市況・データ

修繕積立金は築15年で2倍に。67,799棟で見た築年数別の推移

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  • 1都3県67,799棟の集計では、修繕積立金は築5年以内から築15〜20年にかけて大幅に上昇します。
  • 築15年以降は金額が安定し、築30年を超えるとやや低下する傾向が見られます。
  • 総戸数が少ないほど高く、総戸数の規模による差が見られます。

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マンションの修繕積立金は、築年数が進むにつれて少しずつ上がっていきます。総会で値上げの案内が届いたとき、「うちの金額は高いのだろうか、それとも普通なのだろうか」と気になった方も多いはずです。ところが、比べるための相場がなかなか見つかりません。そこで当社は、1都3県の分譲マンション67,799棟の棟データを使い、築年数ごとに修繕積立金がいくらになるのかを集計しました。この記事では、築年帯ごとの金額と頭打ちになる時期、総戸数による差、そして集計の方法と引用するときの表記までをまとめてお伝えします。

築年数が進むと修繕積立金はいくらになるのか

築年数が進むと修繕積立金はいくらになるのかのイメージ

まず答えからお伝えします。専有70㎡に換算した月額の中央値は、築5年以内で7,700円、築15〜20年で16,000円です。築15〜20年で新築時の約2.1倍になる計算です。修繕積立金とは、十数年に一度の大規模な修繕に備えて、住んでいる間ずっと毎月ためておくお金のことです。

次の表は、1都3県の分譲マンション67,799棟について、築年数の帯ごとに修繕積立金の月額中央値を集計したものです。

築年数棟数修繕積立金 月額築5年以内を1とした倍率
築5年以内2,4417,700円1.0倍
築5〜10年3,86911,300円1.5倍
築10〜15年4,65514,100円1.8倍
築15〜20年7,06716,000円2.1倍
築20〜25年8,91116,400円2.1倍
築25〜30年9,74516,400円2.1倍
築30〜40年13,46115,800円2.0倍
築40年超17,65014,800円1.9倍
築年数が進むと修繕積立金はいくらになるか (1都3県・専有70㎡で換算)
出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)

ご自身のマンションの築年数にあたる行を探してみてください。築25年のマンションなら築25〜30年の行で16,400円、築40年を超えているなら一番下の行で14,800円です。築12年なら築10〜15年の行の14,100円が目安になります。ただし、これは専有70㎡に換算した金額です。50㎡や90㎡の部屋では、そのまま同じ額にはなりません。

金額の動き方を見ると、上がり方には段差があります。築5年以内の7,700円から築5〜10年で11,300円へ、さらに築10〜15年で14,100円へと、最初の15年でぐんと増えていきます。ところがその後は動きが止まります。築15〜20年が16,000円、築20〜25年と築25〜30年はどちらも16,400円で、ほぼ横ばいです。

さらに築年数が進むと、金額はむしろ少し下がります。築30〜40年は15,800円、築40年超は14,800円です。築15年以降は金額が安定し、そこから先は大きく増えない、というのがこの集計から読み取れる推移です。なお、この数字はすべて2026年9月時点で集計した中央値です。

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この調査の母集団と期間、集計の方法

この調査の母集団と期間、集計の方法のイメージ

数字を受け取る前に、それがどこまでの範囲を映したものなのかを知っておくと安心です。今回の母集団は、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県にある分譲マンション67,799棟の棟データで、集計時点は2026年9月です。ですから、関西や地方のマンションには、そのまま当てはまりません。

金額には平均ではなく中央値を使っています。中央値とは、全部の棟を金額の順に並べたときに、ちょうど真ん中に来る棟の額のことです。平均だと、一部の極端に高い棟や安い棟に引っ張られて、実感からずれた数字になりやすくなります。真ん中の1棟を示す中央値のほうが、「よくある金額」に近いと考えられます。

「専有70㎡換算」というのは、1㎡あたりの単価を70㎡の部屋の月額に直したものです。修繕積立金は部屋の広さに応じて決まるのが一般的なので、広さをそろえないと棟どうしを比べられません。逆に言えば、ご自身の部屋が70㎡から大きく離れていれば、表の金額とはずれます。おおよそ、面積に比例して増減するとお考えください。

一方で、正直にお伝えしておくことがあります。この集計から除外した棟の条件については、集計結果に記載がないため分かりません。どんな棟を対象から外したのかを明示できない以上、細かい前提まで保証する数字ではない、という点はご承知おきください。

主要な発見3点:築15年で2倍、頭打ちの築年帯、総戸数による差

今回の集計から読み取れることは、大きく3つあります。

1つ目は、最初の15年で金額が倍以上になることです。築5年以内の7,700円が築15〜20年では16,000円ですから、約2.1倍です。新築で購入した方にとっては、入居時の負担感がそのまま続くわけではない、ということになります。

2つ目は、その後の頭打ちです。築15〜30年の金額は16,000〜16,400円の範囲に収まり、ほとんど動きません。そして築30〜40年で15,800円、築40年超で14,800円と、1〜2割ほど下がります。つまり、築年数が古いほど高い、という単純な関係ではないのです。

3つ目は、総戸数による差です。次の表は、同じ1都3県のデータを総戸数の規模ごとに分け、修繕積立金と管理費の月額中央値を並べたものです。管理費とは、日常の清掃や設備点検、管理員の人件費などにあてるお金で、修繕積立金とは別に毎月払います。

総戸数棟数修繕積立金 月額管理費 月額
30戸未満23,43516,000円17,700円
30〜49戸20,20615,500円15,800円
50〜99戸15,33914,600円13,800円
100〜199戸5,50113,600円11,900円
200戸以上3,17313,000円11,200円
総戸数別 修繕積立金と管理費 (1都3県・専有70㎡で換算)
出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)

お住まいのマンションが40戸なら30〜49戸の行で、修繕積立金15,500円・管理費15,800円が目安です。200戸を超える大型マンションなら一番下の行で、修繕積立金13,000円・管理費11,200円になります。総戸数の規模によって修繕積立金と管理費に差が見られます。総戸数が少ないほど1戸あたりの負担が重いという傾向です。建物の維持にかかる費用を、少ない戸数で分け合うことになるためだと考えられます。総戸数がはっきりしない場合は、マンションの管理規約や登記事項証明書で確認できます。

なぜ築年数とともに上がり、やがて頭打ちになるのか

金額が最初の15年で倍になる背景には、積立の方式があります。段階増額積立方式とは、新築時は低い額から始めて、数年ごとに引き上げていく決め方のことです。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、平成30年度と比べてこの方式を採用する管理組合の割合が増えており、築年数が浅いマンションほど採用割合が高い傾向が示されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000210.html / https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001750092.pdf)。新築時の金額が低めに設定されているのなら、その後に上がっていくのは自然な流れです。

国土交通省の別の資料でも、修繕積立金の額を決めるうえで築年数の影響が大きいことが読み取れると明記されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001725586.pdf)。今回の自社集計で見えた推移は、この指摘と方向がそろっています。

もっとも、額が上がること自体は、計画どおりに積み立てが進んでいるかどうかとは別の話です。同じ令和5年度の調査では、長期修繕計画(計画期間25年以上)に基づいて修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は59.8%、計画上の積立額に対して現在の積立額が不足しているマンションの割合は36.6%と示されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000210.html)。計画に届いていない管理組合が一定数あるということです。

では、なぜ築30年を超えると金額が下がるのでしょうか。この集計では下がる理由までは分かりません。ひとつの見方として、国土交通省の資料では完成年次が古い区分ほど均等積立方式(最初から一定額を積み立てる方式)の比率が相対的に高いことが読み取れます(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001725586.pdf)。古い年代のマンションは最初から一定額で積み立ててきたため、段階的に上がってきた新しい世代ほど高くならない、という仮説は立てられます。ただし、これは推測の域を出ません。

この数字が当てはまらないケースと鵜呑みにすると損をする場面

表の数字は、あくまで真ん中の1棟を示したものです。ご自身のマンションが中央値より高いか安いかだけで、良し悪しを決めないでください。

まず注意したいのが、安い場合です。金額が中央値より低いからといって、家計にやさしい良いマンションだとは限りません。先に触れたとおり、計画上の積立額に対して不足しているマンションが36.6%あります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000210.html)。安い修繕積立金は将来の値上げと背中合わせで、場合によっては大規模修繕の直前に一時金を求められることもあります。

反対に、中央値より高くても心配いらないケースもあります。大規模修繕を終えたばかりで次の周期に向けて計画的に積み立てている管理組合や、設備が多くて必要額がもともと大きい建物です。中央値との差より長期修繕計画と積立残高で判断するほうが、はるかに実態に近づけます。

数字がそのまま当てはまらない条件もあります。専有面積が70㎡と大きく違う部屋、タワーマンションや機械式駐車場のように維持費のかかる設備を持つ棟、そして1都3県以外のマンションです。これらは今回の集計の前提から外れます。

最後に、この記事の数字で分からないことも書いておきます。値上げがいつ行われるのか、大規模修繕の前後で金額がどう変わるのか、地域によってどれだけ差があるのかは、この集計では答えられません。これらを知りたい場合は、管理組合の総会資料や長期修繕計画書をご確認ください。

この数字を引用するときの表記例と問い合わせ先

この調査結果は、記事や社内資料で引用していただいて構いません。その際は、出典を明記してください。

短く書く場合の表記例は「株式会社青山地所 調べ(aoyama-e.com)」です。正式な形で書く場合は「出典: 株式会社青山地所 自社データベース(集計 2026年09月 時点)」としてください。

あわせて、数字の前提となる条件も書き添えていただけると、読み手が誤解しません。具体的には「1都3県の分譲マンション67,799棟・専有70㎡換算・月額の中央値」という条件です。集計の範囲が分かってこそ、数字は正しく伝わります。

本調査についてのお問い合わせは、株式会社青山地所(aoyama-e.com)までお願いします。

よくある質問

築20年で70㎡のマンションなら修繕積立金はいくらが目安ですか。 表1の築20〜25年の行にあたり、月額16,400円が中央値です。総戸数によって寄せ方が変わり、小規模マンションなら高めに、大規模マンションなら低めになると考えてください。

うちの修繕積立金が中央値より安いのですが、問題がありますか。 安いこと自体が問題なのではありません。ただし、国土交通省の調査では計画上の積立額に対して不足しているマンションが36.6%あります(https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000210.html)。次の総会資料で、長期修繕計画と現在の積立残高の2つを確認してみてください。

築40年を超えると修繕積立金は下がるのですか。 今回の集計では、築40年超が14,800円で、築25〜30年の16,400円より低い結果でした。ただし、下がる理由までは断定できません。個々のマンションでは、築40年を過ぎてから値上げが続く場合もあります。

この調査の数字を自分の資料に載せてもよいですか。 載せていただけます。「株式会社青山地所 調べ(aoyama-e.com)」と出典を明記し、1都3県67,799棟・専有70㎡換算・2026年9月時点の中央値という条件を併記してください。

まとめ

修繕積立金は築5年以内の7,700円から築15〜20年の16,000円へと約2.1倍になり、その後は金額が安定します。総戸数の影響も小さくなく、総戸数の規模によって差が見られました。そして何より、中央値との差だけで安心や不安を決めず、長期修繕計画と積立残高で確かめることが大切です。金額の高い安いは、その計画に見合っているかどうかで初めて意味を持ちます。今の金額が妥当かどうか気になったら、まずは総会資料を開くところから始めてみてください。

ご自身のマンションの修繕積立金が同じ築年数・総戸数の中でどの位置にあるかは、実際の棟データで見るのが早道です。

参考文献・出典

  • 株式会社青山地所 自社データベース(集計 2026年09月 時点)- aoyama-e.com
  • 国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果(とりまとめ)- https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000210.html
  • 国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果(とりまとめ)資料 – https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001750092.pdf
  • 国土交通省 修繕積立金単価における「築年数」の影響 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001725586.pdf
  • 国土交通省 マンション管理計画認定制度 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/keikakunintei.html
  • 横浜市 修繕積立金の目安 – https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/manportal/manage/rule/deposit.html
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