成立後の申込金の扱いは実務上の解釈が分かれる部分もあるため、契約前に不動産会社へ確認しておくことをおすすめします。

なお、契約成立後に借主が解約する場合の手続きについては、国土交通省の賃貸住宅標準契約書に参考となる条項例があります。同契約書では、「解約申入れの日から30日分の賃料を支払うことにより、解約申入れの日から起算して30日を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる」という条項例が示されています(国土交通省)。ただしこれはあくまで標準的な例であり、実際の契約内容は個別に確認が必要です。

申込金・手付金のトラブルを防ぐために

申込金に関するトラブルは、事前の確認と書類の管理で多くを防ぐことができます。実際に困ったときの相談先も知っておくと安心です。

まず、申込金を支払う前に「返金条件」を口頭だけでなく書面で確認することが大切です。国土交通省の標準賃貸借媒介契約の解説では、賃貸借契約成立前に業者が借主へ金銭の預託を要請すること自体を抑制しており、「依頼者からの要請で預かった場合においても、成約の如何にかかわらず依頼者に返還しなければならない」とされています(国土交通省)。この原則を知っておくだけで、不当な没収に対して毅然と対応できます。

また、宅地建物取引業法施行規則の返還規定は、買受けの申込みの撤回や売買契約解除に関するものです。賃貸の申込金を契約成立前に没収する取扱いが、この規定に直ちに当たるとはいえません。悪質な対応を受けた場合は、泣き寝入りせずに相談機関へ連絡することが重要です。

返金トラブルが発生した際は、支払いの証拠となる書類(預かり証・領収書など)を必ず手元に保管しておきましょう。国民生活センターのFAQでは、「支払ったことがわかる書面を受け取りましょう」と案内しており、相談窓口として消費者ホットライン「188(いやや!)番」を紹介しています(国民生活センター)。電話一本で専門家に相談できるため、困ったときはぜひ活用してください。

まとめ

賃貸の申込金は、契約成立前であれば名目を問わず返金を求めることができます。一方、「手付金」と記載された書類を受け取ってしまうと、返金されにくくなるリスクがあるため、書類の確認は欠かせません。相場は不動産会社によって異なりますが、高額すぎる請求には注意が必要です。

物件探しは焦りがちですが、申込金を支払う前に返金条件を確認し、必ず「預かり証」を受け取る習慣をつけましょう。万が一トラブルになった場合は、消費者ホットライン「188番」や各都道府県の消費生活センターに相談することで、適切なサポートを受けられます。正しい知識を持って物件探しを進めることが、安心できる賃貸生活への第一歩です。

参考文献・出典

  • 国民生活センター(消費者トラブルFAQ)「賃貸住宅:申込金を返金してほしい(契約前)」 — https://www.faq.kokusen.go.jp/faq/show/237?site_domain=default
  • 東京都生活文化局(東京くらしWEB)「賃貸アパートを押さえるために預けたお金を返してくれない」 — https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/sodan/faq/main/135.html
  • 東京都生活文化局(東京くらしWEB)「アパートを借りる契約をしたが気が変わった。払ったお金は戻るか」 — https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/sodan/faq/main/136.html
  • 国土交通省「住宅の標準賃貸借媒介契約約款及び標準賃貸借代理契約約款について(解説)」 — https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/017/74000495/74000495.html
  • 国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001493363.pdf
  • 国土交通省「賃貸住宅標準契約書(改訂版)」 — https://www.mlit.go.jp/common/001319685.pdf
  • 国土交通省「不動産取引に関するお知らせ(消費者向け)」 — https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
  • 大阪府「お金を払った後にキャンセルしたいが、お金は返金される?」 — https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/34956/azukarikin_3.pdf
  • 守口市「賃貸住宅契約の申込金」 — https://www.city.moriguchi.osaka.jp/material/files/group/62/7-1.pdf
  • 公益財団法人不動産流通推進センター「賃貸の申込書に記載された申込金が手付金に振り替わるという文言の有効性」 — https://www.retpc.jp/archives/29532/
  • UR賃貸住宅「賃貸物件の申し込み、キャンセルすると費用はいくらかかる?」 — https://www.ur-net.go.jp/chintai/sp/college/201912/000441.html
  • 国民生活センター(消費者トラブルFAQ)「賃貸住宅:退去後、敷金が返還されない」 — https://www.faq.kokusen.go.jp/faq/show/225?site_domain=default

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