相続・空き家

遺産分割協議で不動産を売るときに必要な書類5種

この記事の結論

  • 遺産分割協議書・相続人全員の印鑑証明書・戸籍謄本類が相続登記に必須の書類です。
  • 相続登記を先に済ませないと、不動産を売却することが難しくなります。
  • 取得費が不明な場合は売却額の5%を取得費として申告できます(国税庁)。

親が亡くなり、実家をどうするか話し合いを進めている方にとって、「書類が多すぎて何から手をつければいいか分からない」というのは、とてもよくある悩みです。遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)とは、相続人全員で「誰が何を受け継ぐか」を話し合って決める手続きのことです。この協議がまとまった後、不動産を売るためにはいくつかの書類を順番に揃える必要があります。この記事では、相続登記から売却・確定申告まで、必要な書類を順を追って分かりやすく説明します。

まず確認したいこと:あなたはどのケースですか?

まず確認したいこと:あなたはどのケースですか?のイメージ

相続した不動産の扱い方によって、必要な手続きが変わります。大きく分けると「住み続ける」「貸す」「売る」の3つです。この記事は「売る」ことを選んだ方に向けた内容ですが、住み続ける場合や貸す場合でも、相続登記(相続による名義変更)は共通して必要になります。

売ることを決めた場合、手続きは大きく「①遺産分割協議書の作成」「②相続登記」「③売買契約・決済」「④確定申告」の4段階に分かれます。それぞれの段階で必要な書類が異なるため、全体の流れを把握してから書類を集め始めると、二度手間を防ぐことができます。

ここまでのまとめ: 売却を選んだ場合は、協議書作成→相続登記→売買→確定申告の順で進みます。

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遺産分割協議書と印鑑証明書:最初に揃える2点

遺産分割協議書と印鑑証明書:最初に揃える2点のイメージ

遺産分割協議がまとまったら、まず「遺産分割協議書」を作成します。これは、誰がどの財産を受け取るかを相続人全員で合意した内容を文書にしたものです。日本公証人連合会の説明によると、不動産登記申請や預貯金の払戻しなどの際には、通常この遺産分割協議書が必要になります(日本公証人連合会 https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow03)。

協議書には、相続人全員が実印を押す必要があります。実印とは、市区町村の役所に登録した印鑑のことです。普段使う認め印とは別物ですので、まだ登録していない方は先に役所で手続きを済ませてください。そして、実印を押した協議書には、各相続人の「印鑑証明書」を添付します。印鑑証明書は、その印鑑が本物であることを市区町村が証明する書類です。なお、印鑑証明書には有効期限の定めがないとされていますが、金融機関や不動産会社によっては発行から3か月以内のものを求める場合があります。

ここまでのまとめ: 協議書には全員の実印と印鑑証明書が必要です。

相続登記に必要な書類:名義変更のための一式

相続した不動産を売却するには、必ず先に相続登記(名義変更)を済ませなければなりません。法務省の説明によると、相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりする場合には相続登記が必要です(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565)。

相続登記の申請には、遺産分割協議書と印鑑証明書に加えて、以下の書類が必要になります。法テラスの案内によると、申請書および添付書類として、遺産分割協議書、相続人全員の戸籍謄本・住民票、被相続人(亡くなった方)の除籍謄本等が必要とされています(法テラス https://www.houterasu.or.jp/site/faq/sozoku-touki-003.html)。

具体的に整理すると、次の書類を集めることになります。まず被相続人については、出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本)と、最後の住所を証明する住民票の除票です。次に相続人全員については、現在の戸籍謄本と住民票、そして先ほどの印鑑証明書です。さらに、売却する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)も必要です。これは法務局で取得できます。法務局の相続登記チェックシートでは、不動産の表示は登記記録のとおり正確に記載することが求められています(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/otsu/content/001422668.pdf)。

ここまでのまとめ: 相続登記には、被相続人の戸籍類・相続人全員の戸籍と住民票・印鑑証明書・登記事項証明書が必要です。

売買契約・決済で求められる書類

相続登記が完了すると、いよいよ売買の手続きに入ります。売買契約や決済(代金の受け渡し)の場面では、相続登記とは別に、売主として用意する書類があります。

一般的に求められるのは、登記済権利証または登記識別情報(いわゆる「権利証」のことで、不動産の所有者であることを示す書類)、固定資産評価証明書(市区町村が発行する、その不動産の評価額を示す書類)、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)、そして実印と印鑑証明書です。これらの具体的な必要通数や取得先については、依頼する不動産会社や司法書士(登記の専門家)に事前に確認しておくと安心です。

なお、相続人が複数いる場合は、売却代金をどのように分けるかについても事前に合意しておく必要があります。この点は遺産分割協議書の内容と整合させておくことが大切です。

ここまでのまとめ: 決済では権利証・固定資産評価証明書・本人確認書類・実印が必要です。

売却後の確定申告:取得費と特例の書類

不動産を売って利益が出た場合は、翌年に確定申告が必要です。ここで重要になるのが「取得費」の計算です。取得費とは、その不動産をもともと取得したときにかかった費用のことです。

国税庁の説明によると、相続や贈与によって取得した土地建物を売った場合の取得費は、被相続人がその土地建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算します(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm)。また、業務に使われていない土地建物を相続により取得した際に相続人が支払った登記費用や不動産取得税も取得費に含めることができます。

重要なのは、取得費が分からない場合は売却額の5%を取得費として使えるという点です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm)。たとえば2,000万円で売れた場合、取得費が不明なら100万円を取得費として申告できます。ただし、実際の取得費が5%より大きければ、実額を使った方が税負担を減らせます。

また、亡くなった方が住んでいた家(空き家)を売る場合には、一定の要件を満たすと税金が軽減される「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が使える場合があります。この特例を使う場合は、確定申告書に譲渡所得の内訳書・登記事項証明書・被相続人居住用家屋等確認書などを添付する必要があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm)。特例の適用要件は細かいため、税理士や税務署に相談することをお勧めします。

ここまでのまとめ: 確定申告では取得費の資料と、特例を使う場合は確認書類の添付が必要です。

まとめ

遺産分割協議で不動産を売却するときの必要書類は、大きく「遺産分割協議書と印鑑証明書」「相続登記のための戸籍類・住民票」「売買決済のための権利証・評価証明書」「確定申告のための取得費資料」の4グループに分かれます。順番を間違えると手続きが止まってしまうため、まず相続登記を完了させることが最優先です。書類の取得先や必要通数は、依頼する司法書士・不動産会社・税理士に早めに確認しておくと、スムーズに進められます。最新の制度情報や特例の要件については、法務省・国税庁の公式サイトもあわせてご確認ください。

ご自身の物件がいくらになるかは、実際の成約データで見るのが早道です。

参考文献・出典

  • 法務省:相続登記の申請義務化に関するQ&A — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565
  • 法務省:不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~ — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435
  • 法テラス:相続登記に必要な書類には、どのようなものがありますか — https://www.houterasu.or.jp/site/faq/sozoku-touki-003.html
  • 法務局:相続登記チェックシート(遺産分割協議を行う場合) — https://houmukyoku.moj.go.jp/otsu/content/001422668.pdf
  • 日本公証人連合会:遺産分割協議 — https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow03
  • 国税庁:No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm
  • 国税庁:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
  • 国税庁:不動産等を売却した方へ(令和7年分 確定申告特集) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/fudousan.htm

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