「年収600万円でもアパート経営の融資は通るのだろうか」と不安を感じている30代の方は、決して少なくありません。サラリーマンとして安定した収入を得ながらも、将来の資産形成に向けてアパート経営を検討し始めたとき、最初の壁となるのが金融機関からの融資です。実は、年収600万円という水準は、融資を受けられる金融機関の選択肢が広がる一方で、一部の銀行では審査基準を満たせないケースもあります。この記事では、30代・年収600万円の方が融資を通すために知っておくべき金融機関の選び方、審査のポイント、そして成功するための準備について詳しく解説します。
年収600万円が融資審査でどう評価されるか

まず押さえておきたいのは、年収600万円という数字が金融機関によって「十分」にも「不十分」にもなるという現実です。アパート経営向けの融資審査では、年収そのものだけでなく、勤務先の安定性・勤続年数・既存の借入状況・手元の金融資産など、複数の要素が総合的に評価されます。
たとえば、Wealth Agentの調査によると、auじぶん銀行の不動産投資ローンは金融機関によって異なる年収基準が設定されており、年収600万円の方にとってはハードルが高い可能性がある金融機関です。同様に、静岡銀行の一棟アパート向けプランでは、一定以上の年収基準が設定されているプランも存在します。つまり、金融機関を選ばずに申し込むと、審査に通らないばかりか、信用情報に照会履歴が残るリスクもあります。
一方で、年収600万円でも積極的に融資を検討してくれる金融機関は確かに存在します。協同住宅ローン(JA)の専門記事では一定の年収基準が目安として示されており、区分マンション投資であれば香川銀行も同様の基準を設けています(Wealth Agent調べ)。重要なのは、自分の属性に合った金融機関を最初から絞り込んで申し込むことです。
また、30代という年齢は融資審査において有利に働く側面があります。返済期間を長く設定できるため、月々の返済負担を抑えやすく、金融機関から見ても「長期的な取引相手」として評価されやすいのです。ただし、住宅ローンや自動車ローンなどの既存借入がある場合は、返済比率に影響するため事前に整理しておくことが大切です。
年収600万円で狙える金融機関と金利の実態

実際に年収600万円の30代が検討できる金融機関を把握することが、融資戦略の第一歩となります。各行の金利水準と審査基準には大きな差があるため、比較検討が欠かせません。
オリックス銀行は、公式サイトによると変動金利型で年2.425%〜年4.425%の金利レンジを設定しています(2026年7月1日現在)。Wealth Agentの実務情報では年収500万円以上が最低ラインとされており、年収600万円であれば基準を満たす可能性があります。ただし、融資後に物件価格の20%相当の金融資産を手元に残すことが求められるため、自己資金の準備が重要なポイントになります。
スルガ銀行は、公式金利ページで資産活用ローン「スーパーアセットプラン」の参考金利を年2.550%〜5.250%と公開しています(2026年7月1日現在)。Wealth Agentの実務情報によると、LTVは70%〜95%と柔軟に対応しており、収益還元法(DCF)を採用しているため物件の収益性を重視した審査が行われます。一方で、融資後も1,000万円以上の残高が必要とされており、手元資金の確保が求められます。なお、同行の公式サイトでは「掲載利率はあくまで参考」と明記されているため、実際の適用金利は個別の審査結果によって変わります。
協同住宅ローン(JA)は、Wealth Agentの情報によると「資産形成ローン」で金利2.425%〜、最長35年の融資期間が設定されており、一定の年収基準が目安とされています。融資割合は3,000万円〜5,000万円の範囲でLTV90%まで対応しており、自己資金が限られる30代にとって比較的利用しやすい選択肢の一つです。
りそな銀行の法人向け「不動産購入ローン」は、収益物件の購入・修繕・借換を対象に、1,000万円以上3億円以内・期間1年以上35年以内・金利2.45%〜3.50%(変動)で提供されています(2026年2月3日から)。法人名義での購入を検討している方には選択肢に入りますが、保証会社(セゾンファンデックス)の保証が必要で、事務手数料は融資金額×1.0%+消費税がかかります。
審査を通過するために準備すべき3つのこと
融資審査を有利に進めるためには、申し込み前の準備が結果を大きく左右します。特に年収600万円という水準では、他の審査項目でいかに加点できるかが重要です。
最初に取り組むべきは、金融資産の積み上げです。多くの金融機関では、融資後の手元流動性を重視しています。オリックス銀行では物件価格の20%相当の金融資産が求められ、スルガ銀行では融資後も1,000万円以上の残高が必要とされています(Wealth Agent調べ)。預貯金・株式・投資信託などを含めた金融資産を計画的に増やしておくことが、審査通過の大きな鍵となります。
次に重要なのは、既存借入の整理です。住宅ローン・自動車ローン・カードローンなどの残債は、返済比率の計算に直接影響します。アパートローンの審査では、年収に対する総返済額の割合(返済比率)が一定の基準を超えると審査が厳しくなる傾向があります。申し込み前に不要な借入を完済しておくことで、審査上の評価が改善されます。
また、物件選びの段階から融資を意識することも欠かせません。一棟アパートと区分マンションでは、求められる年収基準や融資条件が異なります。香川銀行の例では、一棟アパートと区分マンションで異なる年収基準が設定されています(Wealth Agent調べ)。年収600万円の段階では、まず区分マンションで実績を積み、その後に一棟アパートへとステップアップする戦略も有効です。
融資条件の比較で見落としがちなコスト
金利だけに注目して金融機関を選ぶと、諸費用の差で思わぬ出費が生じることがあります。融資の総コストを正確に把握するためには、金利以外の費用も含めた比較が必要です。
事務手数料は金融機関によって大きく異なります。静岡銀行のアパートローンでは融資金額×2.20%の手数料が設定されており(静岡銀行公式)、オリックス銀行では融資額×1.1%(税込)とされています(Wealth Agent調べ)。一方、スルガ銀行は融資金額×0.55%(税込)と比較的軽い部類に入ります。たとえば3,000万円の融資を受ける場合、手数料率が1%違うだけで30万円の差が生じます。
繰上返済の手数料も見逃せないポイントです。スルガ銀行では5年以内の返済に残債×2.2%の違約金が発生し、オリックス銀行でも1年以内の繰上返済には2%の手数料がかかります(Wealth Agent調べ)。りそな銀行の法人向けローンでは繰上返済手数料が16,500円と固定されており、早期返済を検討している方には比較的有利な条件です。
団体信用生命保険(団信)の扱いも金融機関によって異なります。滋賀銀行では団信が任意加入で、期間10年以上の場合は金利に0.3%が含まれる形となっています(Wealth Agent調べ)。団信を重視するか、それとも保険料を節約して手取りキャッシュフローを優先するかは、個人の考え方によって異なりますが、事前に各行の条件を確認しておくことが大切です。
まとめ
30代・年収600万円でアパート経営の融資を目指すことは、決して無謀ではありません。ただし、すべての金融機関が対象になるわけではなく、自分の属性に合った金融機関を選ぶことが成功への近道です。協同住宅ローン(JA)やオリックス銀行など、年収600万円でも検討できる金融機関は存在しますが、金利だけでなく手数料・LTV・手元資金の条件まで含めて総合的に比較することが重要です。
融資審査を有利に進めるためには、金融資産の積み上げ・既存借入の整理・物件タイプの選択という3つの準備を着実に進めることが大切です。また、一棟アパートにこだわらず、まず区分マンションで実績を積むという段階的なアプローチも有効な戦略の一つです。各金融機関の最新の融資条件は変動することがあるため、実際の申し込み前には各金融機関の公式サイトや担当者に直接確認することをおすすめします。
参考文献・出典
- オリックス銀行 不動産投資ローン — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/
- スルガ銀行 ローン金利(個人のお客さま) — https://www.surugabank.co.jp/suruga/pc/Rate?formNo=00204&startUp=suruga_lkinri
- りそな銀行 りそなビジネスローン「不動産購入ローン」 — https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/kakushu/real_estate/?lin=r_navi
- 静岡銀行 ローン・融資関連手数料 — https://www.shizuokabank.co.jp/fee/loan.html
- 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金 — https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
- 住宅金融支援機構 賃貸住宅を建設する場合 — https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf
- Wealth Agent 主要14銀行の不動産投資ローン比較 — https://www.agent-hp.com/real-estate-investment-loan-comparison/
- Wealth Agent オリックス銀行の不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/orix-bank/
- Wealth Agent スルガ銀行の不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/suruga-bank/
- Wealth Agent 協同住宅ローン(JA)の不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/kyodo-housing-loan/
- Wealth Agent 滋賀銀行の不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/shiga-bank/
- Wealth Agent 香川銀行の不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/kagawa-bank/
- Wealth Agent auじぶん銀行の不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/au-jibun-bank/