この記事の結論
- 築40年マンションは「売れない」は誤解で、首都圏成約の一定割合が築41年以上の物件です。
- 売却成功のカギは耐震基準・管理状態・修繕履歴の3点で、これが買い手の判断基準になります。
- 旧耐震基準(1981年5月以前の建築確認)の物件は、住宅ローンの利用に制限が出る場合があります。
「築40年のマンション、本当に売れるんだろうか」と不安に思っている方は多いのではないでしょうか。相続した実家を整理したい、住み替えを考えている、そんな事情を抱えながら検索してたどり着いた方に、まずこう伝えたいと思います。築40年でも、売れています。ただし、何も考えずに売り出せばよいというわけではありません。この記事では、実際の市場データをもとに、築40年マンションが売れる理由と、売却を成功させるために押さえておくべきポイントを、不動産の知識がなくてもわかるように丁寧に解説します。
築40年マンションは本当に売れているのか

まず、事実から確認しましょう。不動産情報サービスのデータによると、首都圏の中古マンション成約件数のうち、築41年以上の物件が一定の割合を占めており、市場で流通しているとされています。つまり、築40年超の物件にも買い手が存在するのです。
「古いから売れない」というイメージは、実態とかなりかけ離れています。むしろ、価格が手ごろな築古物件を求める買い手は一定数存在します。リノベーション(内装や設備を大規模に改修すること)を前提に購入する若い世代や、立地を最優先に考える買い手にとって、築年数はそれほど大きな障壁ではありません。
ただし、「売れる」と「すぐに売れる」は別の話です。売却にかかる期間や最終的な価格は、物件の状態や立地、そして後述する耐震基準の問題によって大きく変わります。焦って安く売ってしまわないためにも、まず自分の物件がどのケースに当てはまるかを確認することが大切です。
ここまでのまとめ: 築40年超の物件は市場に需要が存在します。
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あなたの物件はどのケースか、まず確認する

売却を考える前に、自分の物件の立ち位置を把握しましょう。大きく3つの方向性があります。「そのまま売る」「貸して収益を得る」「リノベーションして価値を上げてから売る」です。この記事では「売る」ことを中心に解説しますが、どの選択肢が最善かは物件の状態と個人の事情によって異なります。
売却を選ぶ場合、最初に確認すべきことが2つあります。ひとつは「建築確認を受けた年月」、もうひとつは「マンションの管理状態」です。この2点が、買い手の判断と住宅ローンの利用可否に直結するからです。
建築確認の年月は、登記簿謄本(法務局で取得できる書類)や、マンションの管理組合に問い合わせることで確認できます。管理状態については、管理組合から「長期修繕計画書」や「修繕積立金の残高」を取り寄せると、買い手に説明しやすくなります。
ここまでのまとめ: 売却前に「建築確認の年月」と「管理状態」の2点を必ず確認しましょう。
耐震基準の違いが売却に与える影響

築40年マンションの売却で最も重要な確認事項は、新耐震基準か旧耐震基準かという点です。これが買い手の住宅ローン利用に直接影響するため、価格と売れやすさを大きく左右します。
国土交通省の情報によると、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物は「新耐震基準」に基づいており、震度6強〜7の揺れでも倒壊しない程度の強度を持つとされています。一方、それ以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」に基づいており、耐震性能が不十分な場合があります(国土交通省 https://taishin-kaishu.mlit.go.jp/earthquake/)。
現在、築40年の物件は1980年代前後の竣工が多く、多くが新耐震基準に該当します。しかし、築42〜43年以上になると旧耐震基準の物件が混在してきます。旧耐震基準の物件は、住宅ローン控除(税金が安くなる制度)の対象外になる場合があり、国税庁の情報では「耐震基準に適合するものとして証明等がされた既存住宅」が控除の対象とされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-3.htm)。
旧耐震基準の物件でも、耐震診断を受けて「新耐震基準に適合している」と証明されれば、住宅ローン控除の対象になる道が開けます。また、フラット35(住宅金融支援機構が提供する長期固定金利ローン)を利用する場合も、適合証明書の取得が必要です(住宅金融支援機構 https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kensakikan/)。売却前に耐震診断の状況を確認しておくと、買い手が安心して購入を検討できます。
ここまでのまとめ: 1981年5月以前に建築確認を受けた旧耐震基準の物件は、買い手のローン利用に影響するため、耐震診断の有無を事前に確認しましょう。
管理状態と修繕積立金が価格を決める

耐震基準と並んで、買い手が必ず確認するのが「マンションの管理状態」です。実は、築年数よりも管理状態のほうが、売却価格に大きな影響を与えることも珍しくありません。
国土交通省のマンション管理情報によると、管理費や修繕積立金の額はマンション購入後の生活に大きく影響するため、買い手は住宅ローンの支払いと合わせて無理なく払えるかを確認します(国土交通省 https://www.mansion-info.mlit.go.jp/manshion_kanri/329/)。修繕積立金が極端に少ない物件は、将来的に大規模修繕(外壁の塗り直しや屋上防水など)の費用が不足するリスクがあり、買い手に敬遠されやすくなります。
また、同省の情報では、長期修繕計画は5年程度ごとに見直すことがマンションの長寿命化につながるとされています(国土交通省 https://www.mansion-info.mlit.go.jp/qa/mansion-management/repair-renovation/467/)。定期的に計画が見直されているマンションは、管理がしっかりしている証拠として買い手の信頼を得やすくなります。
売却前に準備しておくと効果的な書類として、長期修繕計画書、修繕積立金の残高証明、過去の大規模修繕の実施記録などがあります。これらを管理組合から取り寄せておくと、内見(買いたい人が実際に部屋を見に来ること)の際に買い手の疑問に答えやすくなります。管理状態の良さを「見える化」することが、価格交渉を有利に進める近道です。
ここまでのまとめ: 修繕積立金の残高と長期修繕計画の有無が、買い手の安心感と売却価格を左右します。
売却を成功させるための実践的な3つのステップ

ここまでの内容を踏まえて、実際に売却を進める際の流れを整理します。難しく考える必要はありません。順番に確認していけば、自然と準備が整っていきます。
最初のステップは「物件の基本情報を集める」ことです。建築確認の年月、耐震診断の有無、管理費・修繕積立金の月額、長期修繕計画書の最終更新日を確認します。これらは管理組合や管理会社に問い合わせれば教えてもらえます。
次のステップは「複数の不動産会社に査定を依頼する」ことです。1社だけの査定では、相場より低い価格を提示されても気づけません。複数の不動産会社に査定を依頼し、価格の根拠を説明してもらうことで、相場感をつかむことができます。査定は無料で行っている会社がほとんどです。
最後のステップは「売り出し価格と売却方法を決める」ことです。仲介(不動産会社が買い手を探す方法)と買取(不動産会社が直接買い取る方法)では、価格と売却期間が大きく異なります。一般的に、仲介のほうが高値になりやすい一方、売却完了まで数ヶ月かかることもあります。買取は価格が下がる傾向がありますが、早期に現金化できるメリットがあります。どちらが向いているかは、急ぎ度合いと希望価格のバランスで判断してください。
ここまでのまとめ: 基本情報の収集→複数社への査定依頼→売却方法の選択、この3ステップで準備を進めましょう。
まとめ
築40年のマンションは、「売れない」どころか、市場で実際に流通しています。大切なのは、耐震基準・管理状態・修繕積立金という3つの確認事項を事前に把握しておくことです。旧耐震基準の物件であっても、耐震診断を受けることで買い手のローン利用の選択肢が広がります。また、管理状態の良さを書類で示せれば、価格交渉でも有利に立てます。焦って安く売る必要はありません。まず自分の物件の状態を正確に把握することが、後悔しない売却への第一歩です。
ご自身の物件が実際にいくらで売れるかは、同じエリアの実際の成約データで見るのが最も確かな方法です。
参考文献・出典
- LIFULL HOME’S – 築40年のマンションは売れない?売却相場や後悔しないためのポイントも — https://www.homes.co.jp/satei/media/entry/cont/sale_00122
- 不動産流通推進センター(re-port.net)- 首都圏既存M、成約の23%が築41年以上 — https://www.re-port.net/article/news/0000081164/
- 国土交通省 マンション管理情報 – これだけは知っておきたい!マンションの管理状況チェックシート — https://www.mansion-info.mlit.go.jp/manshion_kanri/329/
- 国土交通省 耐震改修ポータルサイト – 地震の被害と耐震改修の必要性 — https://taishin-kaishu.mlit.go.jp/earthquake/
- 住宅金融支援機構 – 適合証明のお問い合わせ窓口:長期固定金利住宅ローン【フラット35】 — https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kensakikan/
- 国税庁 – No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-3.htm
- 国土交通省 マンション管理情報 – 長期修繕計画の見直しについて — https://www.mansion-info.mlit.go.jp/qa/mansion-management/repair-renovation/467/
一橋大学大学院MBA修了。大手デベロッパー法人部門、買取再販会社を経て現職。区分リノベ再販・都心事業用物件の買取再販を手がけ、業界7年の知見で記事を監修。
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