不動産の税金

不動産投資の売却損、確定申告はどうする?相談先と手続きを解説

不動産投資で物件を売却したとき、思いがけず損失が出てしまったという経験をお持ちの方は少なくありません。「売却損が出たのに確定申告は必要なの?」「損失を給与所得と相殺できるの?」といった疑問を抱えたまま、申告期限が近づいてくると焦りを感じるものです。この記事では、投資用不動産の売却損が生じた場合の確定申告の基本的な仕組みから、計算方法、相談窓口まで、初心者にもわかりやすく解説します。税務の知識を整理することで、適切な対応が取れるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。

投資用不動産の売却損と確定申告の基本的な考え方

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まず押さえておきたいのは、不動産の売却によって生じる所得(または損失)は「譲渡所得」として扱われるという点です。国税庁の案内によると、土地や建物の譲渡所得は、事業所得や給与所得などとは分離して計算する「分離課税」の仕組みが適用されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm)。つまり、不動産の売却損益は、他の収入とは別の枠で計算されるということです。

では、売却損が出た場合はどうなるのでしょうか。国税庁は、不動産投資の土地・建物を売って譲渡損失が出ても、その損失は原則として給与所得や事業所得など他の所得とは損益通算できないと明示しています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm)。損益通算とは、ある所得の損失を別の所得の利益と相殺する仕組みのことです。投資用不動産の売却損は、この恩恵を原則として受けられない点が重要なポイントです。

なお、損益通算や繰越控除が認められる例外として、国税庁の解説では「居住用財産の譲渡損失」が中心として挙げられています(国税庁 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/joto-sanrin/050228/22.htm)。この特例はあくまで自分が住んでいたマイホームを対象とするものであり、賃貸・投資目的の不動産にはそのまま当てはまりません。投資用物件の売却損を給与所得などと相殺できると誤解している方も多いため、この点は特に注意が必要です。

売却損の正確な計算方法を理解する

売却損の正確な計算方法を理解するのイメージ

売却損が生じているかどうかを正確に把握するためには、譲渡所得の計算方法を理解することが欠かせません。基本的な計算式は「譲渡価額(売却金額)-取得費-譲渡費用」です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm)。この計算結果がマイナスになれば、譲渡損失が生じたことになります。

取得費とは、物件を購入したときの代金や購入に要した費用のことです。ただし、建物については所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算する必要があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm)。賃貸用として使っていた建物の場合、不動産所得の計算上で必要経費に算入してきた償却費の累積額が関係してきます(東京国税局 https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/topics/check/r06/pdf/12.pdf)。長期間保有していた物件ほど減価償却が進んでいるため、帳簿上の取得費が低くなり、売却損が小さく見えたり、逆に利益が出たりするケースもあります。

また、取得費が分からない場合は、売った金額の5%相当額を概算取得費として使うことができます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm)。ただし、この方法を使うと取得費が非常に低くなるため、実際の購入価格が分かる場合は売買契約書などで確認することをおすすめします。

譲渡費用については、仲介手数料や売主負担の印紙税、立退料、取壊し費用など、売るために直接かかった費用が含まれます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm)。一方で、修繕費や固定資産税などの維持管理費は譲渡費用にはなりません(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm)。また、売買時に買主から受け取る未経過固定資産税等相当額は、譲渡価額(収入金額)に算入される点も見落としがちなポイントです(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3214.htm)。

売却損が出た場合でも確定申告は必要か

売却損が出た場合の確定申告については、「損が出たのだから申告しなくていいのでは」と考える方もいます。しかし、国税庁は土地や建物を売却して利益がある方は原則として確定申告が必要と案内しており(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/fudousan.htm)、損失のみの場合の一般的な要否については個別の状況によって異なります。不確かな判断で申告を省略してしまうと、後から問題が生じる可能性があるため、税務署や税理士に相談して確認することが安全です。

確定申告を行う場合、申告期間は原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までです(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_1.htm)。申告書を提出する際には、「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)土地・建物用」という書類を作成・添付する必要があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joto/annai/1647_01_01.htm)。この内訳書に売却価格や取得費、譲渡費用などを記入して計算を行います。

準備すべき書類としては、売買契約書等の写しや、取得費・譲渡費用に関する領収証の写しが重要です(東京国税局 https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/topics/check/r06/pdf/12.pdf)。これらの書類は売却後に紛失しやすいため、取引が完了した時点で整理・保管しておくことを強くおすすめします。また、所得税の確定申告書を税務署に提出した場合、原則として住民税や事業税の申告書を改めて提出する必要はありません(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/02.htm)。

売却損の確定申告で頼れる相談窓口

実際に申告の手続きを進めようとすると、「自分の場合はどうなるのか」「書類の書き方がわからない」といった具体的な疑問が出てくるものです。そのような場合は、一人で抱え込まずに専門の相談窓口を活用することが大切です。

国税庁では、国税相談専用ダイヤルを設けており、譲渡所得に関する相談は音声案内の「3」を選ぶことで受け付けています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm)。電話での相談は手軽に利用できる反面、書類の内容や個別の事実関係を詳しく確認したい場合には限界があります。そのような場合は、所轄の税務署で面接相談を受けることができ、事前に電話で相談日時を予約する必要があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm)。

より専門的なサポートを求めるなら、税理士への依頼も有力な選択肢です。国税庁は、正規の税理士を探す方法として日本税理士会連合会の登録情報を参照するよう案内しています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/search.htm)。税理士に依頼すれば、申告書の作成から提出まで一括してサポートを受けられるため、複雑な計算や書類準備の手間を大幅に軽減できます。費用はかかりますが、申告漏れや誤りによるリスクを避けるという意味でも、投資用不動産の売却という大きな取引では専門家への相談を検討する価値があります。

なお、申告後に純損失等の金額を少なく申告していたことに気付いた場合は、更正の請求によって訂正を求めることができ、原則5年以内が目安とされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/campaign/r8/Apr/03.htm)。申告を終えた後でも、誤りに気づいたら早めに対応することが重要です。

まとめ

不動産投資の売却損と確定申告について、重要なポイントを振り返りましょう。投資用不動産の譲渡損失は、原則として給与所得などとの損益通算ができません。また、売却損の計算には取得費(減価償却後)や譲渡費用の正確な把握が欠かせず、書類の準備が申告の成否を左右します。申告の要否や手続きに不安がある場合は、国税相談専用ダイヤルや税務署の面接相談、税理士への依頼など、複数の相談窓口を積極的に活用してください。売却損という結果は残念ですが、正確な申告と適切な対応が、次の投資への健全なスタートにつながります。一人で悩まず、専門家の力を借りながら着実に手続きを進めていきましょう。

参考文献・出典

  • 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
  • 国税庁 No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm
  • 国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm
  • 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm
  • 国税庁 措置法第41条の5《居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除》関係 — https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/joto-sanrin/050228/22.htm
  • 国税庁 不動産等を売却した方へ(令和7年分 確定申告特集) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/fudousan.htm
  • 国税庁 申告書添付書類一覧(譲渡所得・山林所得関係) — https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joto/annai/1647_01_01.htm
  • 東京国税局 譲渡所得申告のチェックシート(令和6年分用) — https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/topics/check/r06/pdf/12.pdf
  • 国税庁 国税に関するご相談について — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm
  • 国税庁 税理士をお探しの方へ — https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/search.htm
  • 国税庁 所得税及び復興特別所得税の申告等(Q&A) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/02.htm

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