この記事の結論
- 専有70㎡なら築5年以内は月7,700円、築15〜20年で月16,000円です。
- 値上げは築15年前後までに集中し、その後はほぼ横ばいになります。
- 総会の決議で決まるため、一人だけ支払いを拒むことはできません。
1都3県の分譲マンション67,811棟を集計すると、専有70㎡あたりの修繕積立金は築年数によって異なり、最初の15年ほどで大きく上がります。そして築20年以降は、意外にもほとんど上がっていません。この記事では、その数字の中身と、いつ・いくら上がるのか、値上げを拒否できるのか、売るときに不利にならないのかを順番に説明します。不動産の知識がなくても読めるように、専門用語はその場で言い換えながら進めます。
築年数ごとの平均額をまとめたのが次の表です。1都3県の分譲マンション67,811棟について、修繕積立金の月額を専有70㎡あたりに換算しています。
| 築年数 | 棟数 | 修繕積立金 月額 | 築5年以内を1とした倍率 |
|---|---|---|---|
| 築5年以内 | 2,441 | 7,700円 | 1.0倍 |
| 築5〜10年 | 3,869 | 11,300円 | 1.5倍 |
| 築10〜15年 | 4,655 | 14,100円 | 1.8倍 |
| 築15〜20年 | 7,069 | 16,000円 | 2.1倍 |
| 築20〜25年 | 8,912 | 16,400円 | 2.1倍 |
| 築25〜30年 | 9,746 | 16,400円 | 2.1倍 |
| 築30〜40年 | 13,465 | 15,800円 | 2.0倍 |
| 築40年超 | 17,654 | 14,800円 | 1.9倍 |
出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)
自分のマンションが表のどこに当てはまるか

まず見るのは築年数の行です。たとえば築25年で専有70㎡のお部屋なら、表の「築20〜25年」の行にあたり、月16,400円が目安になります。築8年で70㎡なら「築5〜10年」の行で月11,300円です。
お部屋の広さが70㎡でない場合は、面積の比で考えます。同じ築年数で35㎡なら表の半分、105㎡なら1.5倍がおおよその目安です。修繕積立金は多くのマンションで専有面積に応じて割り振られるため、この考え方でだいたいの水準がつかめます。
表を築5年以内と比べると、倍率の動きがよく分かります。築10〜15年で1.8倍、築15〜20年で2.1倍まで上がり、そこから築25〜30年まで2.1倍のまま横ばいです。値上げの山場は築15年前後までに集中します。築40年超で1.9倍とやや下がっていますが、これは古いマンションほど値上げを決めきれなかった物件が含まれるためと考えられます。この集計は2026年9月時点の1都3県のデータで、地方の事情までは分かりません。
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なぜ築年数とともに上がるのか

修繕積立金とは、十数年に一度の大規模な修繕に備えて、住戸ごとに毎月ためていくお金です。外壁の塗り替え、屋上の防水、給排水管の交換などが対象になります。毎月の管理費が日々の清掃や点検に使うお金である一方、修繕積立金は将来のための貯金にあたります。
値上げが起きる理由は、積立の方式にあります。国土交通省の説明では、段階増額積立方式を採用している場合、将来的に値上げしていくことが前提となり、築年数が経過するほど値上げが難しくなる傾向があるとされています(国土交通省 https://www.mansion-info.mlit.go.jp/qa/mansion-management/repair-renovation/469/)。新築時の月額を低く設定し、あとから上げていく設計です。
そのため国土交通省は、最初から一定額を積む均等積立方式を採用し、継続的な値上げによって区分所有者の負担が増えることを避けるよう推奨しています(同上)。段階増額方式をとる場合でも、計画の初期額は均等積立方式の基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内とする考え方が、国土交通省のガイドラインに示されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001615230.pdf)。新築時に積立金が安いマンションは、あとで上がり幅が大きくなります。
値上げはいつ来るのか
時期の手がかりは、長期修繕計画の見直しです。長期修繕計画とは、将来見込まれる修繕工事の内容、おおよその時期、概算の費用を設定し、修繕積立金の額の根拠を明確にするために作る計画書です(国土交通省 https://www.mansion-info.mlit.go.jp/manshion_kanri/329/)。
そして国土交通省のガイドラインでは、どの積立方法であっても、定期的に5年程度ごとに長期修繕計画を見直し、それに基づいて修繕積立金を設定し直すことが必要だとされています。つまり値上げの話は、この見直しの年に総会へ出てきます。管理計画認定の基準でも、長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていることが求められています。
金額の水準についても目安があります。同ガイドラインでは、計画期間全体の平均額の目安として、一定規模以下のマンションについて1㎡あたりの月額の基準が示されています。70㎡のマンションであれば、その基準に面積を乗じた額が参考になります。当社データの築15〜20年で月16,000円という実額と比べると、実際の徴収額のほうが低い例が多いと読めます。機械式駐車場がある場合は、2段(ピット1段)昇降式で1台あたり月6,450円などの修繕工事費を加算する仕組みもあり、駐車場の有無で負担は変わります。
値上げは拒否できるのか
ここは誤解の多い点です。修繕積立金の額は、管理組合の総会で決議して決めるのが一般的です。国土交通省の管理計画認定の基準でも、長期修繕計画の内容と、それに基づき算定された修繕積立金が総会で決議されていることが求められています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001615230.pdf)。決議が通れば、一人だけ払わない選択はできません。
できるのは、決まる前に意見を出すことです。総会で議案に反対票を入れる、値上げ幅の根拠となる見積りの説明を求める、工事の時期をずらす案を出すといった動きになります。実際、国土交通省が2018年から2023年に引き上げられた事例を分析した資料では、引上げ倍率は1〜2倍に事例が集中しており、2倍以上の増額は総会で否決されるか、議題に挙げても通らないケースが多いと推測されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001721134.pdf)。大幅な値上げ案は、そもそも通りにくいという現実があります。
一方で、値上げを避け続けることには別のリスクがあります。国土交通省は段階増額積立方式について、築年数の経過や区分所有者の高齢化により費用負担が困難になっていくことを踏まえ、早期に引上げを完了させることが望ましいとしています。先送りした分は、将来のだれかが負担することになります。
値上げは売るときに響くのか
売却を考えている方が気にする点だと思います。買い手は毎月の支払額を見て検討するため、積立金が上がれば買い手の負担は増えます。ただし、安ければ有利とも言い切れません。
というのも、積立金が相場より安いマンションは、修繕のためのお金が足りていない可能性を疑われます。購入前の確認事項として、国土交通省のチェックシートでも、修繕積立金の変更予定があるか、ある場合は値上げ予定額がいくらかを確認する項目が挙げられています(国土交通省 https://www.mansion-info.mlit.go.jp/manshion_kanri/329/)。安すぎる積立金は、買い手には不安材料に映ります。
当社データで築20年以降の月額が16,400円前後で頭打ちになっているのは、この年代のマンションが必要な水準まで上げ終えている例が多いためと考えられます。売却の場面では、長期修繕計画と直近の総会議事録をそろえておくと話が早く進みます。値上げ予定がある場合も、その根拠を示せれば減点にはなりにくいでしょう。
よくある質問
Q. 築20年のマンションを買います。毎月いくら見ておけばよいですか。 専有70㎡なら月16,400円が目安です。購入前に管理会社の重要事項調査報告書で、現在の額と値上げ予定額を確認してください。
Q. 値上げの通知が来ました。相場から見て妥当でしょうか。 判断の手がかりは倍率です。国土交通省の分析では引上げ倍率は1〜2倍に集中しています。2倍を超える案なら、総会で見積りの内訳の説明を求めてよい水準です。
Q. 払えないときはどうすればよいですか。 まず管理組合と管理会社に早めに相談してください。具体的な救済制度については、この記事の範囲では分かりません。各公的機関や自治体の窓口で最新情報をご確認ください。
Q. 値上げを何年も見送っているマンションは危ないですか。 危険とまでは言えませんが、確認は必要です。長期修繕計画の見直しが5年程度ごとに行われているかを見れば、管理の状態がある程度読み取れます。
まとめ
専有70㎡なら、修繕積立金は築5年以内の月7,700円から築15〜20年の月16,000円へ、約2.1倍に上がります。値上げの山は築15年前後までで、その後はほぼ横ばいです。総会で決まれば一人だけ拒否はできないため、決まる前に長期修繕計画と値上げ予定額を確かめることが、いちばん確実な備えになります。
ご自身のマンションが今いくらの水準なのかは、同じ築年数・同じ広さの実データと並べて見るのが早道です。
参考文献・出典
- 株式会社青山地所 自社データベース(集計 2026年09月時点、1都3県の分譲マンション67,811棟)
- 国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン – https://www.mansion-info.mlit.go.jp/wp-content/uploads/2025/03/05_%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%BF%AE%E7%B9%95%E7%A9%8D%E7%AB%8B%E9%87%91%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3.pdf
- 国土交通省 修繕積立金に関する管理計画認定の基準 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001615230.pdf
- 国土交通省 段階増額積立方式における引上げ幅の分析 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001721134.pdf
- 国土交通省 これだけは知っておきたい!マンションの管理状況チェックシート – https://www.mansion-info.mlit.go.jp/manshion_kanri/329/
- 国土交通省 修繕積立金の積立方法に段階積立方式と均等積立方式がありますが、どちらの方法がよいでしょうか – https://www.mansion-info.mlit.go.jp/qa/mansion-management/repair-renovation/469/
- 国土交通省 住宅:マンション管理 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html
- 国土交通省 近畿地方整備局 マンションに係るQ&A – https://www.kkr.mlit.go.jp/kensei/sangyo/mansion_qa/q3-8.html