不動産投資の基礎

不動産会社の倒産が増加!2026年の取引で資産を守る方法

不動産の購入や売却を検討している方にとって、取引相手となる不動産会社の経営状況は決して見過ごせない問題です。近年、不動産業界では倒産や市場からの撤退が増加傾向にあり、取引の安全性を確保することがこれまで以上に重要になっています。帝国データバンクの調査によると、2025年の休廃業・解散は全国で6万7949件に達し、不動産業を含めた市場退出が増加しています。

この記事では、なぜ倒産が増えているのか、どのような会社に注意すべきか、そして万が一に備えてどう資産を守るべきかを、公的機関の情報をもとに詳しく解説します。人生最大の買い物といわれる不動産取引だからこそ、正しい知識で大切な資産を守りましょう。

不動産会社の倒産は本当に増えているのか

まず押さえておきたいのは、倒産件数を語るときに「暦年」「年度」「月次」のどの数字を指しているのかで印象が変わるという点です。この違いを理解しておくと、報道の数字に振り回されずに実態を把握できます。

年度ベースで見ると、帝国データバンクの集計では2025年度の全国企業倒産は1万261件に達しました。一方、月次の動きを追うと、必ずしも一本調子で増えているわけではありません。2026年4月の不動産業倒産は26件で前年同月比30.0%増でしたが、翌5月は21件と前年同月比41.6%減に転じ、6月は再び33件で50.0%増まで跳ね上がりました。つまり「2026年は毎月右肩上がり」という単純な見方は正確ではなく、月ごとに大きく変動しているのが実態です。

全体像としては、帝国データバンクの集計で2026年上半期の全国企業倒産は5335件で前年同期比6.6%増となっており、企業倒産そのものが増加基調にあります。不動産業もこの流れの中にあると理解しておくとよいでしょう。

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なぜ不動産会社の倒産が増えているのか

倒産増加の背景には、複数の構造的な要因が絡み合っています。実は、最も多い倒産の原因はシンプルで、帝国データバンクによれば2026年上半期の倒産全体のうち「販売不振」が大多数を占め、全体の大部分にのぼりました。物が売れないという根本的な問題が、多くの企業を追い込んでいるのです。

不動産業特有の事情として注目されるのが「物価高倒産」の増加です。帝国データバンクの調査では、2026年上半期の物価高倒産が過去最多を大幅に更新しました。同社は不動産業の物価高倒産について、建築コストの上昇を受けて物件価格を引き上げたものの、ローン金利の上昇などでエンドユーザーの購買意欲が振るわず、販売棟数の減少で事業に行き詰まるケースがみられると指摘しています。

言い換えると、資材や人件費の高騰で物件価格を上げざるを得ない一方、金利上昇で買い手の負担も増しているため、価格転嫁がそのまま販売不振につながる悪循環が生まれているのです。こうした環境では、資金力に乏しい会社ほど早く行き詰まりやすくなります。

2026年に実際に起きた倒産事例

抽象的な数字だけではイメージしにくいため、2026年に実際に起きた事例を見てみましょう。中堅規模の会社でも倒産は起こりうるという現実を知っておくことが大切です。

2026年3月には、札幌で建売住宅や注文住宅、賃貸物件も手がけていた札証物産と関連会社が札幌地裁に民事再生法の適用を申請しました。負債は2社合計で約61億円にのぼったと報じられています。さらに2026年7月には、木造住宅を手がけるアエラホームが東京地裁に民事再生法の適用を申請し、負債は61億6000万円と報じられました。いずれも一定の実績を持つ企業であり、規模がある会社だから絶対に安全とは言い切れないことを示しています。

危険な不動産会社の特徴と見分け方

取引前に相手企業の状態を見極めることは、トラブルを避けるために欠かせません。倒産リスクが高い会社にはいくつかの共通した兆候があり、これを知っておくと危険を事前に察知できます。

最も分かりやすい兆候は、極端に安い価格設定や過度な値引きです。市場相場より明らかに安い物件を扱っている場合、資金繰りに困窮している可能性を疑うべきでしょう。早期に現金を確保したいという焦りから、採算を度外視した価格を提示しているケースが少なくありません。また、契約を急がせる営業姿勢も要注意です。不動産適正取引推進機構が公表する不動産売買の手引でも、検討や資金計画が十分でない段階で「急いで」あるいは「急がされて」契約すると、買主が不測の不利益を被ることがあると注意を促しています。倒産リスクが気になる局面では、なおさら即断を避けるべきです。

会社の営業年数も判断材料になります。宅地建物取引業の免許番号は「国土交通大臣(3)第○○○○号」といった形式で表示され、カッコ内の数字は更新回数を示します。宅建業免許の有効期間は5年ですので、更新回数が多いほど長く営業している目安になります。逆に(1)の会社は免許を取得したばかりで、実績が浅い可能性があります。なお免許区分については、2つ以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣免許、1つの都道府県内のみの場合は知事免許となります。

契約後も見逃してはいけない危険信号

契約後も取引完了まで会社の動向に注意を払うことが大切です。連絡が取りにくくなることは、最も分かりやすい警告サインといえます。担当者が不在がちになる、返信が遅くなる、約束した連絡が来ないといった状況が続く場合は要注意です。担当者が頻繁に変わる、社員の退職が相次ぐといった情報も、社内の混乱を示している可能性があります。

新築物件の場合は、工事の遅延や中断も危険な兆候です。予定通りに工事が進まない、現場に作業員がいない日が増えるといった状況は、資金繰りの悪化を示唆しています。さらに、当初の契約にない中間金を求められたり、支払い時期の前倒しや現金払いを強く要求されたりした場合も警戒が必要です。このような要請には安易に応じず、理由を詳しく確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。

契約前に必ず確認すべき重要ポイント

不動産会社と取引する際には、契約前に確認しておくべき項目があります。これらをチェックすることで、倒産リスクを大幅に軽減できます。

まず、会社が実在し免許を持っているかを確認しましょう。国土交通省の宅地建物取引業者検索システムでは、大臣免許・知事免許のいずれについても、免許の有無、代表者名、所在地、免許行政庁を調べることができます。契約前にこのシステムで実在確認を行うことが、安全な取引の第一歩となります。

過去の行政処分歴が気になる場合は、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」も活用できます。ただし、このサイトは全都道府県の処分情報を網羅しているわけではありません。正確を期すなら、免許行政庁を調べたうえで、その行政庁に個別に問い合わせる必要があります。この点を知らないと、処分歴がないと思い込んでしまう恐れがあるため注意しましょう。

契約内容の詳細確認も絶対に怠らないでください。特に手付金や中間金の支払い条件、物件の引き渡し時期、契約解除の条件などは、後々トラブルになりやすいポイントです。契約書は必ず熟読し、不明点があれば納得できるまで質問することが重要です。

手付金を守る保全措置の仕組み

不動産取引では、契約時に手付金などを支払うのが一般的です。しかし宅地建物取引業者が自ら売主となる売買では、その会社が倒産すると、買主は物件の引き渡しを受けられず、支払った手付金等の返還も受けられないおそれがあります。こうしたリスクに備えて、宅地建物取引業法は保全措置という仕組みを定めています。

国土交通省の説明によると、宅建業者が自ら売主となる物件の売買では、銀行等の金融機関や国土交通大臣が指定する保証機関、保険機関による保証等の保全措置を講じた後でなければ、手付金等を受け取ることができません。ポイントは、未保全のまま支払いを求められた場合、買主はその支払いを拒めるという点です。つまり保全措置は買主を守る強力な仕組みなのです。

ただし例外もあります。手付金等が売買代金の5%以下(工事完了後の物件は10%以下)、かつ1,000万円以下である場合などには、保全措置が不要とされています。この例外に該当する範囲であれば保全措置がないこともあるため、手付金を支払う前に保全措置の有無と内容を示す書面の交付を求め、保証機関や保険会社に直接確認することをおすすめします。

営業保証金と還付請求の仕組み

保全措置とは別に、宅建業者には営業保証金の制度もあります。宅建業者は営業開始までに、主たる事務所について1,000万円、従たる事務所ごとに500万円を営業保証金として供託しなければなりません。ただし宅地建物取引業保証協会の社員となった場合は、それぞれ60万円・30万円の分担金を納める方式に代えることができます。

法務省の説明によると、営業保証金を供託した事業者との取引で債権を取得した人や、その営業活動により損害を受けた人は、供託所に対して供託物の還付請求を行うことができます。この制度により、倒産した業者との取引で被った損害の一部を回収できる可能性があります。

重要なのは、還付の前提となる確認書の申請では、取引の相手方や取引年月日を確認できる書類、具体的には売買契約書などが必要になるという点です。したがって、契約書や領収書、担当者とのやり取りの記録は必ず保管しておきましょう。書類がなければ、権利があっても手続きを進められない事態になりかねません。

万が一倒産に遭遇した場合の対処法

最大限の注意を払っていても、取引相手の倒産に遭遇する可能性はゼロではありません。その場合は、迅速で適切な対応が被害を最小限に抑える鍵となります。

まず理解しておきたいのは、相談先を役割ごとに使い分ける必要があるということです。監督官庁である地方整備局などへの通報は、宅建業法違反の調査には役立ちますが、民事の返金交渉や仲裁の窓口ではありません。実際、関東地方整備局も、宅建業者とのトラブル解決や仲裁は対応できないため、弁護士や関係機関へ問い合わせるよう案内しています。返金や損害回復を求める場面では、弁護士など民事の専門家に相談することが基本となります。

当事者間で解決がつかない紛争については、不動産適正取引推進機構(RETIO)の特定紛争処理事業を利用する方法もあります。これは都道府県の宅建業法主管課などで解決できなかった紛争のうち、両当事者の同意があるものについて、紛争処理委員が原則無料で調整・仲裁を行う制度です。

どこに相談してよいか分からない段階であれば、まず消費者ホットライン188を利用しましょう。電話をかけると最寄りの消費生活相談窓口につないでもらえます。契約トラブル全般の相談を受け付けているため、最初の一歩として活用しやすい窓口です。倒産手続きが開始されると裁判所から債権届出の通知が届きますので、期限内に手付金や損害賠償請求権などを届け出ることも忘れないようにしましょう。

信頼できる不動産会社を選ぶために

倒産リスクを避ける最善の策は、最初から信頼できる会社を選ぶことです。長年の実績と地域での評判は、信頼性を判断する重要な指標になります。複数の経済サイクルを乗り越えてきた会社であれば、それだけ経営基盤が試されてきたともいえます。

一方で、大手だから絶対に安全とは限りません。前述の札証物産やアエラホームの事例が示すように、一定の規模を持つ企業でも倒産は起こりえます。東京商工リサーチの分析では、不動産業は上位約4%の大手が業界シェアの約8割を占めるという構造が指摘されており、限られた市場を多くの中小企業が競い合う厳しい環境にあります。会社の規模だけで判断せず、免許情報の確認、保全措置の有無、担当者の対応の誠実さなどを総合的に見ることが大切です。

担当者がメリットだけでなくデメリットも説明してくれるか、契約を急がせず十分な検討時間を与えてくれるかといった点も、よく観察しましょう。誠実な会社ほど、買主が納得するまで丁寧に向き合ってくれるものです。

まとめ

近年、不動産業界では倒産や市場からの撤退が増加傾向にあります。背景には販売不振や物価高倒産の増加があり、建築コストの上昇と金利上昇による購買意欲の低下が、価格転嫁をそのまま販売不振につなげる悪循環を生んでいます。

安全な取引のためには、宅地建物取引業者検索システムでの実在確認、ネガティブ情報等検索サイトと免許行政庁への照会、保全措置の有無の確認が欠かせません。手付金は保全措置の対象かどうかを確かめ、契約書や領収書は必ず保管しておきましょう。万が一倒産に遭遇したら、民事の返金交渉は弁護士、紛争処理はRETIO、相談先が分からなければ消費者ホットライン188と、役割に応じて窓口を使い分けることが被害の軽減につながります。不安や疑問があれば、公的な相談窓口や専門家を積極的に活用してください。

参考文献・出典

  • 帝国データバンク「2025年『休廃業・解散』は全国で6万7949件」 – https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260109-kyuhaigyo25y/
  • 東京商工リサーチ「不動産業 上位4%の大手がシェア約8割」 – https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202327_1527.html
  • 帝国データバンク「倒産集計 2026年上半期報」 – https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20260708-bankruptcyh12026/
  • 帝国データバンク「物価高倒産の動向(2026年上半期)」 – https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260707-inflationbankruptcy2606/
  • 国土交通省「消費者の皆様向け 不動産取引に関するお知らせ」 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
  • 国土交通省「宅地建物取引業者 検索」 – https://etsuran2.mlit.go.jp/TAKKEN/takkenKensaku.do
  • 国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」 – https://www.mlit.go.jp/nega-inf/index.html
  • 国土交通省 関東地方整備局「宅地建物取引業とは」 – https://www.ktr.mlit.go.jp/kensan/kensan00000026.html
  • 法務省「供託Q&A」 – https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00055.html
  • 不動産適正取引推進機構「特定紛争処理事業」 – https://www.retio.or.jp/info/info02/
  • 消費者庁「申出・問合せ窓口」 – https://www.caa.go.jp/policies/application/inquiry/
電宅男
監修 電宅男 宅地建物取引士 / MBA|株式会社青山地所 営業部

一橋大学大学院MBA修了。大手デベロッパー法人部門、買取再販会社を経て現職。区分リノベ再販・都心事業用物件の買取再販を手がけ、業界7年の知見で記事を監修。

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