外国人の方が日本でアパートを借りようとすると、「どんな書類が必要なのか」「審査は通るのか」という不安を感じることが多いものです。日本の賃貸契約では、通常の本人確認書類に加えて在留資格を示す書類が求められ、準備すべきものが多岐にわたります。しかし、必要書類の全体像を先につかんでおけば、審査はぐっとスムーズに進みます。この記事では、国土交通省のチェックシートや大手不動産会社の案内をもとに、必要書類を一覧表で示したうえで、在留資格・職業別の追加書類、書類が揃わない場合の対処、さらにソーシャルレジデンス(シェアハウス型住宅)との違いまで、実務に沿って解説します。
外国人がアパートを借りる際の審査の流れ

外国人が日本でアパートを借りる際の審査は、日本人の場合と手順はほぼ同じですが、確認される項目が増える点が異なります。審査は大きく「支払い能力の確認」と「在留資格の確認」の二軸で進みます。この二つを証明する書類を漏れなく揃えることが、契約への最短ルートです。
流れとしては、内見後に入居申込書を提出するところから始まります。申込書には氏名・生年月日・勤務先・年収などの基本情報に加え、在留カードの情報や緊急連絡先を記入します。提出後は管理会社や保証会社が書類審査を行い、収入が家賃に見合うか、在留期間が契約期間をカバーするかが確認されます。審査期間は物件によりますが、来日後に契約と入居が完了するまで通常数日程度が目安とされています。短期滞在のホテルから切り替える計画で動くと安心です。
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【一覧表】外国人の賃貸契約に必要な書類チェックリスト
まず最初に、必要書類の全体像を押さえておきましょう。国土交通省が公開している「入居審査必要書類チェックシート」では、外国人の賃貸審査で使う書類例として、パスポート、在留カード、勤務証明書、在学証明書、源泉徴収票、給与明細書、預貯金の証明(通帳のコピー)まで列挙されています。これらは大きく6つのカテゴリに整理できます。次の表では、属性ごとの要否を○(必要)・△(場合により必要)・-(原則不要)で示しました。
| カテゴリ/書類 | 原本/コピー | 会社員 | 留学生 | 自営業 | 家族滞在 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①本人確認:在留カード(両面) | コピー | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ①本人確認:パスポート | コピー | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ②在留資格確認:住民票 | 原本 | △ | △ | △ | △ |
| ③勤務先確認:在職(勤務)証明書・雇用契約書 | 原本/コピー | ○ | - | - | - |
| ③勤務先確認:在学証明書・学生証 | 原本/コピー | - | ○ | - | - |
| ④収入確認:源泉徴収票・給与明細書 | コピー | ○ | △ | - | - |
| ④収入確認:確定申告書・決算書 | コピー | - | - | ○ | - |
| ④収入確認:預貯金証明・送金記録 | コピー | △ | ○ | △ | △ |
| ⑤保証関連:保証会社申込書 | 原本 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ⑥契約手続き:銀行口座情報・印鑑 | コピー等 | ○ | ○ | ○ | ○ |
有効期限にも注意が必要です。住民票や連帯保証人の印鑑証明書は、一般に発行から3か月以内のものが有効とされます。審査が通った段階で住民票や印鑑証明書を追加で求められることが実務上よくあるため、申込の時点で先回りして用意しておくと、途中で手続きが止まりません。各書類の取得先は、在留カードやパスポートが自身の手元、住民票は市区町村の役所、源泉徴収票や在職証明書は勤務先、在学証明書は在籍する学校です。
在留資格を証明する書類

外国人の審査で最も重要なのが在留資格の証明です。日本に合法的に滞在していること、そして契約期間中も継続して居住できることを示すために欠かせません。その筆頭が在留カードで、実務解説でも在留カードは審査の必須書類と位置づけられています。提出時は両面のコピーが基本です。表面に氏名・国籍・在留資格が、裏面に住所変更の履歴が記載されるため、両面をセットで出します。
パスポートのコピーも多くの場合に求められます。顔写真のページと入国スタンプのページを用意し、在留カードの情報と照合する形で本人確認が行われます。大手不動産会社の保証人不要プランでも、外国籍の本人確認書類として在留カードの写しまたはパスポートのいずれか一つを受け付けており、この二点がまず基本になると考えてよいでしょう。
在留資格・職業別に必要な追加書類

基本の書類に加えて、在留資格や職業によって求められる書類が変わります。属性ごとに何を足せばよいかを押さえておくと、準備に迷いません。
まず留学生の場合は、在学証明書や学生証、入学許可書で学籍を示します。収入そのものが少ないため、仕送りで生活している学生は、送金記録や銀行口座の通帳コピーを収入証明の代わりに求められることがあります。アルバイトをしている場合は資格外活動許可の有無や給与明細書を添えると、支払い能力の説明に説得力が増します。
技術・人文知識・国際業務などの就労系の在留資格では、在職証明書、雇用契約書、源泉徴収票や給与明細書が中心です。就労資格証明書や社会保険証を併せて提出できると、安定した雇用関係をより明確に示せます。経営・管理の資格で事業を営む方は、登記事項証明書、確定申告書や決算書、事業所の賃貸借契約書などで事業実態を示すことになります。家族滞在の方は本人の収入がないケースが多いため、扶養者(世帯主)の在留カード、在職証明書、収入証明書に加え、続柄がわかる書類をそろえて、世帯としての支払い能力を示します。
書類が揃わないケース別の代替と対処法

来日直後や転職直後など、定番の書類が手元にない場面は少なくありません。そうした場合でも、代替書類で支払い能力や滞在資格を補えるケースがあります。
来日前や来日直後で日本の収入証明がないときは、内定通知書(offer letter)や雇用契約書が有効です。大手不動産会社の来日前向け案内でも、申込時の基本書類として、パスポート、在留カードまたは在留資格認定証明書、学生なら入学許可書、就労者なら内定通知書を挙げています。母国の在職証明書に日本語訳を添えたり、海外口座の残高証明を出したりする方法も現実的です。入社前や転職直後であれば、採用通知書や入社予定日が記載された書類、前職の源泉徴収票が代わりになります。
留学生で在学証明書がまだ発行されていない場合は、入学許可書や学費納付証明、学校の担当者の連絡先を示すと、在籍の裏付けになります。日本の銀行口座を開設していない段階でも、申込自体は進められることが多いので、口座開設前でも申込が可能か、初期費用を現金や海外送金で支払えるかを不動産会社に先に確認しておくと安心です。不足分は代替書類で補えないか、まず相談してみることが、審査落ちを避ける近道になります。
在留期限が短い・更新申請中の場合の注意点

見落とされがちなのが、在留期限と契約期間の整合性です。一般的な賃貸の契約期間は2年のため、残りの在留期間がそれより短いと、継続して住めるかどうかに疑問を持たれ、審査が厳しくなりがちです。実務解説でも、十分な在留期間が残っていることが望ましいとされています。
残存期間が短い場合は、更新予定を説明したり、短期契約や定期借家を提案してもらったりする対応が考えられます。在留期間がまもなく満了する留学生では、進学先の学校への入学許可証のコピーなど、更新後も滞在が続くことを示す資料を求められることがあります。在留期間の更新許可を申請している最中であれば、申請受付票や申請受理の押印があるパスポートを提出し、審査中も一定期間は在留が認められる特例について説明すると理解を得やすくなります。更新が許可された後は、新しい在留カードの写しを再提出する運用になることが多い点も覚えておきましょう。
連帯保証人・保証会社関連の書類

日本の賃貸では、連帯保証人を立てるか保証会社を利用するかが求められます。外国人の場合は日本国内に連帯保証人を見つけにくいため、保証会社の利用が事実上ほぼ必須です。保証会社の審査では、在留カードの写しに加えて給与明細書や源泉徴収票などの収入確認書類を追加で求められるのが一般的で、日本国内に居住していれば申込できる保証会社も多くあります。
ここで注意したいのは、勤務先と緊急連絡先に確認の電話が入ることがあり、連絡がつかないと審査に落ちる点です。緊急連絡先は原則として三親等以内の親族を求められることが多く、日本国内に住み日本語でやり取りできる人を事前に確保しておくと安心です。電話がかかってくる可能性を関係者に伝えておく、いわば事前の根回しが、連絡不通による不合格を防ぎます。費用の目安としては、保証会社によって異なり、初年度と2年目以降で料金体系が分かれることが多いです。
なお、連帯保証人を立てる場合は、保証人の身分証明書と収入証明書のコピー、そして印鑑証明書が必要になります。印鑑証明書は発行から3か月以内のものが有効です。審査の目安としては、月収(手取りではなく総支給額)が家賃の3倍以上あることが一つの基準とされ、収入が足りない分は家賃の2年分程度の預貯金を示すことで補える場合があります。
ソーシャルレジデンス・シェアハウスの場合の必要書類

アパートとは別に、ソーシャルレジデンスやシェアハウスという選択肢があります。共用スペースを備えた入居者同士が交流できる住まいで、必要書類や審査の構造がアパートと大きく異なるため、外国人にとって契約しやすい入り口になりやすいのが特徴です。次の表で違いを整理します。
| 項目 | 一般のアパート | ソーシャルレジデンス・シェアハウス |
|---|---|---|
| 本人確認書類 | 在留カード+パスポート | パスポート+在留カードまたはビザ |
| 収入証明・在職証明 | 原則必要 | 申込時は不要なことが多い(手続き段階で追加の場合あり) |
| 連帯保証人 | 保証会社利用が一般的 | 不要な場合がある(物件により保証会社必須) |
| 緊急連絡先 | 必要 | 必須(海外在住の親でも可の場合あり) |
| 初期費用 | 敷金・礼金・仲介手数料・火災保険など | デポジット+契約手数料中心。礼金・仲介手数料なしの例も |
運営会社によって方針は分かれます。保証会社の利用を必須とし、連帯保証人を立てられても免除しない会社がある一方で、保証人も保証会社も不要で緊急連絡先だけを必須とし、その連絡先に海外在住の親を設定できる会社もあります。後者では現時点の収入や預貯金を入居条件にしていない物件が多く、事前入居申請と身分証明書のコピー提出だけで契約まで進めるケースもあります。在留期限や収入の制約が緩く、来日直後や短期在留でも契約しやすいのは、こうした住まいの大きな利点です。
審査は保証会社の与信審査だけでなく、内覧時のスタッフとのやり取りを通じた人物面の審査を行う運営もあります。収入証明書は申込初日には不要でも、手続きの段階で追加提出を案内されることがある点は頭に入れておきましょう。海外からの申込に対応し、事前にオンラインで手続きを済ませ、来日時に契約と鍵の受け渡しを行う運営もあり、空室であれば最短7営業日ほどで入居できる例もあります。敷金・礼金・仲介手数料ゼロ、連帯保証人不要、最短1か月から契約可能といった条件を打ち出す住まいもあり、まず日本での生活を始めたい方の受け皿になっています。
住民票と契約時に必要なその他の書類

住民票は本人確認と現住所の証明として求められることがありますが、外国籍の方は請求方法に注意が必要です。特に申し出がないと在留資格や在留期間満了日などが省略されることがあり、省略されていると審査書類として使えません。公的な賃貸住宅の案内でも、国籍・地域、外国人住民となった年月日、在留資格、在留期間とその満了日、在留カード番号などの記載を求めています。交付申請書にこれらの記載を明記して請求しましょう。
契約段階では、家賃の口座振替のために日本の銀行口座情報(通帳またはキャッシュカードのコピー)を提出します。口座が未開設なら、在留カードとパスポートを持参して契約前に開設しておくと流れが途切れません。火災保険への加入が条件となる物件も多く、不動産会社が提携する商品に加入するのが一般的です。押印の習慣がない方は、領事館などが発行する署名の証明書で代替できる場合があります。日本語に不安があるときは、多言語対応の重要事項説明を用意する会社を選ぶか、通訳を同伴すると安心です。
審査を通過しやすくするための準備

物件選びの段階から戦略的に動くことが、審査通過の確率を高めます。まず意識したいのは収入と家賃のバランスです。月収に対して家賃が高すぎる物件を選ぶと支払い能力に疑念を持たれるため、収入に見合った水準の物件を選ぶことが近道になります。公的な賃貸住宅では、例えば家賃6万円未満なら家賃の4倍以上、家賃9万〜12万円未満の単身入居なら月収30万円以上といった基準が公開されており、基準がはっきりしている住宅は審査不安の強い方の受け皿になります。保証会社を利用すれば運営側の収入審査が不要になる仕組みもあります。
収入証明が十分でないときは、預貯金残高証明書を追加で出すのが有効です。家賃の1年分以上、できれば2年分程度の貯蓄を示せると、審査でプラスに働きやすくなります。公的な賃貸住宅には家賃等を一時払いする制度があり、これを使う場合は収入証明書が不要になる仕組みも用意されています。外国人の入居実績が豊富な不動産会社を選ぶことも、説明が丁寧で多言語サポートも整っていることが多く、スムーズな審査につながります。
契約後・入居後に必要な手続き

契約が成立して入居した後にも、外国人特有の手続きが残っています。最も重要なのは住居地の届出です。転入日から14日以内に市区町村で住居地届出を行い、在留カードの裏面に住所を記載してもらう必要があります。これを怠ると在留資格の面で不利に働くおそれがあるため、引っ越し後は早めに役所へ向かいましょう。あわせて国民健康保険や年金の手続き、マイナンバーカードを持っている方は住所変更も済ませます。
生活を始めるうえでは、電気・ガス・水道のライフラインやインターネット回線の開通手続きも必要です。申込時には新住所や使用開始希望日、連絡先などの情報を求められます。トラブル予防の観点では、入居時に室内の状況を写真付きで記録しておくことをおすすめします。もともとあった傷や汚れを残しておけば、退去時の原状回復をめぐる行き違いを防げます。国土交通省は外国人の入居支援として多言語のガイドブックなどを公開しているため、こうした資料も活用すると安心です。
まとめ
外国人が日本でアパートを借りる際は、在留カードとパスポートを土台に、収入証明や保証会社関連の書類を漏れなくそろえることが求められます。在留資格や職業によって追加書類が変わり、書類が足りない場合も内定通知書や残高証明などで補える余地があります。残りの在留期間が短いときは、更新予定を示す資料を添えて説明することが大切です。
また、保証人や収入証明のハードルが高いと感じる方には、ソーシャルレジデンスや基準を公開している公的な賃貸住宅という選択肢があります。入居後は14日以内の住居地届出を忘れず、室内状況の記録も残しておきましょう。不明な点は遠慮なく不動産会社に質問し、必要に応じて通訳や緊急連絡先の協力を得ながら、安心して日本での新生活をスタートさせてください。
参考資料
- 国土交通省「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html
- 国土交通省「入居審査必要書類チェックシート」 — https://www.mlit.go.jp/common/001314817.pdf
- UR賃貸住宅「必要書類」 — https://www.ur-net.go.jp/chintai/sp/rent/documents/
- JKK東京「申込資格・必要書類」 — https://www.to-kousya.or.jp/chintai/rent/index.html