この記事の結論
- 1都3県73,384棟の集計で、総戸数20戸未満の管理費は専有70㎡換算で月額が中央値です。
- 400戸以上と20戸未満では管理費に差があり、戸数による開きが見られます。
- 修繕積立金も同じ向きの差があり、階数では高層階ほど月額が高くなる傾向が見られます。
ご自宅の管理費を見て、「戸数が少ないマンションだから高いのだろうか」と感じたことはないでしょうか。周りと比べる材料がないまま、毎月の請求をそのまま払い続けている方は少なくありません。この記事では、1都3県の分譲マンション73,384棟の棟データ(2026年9月時点の集計)をもとに、総戸数別・階数別の管理費と修繕積立金の月額中央値をお見せします。どの数字がご自身の建物に当てはまるのか、なぜ戸数で差が出るのか、そしてこの数字を引用するときの正しい書き方までをまとめました。不動産の知識がなくても読み進められるように、専門用語はそのつど説明していきます。
総戸数が少ないほど管理費は高い、調査で分かった月額の答え

まず答えから申し上げます。専有70㎡に換算した月額の中央値で見ると、総戸数20戸未満のマンションは管理費17,900円・修繕積立金15,300円で、合計33,100円でした。これに対して400戸以上のマンションは管理費11,200円・修繕積立金12,700円、合計23,900円です。同じ広さの部屋に住んでいても、建物の戸数によってこれだけ差がつきます。
ここで言葉の意味を整理しておきます。管理費とは、日々の清掃や管理員の人件費、共用部分の電気代など、建物を毎日動かすために使うお金です。一方の修繕積立金は、十数年に一度の大規模な修繕に備えて毎月ためておくお金で、使う時期がずっと先にある点が違います。どちらも毎月支払いますが、性格はまったく別のものです。
次の表は、1都3県の分譲マンション73,384棟を総戸数で7区分に分け、専有70㎡換算の月額中央値を並べたものです。
| 総戸数 | 棟数 | 管理費 月額 | 修繕積立金 月額 | 合計 月額 |
|---|---|---|---|---|
| 20戸未満 | 9,811 | 17,900円 | 15,300円 | 33,100円 |
| 20〜29戸 | 13,624 | 17,600円 | 16,500円 | 34,200円 |
| 30〜49戸 | 20,206 | 15,800円 | 15,500円 | 31,300円 |
| 50〜99戸 | 15,339 | 13,800円 | 14,600円 | 28,400円 |
| 100〜199戸 | 5,501 | 11,900円 | 13,600円 | 25,500円 |
| 200〜399戸 | 2,240 | 11,300円 | 13,100円 | 24,400円 |
| 400戸以上 | 933 | 11,200円 | 12,700円 | 23,900円 |
出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)
出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)
ご自身がどの行に当たるかは、総戸数を調べれば分かります。総戸数は管理規約や重要事項調査報告書の表紙に書いてあります。たとえば総戸数45戸なら「30〜49戸」の行で、管理費15,800円・合計31,300円が目安です。120戸なら「100〜199戸」の行で、管理費11,900円・合計25,500円となります。
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この調査の母集団と時点、集計の方法

数字を読むうえで、それが何を集めたものかを知っておくことが大切です。この集計の母集団は、1都3県、つまり東京・神奈川・埼玉・千葉にある分譲マンション73,384棟の棟データです。集計時点は2026年9月で、部屋ごとではなく建物ごとに1件として数えています。
表に並んでいるのは平均値ではなく中央値です。中央値とは、小さい順に並べたときにちょうど真ん中に来る値のことをいいます。平均値は極端に高い1棟があると全体が引き上げられてしまいますが、中央値ならその影響を受けにくく、「ごく普通の水準」を表しやすくなります。
「専有70㎡換算」という条件にも意味があります。分譲マンションの管理費は、通常は購入する住戸の専有面積に応じて負担額が変わります(SUUMO)。広い部屋ほど多く払う仕組みなので、面積がばらばらのままでは建物どうしを比べられません。そこで、すべての棟について70㎡の部屋に住んだ場合の月額にそろえてあります。ご自宅が50㎡なら表の数字より低め、90㎡なら高めになると考えてください。
なお、集計から除外した棟の条件については、本記事では公表していません。推測で書くことはできませんので、そこは分からないものとしてお読みいただければと思います。
調査で分かった3つの発見、戸数の差・修繕積立金・階数
この集計から見えてきたことは、大きく3つあります。戸数による差の大きさ、修繕積立金の動き方、そして階数との関係です。
1つ目は管理費の差です。20戸未満と400戸以上では管理費に開きがあり、戸数が少ないほど1戸あたりの負担が大きくなる傾向が見られます。戸数が増えるにつれて一段ずつ下がり、100〜199戸で11,900円、200〜399戸で11,300円と、100戸を超えたあたりからはほぼ横ばいです。つまり、差がつくのは主に小規模から中規模の範囲だといえます。
2つ目は修繕積立金です。こちらも20戸未満から400戸以上へと下がりますが、修繕積立金の差は管理費ほど大きくないことが分かります。大規模修繕の費用は建物の規模に応じて増えるため、戸数で割っても負担が大きくは薄まらないと考えられます。
3つ目は階数との関係です。次の表は、同じ73,384棟を階数で6区分に分けたものです。
| 階数 | 棟数 | 管理費 月額 | 修繕積立金 月額 | 合計 月額 |
|---|---|---|---|---|
| 5階以下 | 23,816 | 15,100円 | 15,100円 | 30,100円 |
| 6〜10階 | 29,427 | 15,500円 | 15,400円 | 30,900円 |
| 11〜14階 | 11,744 | 15,400円 | 14,600円 | 30,000円 |
| 15〜19階 | 1,832 | 13,700円 | 13,200円 | 26,800円 |
| 20〜29階 | 510 | 16,500円 | 15,800円 | 32,200円 |
| 30階以上 | 325 | 20,800円 | 17,400円 | 38,200円 |
出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)
出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)
見方はマンションの最上階の階数です。8階建てなら「6〜10階」の行で、管理費15,500円が目安になります。タワーマンションと呼ばれる建物は「20〜29階」か「30階以上」の行です。5階以下から14階までは15,100〜15,500円とほとんど変わらず、15〜19階が13,700円と最も安くなっています。ところが20〜29階で16,500円に戻り、30階以上は管理費が高くなり、全区分で最も高い水準となりました。
なぜ戸数が少ないと1戸あたりの管理費が高くなるのか
仕組みはとてもシンプルです。管理員の人件費、エレベーターの保守、共用廊下の照明といった費用は、建物全体で必要になるものです。それを住んでいる戸数で割って、各戸が分担します。これを戸数按分といいます。同一のサービスや同額の施設維持費であれば、戸数按分によって管理費が安くなることが考えられる、とされています(SUUMO)。裏を返せば、戸数が少ないほど1戸あたりの負担が重くなるということです。
この傾向は公的な調査でも確認されています。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、総戸数規模が大きくなるほど管理費は低くなる傾向にあると示されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000022.html)。方向は当社の集計とそろっており、この関係はかなり安定したものだと考えてよさそうです。
ただし、両者は役割が違います。国土交通省のマンション総合調査は管理組合や区分所有者の管理実態を把握するための調査で、5年に一度実施されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000022.html)。制度全体の実態をつかむには適していますが、今この瞬間の相場を見るには間隔が空きます。一方で当社の集計は2026年9月時点の棟データなので、直近の水準を確かめる用途に向いています。
毎月かならず出ていく固定費として、住み続けるかぎり効き続けます。管理サービスの中身が同じであれば、この差はそのまま住まいの維持コストの差になります。
数字をそのまま当てはめると損をするケースと注意点
表の数字は目安であって、すべての建物に当てはまるものではありません。特に気をつけたいのが、大規模マンションなら必ず安いと思い込んでしまうことです。管理員やコンシェルジュ、警備員などの有人サービスを手厚くすると管理費は大きく影響を受けやすく、共用施設の充実度やサービス内容によっては、必ずしも大規模マンションの管理費が割安になるとは限らないとされています(SUUMO)。表2で30階以上が高い水準となるのは、まさにその典型といえます。
同じ傾向は他社の調査でも見られます。東京カンテイの首都圏データでは、500戸以上の規模ではタワーマンションの比率が高まるため管理費が上がる傾向が示されています。大規模でも有人サービスが手厚いと割安にならないという点は、物件を見比べるときに覚えておきたいところです。
また、表の数字はあくまで中央値です。真ん中の値である以上、半分の棟はこれより高く、半分は低くなります。中央値と違っても異常とは限らないので、少し高いからといってすぐに問題があると決めつける必要はありません。専有面積が70㎡と大きく違う場合も、面積に応じて金額は変わります。
そしてこの集計は1都3県のものです。他の地域にそのまま当てはめることはできません。ご自身の管理費が高いか安いかを本当に確かめたいときは、管理組合の総会資料で管理委託費・清掃費・設備保守費といった内訳を見るのが確実です。
この調査結果を引用するときの表記と確認先
この記事の数字を、ブログや社内資料で使っていただくことができます。その際は「株式会社青山地所 調べ(aoyama-e.com)」と表記してください。あわせて、集計時点が2026年9月であること、金額が専有70㎡換算の月額中央値であることも書き添えていただけると、読む人が誤解しません。
具体的には、次のような書き方になります。「1都3県の分譲マンション73,384棟の集計では、総戸数20戸未満の管理費中央値は専有70㎡換算で月17,900円(株式会社青山地所 調べ、2026年9月時点)」。このように地域・時点・換算条件をひとまとめにしておくと、そのまま引用できる形になります。
お願いしたいのは2点です。数字を丸めたり書き換えたりしないこと、そして地域・時点・70㎡換算の条件を省かずに引用することです。条件が抜けると、全国の平均値や1戸あたりの実額と取り違えられてしまいます。
集計の詳細についてのご確認や取材のご依頼は、株式会社青山地所のサイトにある問い合わせ窓口までお寄せください。
よくある質問
総戸数20〜29戸のマンションの管理費はいくらですか。 専有70㎡換算で、管理費17,600円、修繕積立金16,500円、合計34,200円が中央値です。20戸未満の33,100円とほとんど変わらず、30戸を下回る規模では負担感は似ていると考えてよいでしょう。
修繕積立金も総戸数で差が出ますか。 差は出ますが、管理費ほど大きくありません。20戸未満が15,300円、400戸以上が12,700円で、表1の値から計算すると月2,600円の差です。管理費と比べると半分以下にとどまります。
タワーマンションの管理費はなぜ高いのですか。 30階以上の区分は管理費が高い水準となり、全区分の中で最も高くなります。有人サービスや設備の維持費が大きく、戸数で割っても割り切れない分が残るためと考えられます。有人サービスを手厚くすると管理費が影響を受けやすいこと(SUUMO)、500戸以上ではタワーマンション比率の高さから管理費が上がる傾向(東京カンテイ)は、いずれも同じ方向を示しています。
自分のマンションの管理費が表より高い場合、何をすればいいですか。 まず総戸数と最上階の階数を確かめ、表1と表2の該当行と見比べてください。そのうえで管理組合の総会資料や重要事項調査報告書を開き、管理委託費・清掃費・設備保守費の内訳と、管理員やコンシェルジュといった有人サービスの有無を確認します。差の理由がサービスの手厚さにあるのか、それ以外にあるのかは、この内訳を見れば見当がつきます。
まとめ
1都3県の分譲マンション73,384棟を集計したところ、総戸数20戸未満の管理費は専有70㎡換算で月17,900円、400戸以上は11,200円が中央値でした。戸数が増えるほど1戸あたりの負担は軽くなりますが、30階以上のタワーマンションは高い水準となり例外的です。まずはご自身の建物の総戸数と階数から該当行を確かめ、開きがあれば総会資料の内訳を見るところから始めてみてください。
ご自身のマンションの管理費が周りと比べてどの位置にあるのかは、実際の棟データで見るのが早道です。
参考文献・出典
- 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月時点、1都3県の分譲マンション73,384棟) – https://aoyama-e.com/
- 国土交通省 マンション総合調査 – https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000022.html
- 総務省 e-Stat「Ⅱ 令和5年度マンション総合調査結果」 – https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?fileKind=2&statInfId=000040188314
- SUUMO「分譲マンションの管理費とは?「相場」は?修繕積立金との違いも解説」 – https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/ms_shinchiku/ms_knowhow/ms_kanrihi/
- 東京カンテイ プレスリリース「首都圏 マンションのランニング・コスト最新動向」 – https://www.kantei.ne.jp/report/103cost_shuto.pdf