賃貸の費用と契約

ガス代の平均はいくら?世帯別と賃貸オーナーの対策

毎月支払うガス代について、自分の家庭が平均より高いのか安いのか気になる方は多いのではないでしょうか。実は「ガス代の平均」と一口に言っても、世帯人数やガスの種類、地域、契約するガス会社によって金額は大きく変わります。ひとつの数字だけを見て判断すると、かえって実態を見誤りかねません。

この記事では、総務省の家計調査や公的機関のデータをもとに、二人以上世帯の平均・都市ガスの標準家庭・LPガスの数量別平均といった複数の視点からガス代を整理します。さらに、賃貸物件を経営するオーナーの方に向けて、LPガス料金の商慣行是正や省エネ設備への補助制度についても具体的に解説します。自分の請求書を正しく評価し、無理のないコスト対策を考える手がかりにしてください。

ガス代の平均額を世帯別・種類別に把握する

まず基準となるのが、二人以上の世帯における平均額です。総務省の家計調査2025年平均結果によると、二人以上の世帯のガス代は月平均4,882円で、前年より名目で2.9%増加しています。この数字は都市ガスとLPガスの両方を使う世帯を含んだ全体の平均であり、あくまで目安として捉えるのが適切です。

重要なのは、この4,882円という平均が「都市ガスかLPガスか」「何人世帯か」によって大きく上下する点です。一人暮らしであれば平均より低く、家族が多ければ高くなる傾向があります。つまり、自分の請求額をこの平均だけと比べても、正確な判断はできません。ガスの種類と使用量を踏まえて見ることが、実態を知る第一歩となります。

都市ガスの標準家庭ではいくらか

都市ガスの目安を知るには、標準家庭という考え方が役立ちます。東京ガスは標準家庭の使用量を1か月あたり30立方メートルと算定しています。これは過去5年間の1件あたりの平均使用量にもとづくもので、家庭のガス代を比較する際の基準になります。

この30立方メートルを使った場合、東京ガス公式の計算例は2024年10月時点で月5,610円です。なお、2019年10月1日現在の例では基本料金1,056円に単位料金130.46円を30立方メートル分掛けた4,969円の記載があります。ただし、これはあくまで基準の計算例であり、実際の請求額は毎月の原料費調整制度や政府の支援によって変動する点に注意が必要です。

会社や地域によっても水準は異なります。大阪ガスの2026年8月における標準家庭のガス料金は6,047円(税込)でした。同じ「標準家庭」という言葉を使っていても、東京ガスと大阪ガスでは金額に差が出ることがわかります。自分の請求書を評価するときは、契約している会社の標準家庭料金と照らし合わせるのが確実です。

LPガスは数量別に大きく変わる

LPガスは都市ガスより料金が高い傾向にあり、使用量によって金額の幅も大きくなります。石油情報センターの過去の確報データによると、LPガスの全国平均は数量別に異なる料金水準を示しています。同じ10立方メートルでも、都市ガスの標準家庭料金と比べると割高になっていることが読み取れます。

地域による差も見逃せません。LPガスを利用している場合は、まず自分の使用量に対応する数量別の平均と請求額を比べてみることをおすすめします。

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2026年のガス代は「値上げ」なのか「値下げ」なのか

ガス代の話題では値上げという言葉が注目されがちですが、実際の請求額は政府支援の有無によっても左右されます。ここを切り分けて理解しないと、値上げか値下げかを誤って受け取ってしまいます。

経済産業省によると、2026年夏の都市ガス向け支援単価は、7月使用分が14.0円、8月使用分が18.0円、9月使用分が14.0円と、1立方メートルあたりで設定されています。これを受けて東京ガスの検針分では、政府支援が適用されました。つまり、この時期は支援によって請求額が抑えられていたことになります。

ここで大切なのは、政府支援は期間が定められた措置であるという点です。支援があるうちは請求額が下がって見えますが、支援が終了すれば元の水準に戻ります。原料費調整制度による変動も加わるため、月々の金額が上下するのは自然なことです。最新の支援状況や料金改定は、契約するガス会社や各公的機関の公式サイトで確認するのが確実です。

賃貸オーナーが知るべきLPガス商慣行の是正

賃貸物件を経営するオーナーにとって、近年のLPガスに関する制度変更は見過ごせません。とくにLPガス料金の透明化に向けた取り組みが大きく進んでいます。これはオーナーの契約内容や入居者への説明にも直接関わる話です。

資源エネルギー庁によると、LPガスの取引適正化に関する改正規則は2024年7月に一部が施行され、2025年4月に全部が施行されました。この改正では、過大な営業行為の禁止や、LPガス料金の情報提供に関するルールが定められています。長年問題視されてきた料金の不透明さを是正するための重要な一歩といえます。

とくに注目すべきは設備費用の扱いです。経済産業省は2025年4月2日から、LPガス料金にエアコンなどガスの消費とは関係のない設備費用を計上することを禁止しました。これまで一部の賃貸物件では、ガス会社が提供した設備の費用をガス料金に上乗せして回収する慣行がありましたが、ガス消費と無関係な設備についてはこれが認められなくなったのです。

さらに、賃貸集合住宅におけるLPガス料金の情報提供については、消費者が入居前に料金の多寡を知ったうえで入居できるようにするという観点から、ガス事業者の自主的な取り組みから格上げされ、制度上の措置として位置付けられました。これにより、入居希望者は物件を選ぶ段階でLPガス料金を確認しやすくなります。オーナーにとっては、料金が高いままだと物件の競争力に影響しかねないため、契約内容を見直す動機になります。

オーナーが取り組むべき具体的な見直し策

制度変更を踏まえると、オーナーが取るべき対策は「節約しましょう」という漠然としたものにとどまりません。料金構成の見直しと設備投資の両面から、具体的に考える必要があります。

まず着手したいのが、現在のLPガス契約内容の確認です。設備費用がどのように料金へ反映されているか、ガス消費と無関係な費用が含まれていないかをチェックしましょう。新しいルールに照らして問題がある場合は、契約の見直しが必要になります。入居前に料金情報を提供できる体制を整えることも、これからの賃貸経営では欠かせません。

次に検討したいのが、省エネ性能の高い給湯器への交換です。日本ガス協会によると、潜熱回収型給湯器であるエコジョーズは従来型より設置費用が少し高くなるものの、ガス代が安くなるため初期費用は光熱費の削減によって数年で回収できるとされています。同協会は、これまでどおりのお湯の使い方でもガス使用量が減ると案内しています。ガス使用量そのものを減らせる点は、料金の透明化が進む中で入居者満足にもつながります。

オーナーテナント問題と補助制度の活用

賃貸物件で省エネ設備の導入が進みにくい背景には、費用負担と効果の享受者が分かれるという事情があります。資源エネルギーの支援制度の資料では、これを「オーナーテナント問題」と呼んでいます。機器の導入コストを負担するのはオーナーである一方、光熱費削減の効果を受けるのは入居者であるため、設備更新が進みにくいという構造です。

この問題を踏まえて設計されているのが、既存賃貸集合住宅向けの省エネ化支援です。潜熱回収型給湯器への交換に対して、補助が受けられます。補助額は機能や工事内容によって異なります。オーナーの初期負担を軽減しながら、入居者の光熱費を抑えられる設計になっているのが特徴です。

こうした補助制度を活用すれば、給湯器交換のハードルを下げつつ、物件の魅力を高めることができます。制度の詳細や申請条件は年度によって変わる可能性があるため、最新情報は各公的機関の公式サイトで必ず確認してください。個別の適用可否については、専門家に相談しながら進めるのが安心です。

自分の請求書を正しく評価するために

ここまで見てきたように、ガス代の平均を知るうえで大切なのは、ひとつの数字に頼らないことです。二人以上世帯の平均は月4,882円ですが、都市ガスの標準家庭は会社によって5,610円から6,047円ほど、LPガスは使用量によって異なる水準を示しており、条件によって大きく異なります。まずは自分がどの種類のガスを、どれくらい使っているのかを把握することから始めましょう。

そのうえで、契約しているガス会社の標準家庭料金や、地域別の数量別平均と自分の請求額を比べると、実態が見えてきます。都市ガスの場合は政府支援や原料費調整で月々変動するため、単月だけでなく数か月分をならして見るのがおすすめです。LPガスの場合は、料金の透明化が進む今こそ、契約内容を確認する好機といえます。

賃貸オーナーの方にとっては、料金構成の見直しとエコジョーズなどの省エネ設備の導入が、コスト削減と入居者満足の両立につながります。補助制度も上手に活用しながら、透明性の高い運営を目指すことが、これからの賃貸市場で選ばれる物件づくりの鍵となります。最新の制度や料金については各公的機関の公式サイトを確認し、必要に応じて専門家に相談しながら、無理のない対策を進めていきましょう。

参考文献・出典

  • 総務省 家計調査報告(2025年平均) – https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2025.pdf
  • 経済産業省 資源エネルギー庁「LPガスの取引適正化について」 – https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/tekiseika/index.html
  • 経済産業省 資源エネルギー庁「賃貸集合住宅におけるLPガス料金の透明化」 – https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/lpgass_chintai/index.html
  • 経済産業省「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールを施行しました」 – https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250402001/202500402001.html
  • 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援」 – https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260612003/20260612003.html
  • 経済産業省 資源エネルギー庁「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援の概要」 – https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/government/data/package_r7.pdf
  • 石油情報センター「一般小売価格 LP(プロパン)ガス確報」 – https://oil-info.ieej.or.jp/price/price_ippan_lp_gusu.html
  • 日本ガス協会「エコジョーズ(省エネ高効率給湯器)」 – https://www.gas.or.jp/gas-life/ecojozu/
  • 東京ガス「原料費調整制度に基づく2026年8月検針分のガス料金について」 – https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20260626-03.html

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