この記事の結論
- 底地の売却相場は、売る相手によって大きく変わります。
- 借地人に売る場合と専門業者に売る場合で相場が異なります。
- 相場を正確に知るには、まず更地価格を国土交通省のデータで確認することが出発点です。
「底地を売りたいけれど、いくらで売れるのか見当もつかない」という方は多いのではないでしょうか。底地とは、借地権(他人が建物を建てて使う権利)が設定された土地のことです。普通の土地と違い、自分では自由に使えないため、売却価格が大きく下がるのが一般的です。この記事では、底地売却の相場がどのくらいになるのか、なぜ安くなるのか、そして少しでも高く売るためにはどうすればよいかを、わかりやすく解説します。相続で底地を引き継いだ方や、長年の底地管理に疲れた方にも、ぜひ参考にしてください。
底地の売却相場はなぜ普通の土地より安いのか

底地の価格が低くなる理由は、「自由に使えない土地」だからです。借地人(土地を借りている人)が建物を建てて住んでいる以上、新しい買主もその土地を自由に使うことができません。これが底地の最大の弱点です。
金融機関(銀行など)も、底地を担保にしてお金を貸すことをほとんど行いません(SUUMO)。つまり、底地を買いたい人が住宅ローンを使えないケースが多く、買える人の数が極端に少なくなります。買い手が少ないということは、価格が下がりやすいということです。
さらに、底地の価格と借地権の価格を足しても、更地(まっさらな土地)の価格には届かないのが通常です。一般的には、土地を分けて売ると、合計でも損をする構造になっているとされています。
ここまでのまとめ: 底地は「自由に使えない・担保にしにくい・買い手が少ない」という三重の理由で、普通の土地より大幅に安くなります。
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売る相手によって相場は大きく変わる

底地の売却相場は、誰に売るかによって大きく異なります。大きく分けると「借地人に売る」「専門業者に売る」「借地人と共同で第三者に売る」の3つのルートがあります。
借地人に売る場合の相場は、更地価格の一定割合とされています(SUUMO)。借地人にとって底地を買うことは、土地の完全な所有権を手に入れることを意味します。住宅ローンが使えるようになるなど、大きなメリットがあるため、他の買い手より高い価格で交渉できる可能性があります。三井住友トラスト不動産の解説では、このような「借地人が底地を購入する場合」は「限定価格」の典型例として扱われており、通常の市場価格とは異なる特別な価格形成が起きると説明されています。
専門業者(底地の売買を得意とするプロの不動産会社)に売る場合は、相場が大きく下がります。三井のリハウスによると、専門業者への売却相場は更地価格より大幅に低くなります。スムーズに売れる反面、価格は低くなるのが現実です。
借地人と地主が協力して、まとめて第三者に売る方法もあります。この場合、買主は更地として使えるため、更地価格に近い金額で売れる可能性があるのが最大のメリットです(三井住友トラスト不動産)。ただし、借地人との合意が必要なため、交渉に時間がかかることもあります。
ここまでのまとめ: 借地人への売却が最も高く、専門業者への売却が最も低く、共同売却は条件次第で更地価格に近づける可能性があります。
相場の出発点「更地価格」の調べ方
底地の相場を考えるとき、まず「更地だったらいくらか」を知ることが出発点になります。この更地価格がわからないと、相場の割合も計算できません。
更地価格を調べるには、国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」が便利です(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/)。このサイトでは、実際の不動産取引価格や地価公示などの情報を無料で確認できます。取引当事者へのアンケートをもとに四半期ごとに更新されているため、最新の実勢価格(実際に取引されている価格)を把握するのに役立ちます。
税務上の評価額(相続税の計算に使う路線価など)は、売買価格とは異なります。国税庁の計算方法では、底地の評価額は「自用地としての価額(更地評価)から借地権相当分を差し引いた金額」で計算されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4613.htm)。しかし、この税務上の評価額はあくまで課税の公平性を保つための数字であり、実際の売買価格とは一致しないことが多いです。三井住友トラスト不動産も「借地権割合はあくまで課税の公平性・迅速な事務処理対応に主眼をおいて一律に定められているもの」と説明しています。
税務上の評価額と実際の売却価格は別物だという点は、特に相続で底地を引き継いだ方が誤解しやすいポイントです。相続税の申告書に書かれた金額が売値になると思っていると、実際の査定額を見て驚くことになります。
ここまでのまとめ: 更地価格は国土交通省の不動産情報ライブラリで調べられますが、税務上の評価額と実際の売却価格は別物です。
底地を売るときに知っておきたい法律の基本
底地を売ること自体は、地主の権利として自由に行えます。借地人の許可は必要ありません。三井住友トラスト不動産によると、底地が第三者に売却されて所有権が移転した場合、地主(賃貸人)としての立場は新しい買主に引き継がれます。また、事前に借地人へ知らせることも法律上は必要とされていません。
ただし、新しい地主になっても、借地人を追い出すことはできません。借地借家法10条により、借地権はその登記がなくても、借地権者がその土地上の登記された建物を所有するときは第三者に対抗できます。したがって、新地主もその借地権を承継し、明渡しを当然に求めることはできません(借地借家法10条)。これは底地を買う側にとっての制約であり、だからこそ底地の価格が低くなる理由の一つでもあります。
売却後の税金についても確認しておきましょう。底地を売って利益が出た場合は、譲渡所得税がかかります。国税庁によると、譲渡所得は「売却金額から取得費と譲渡費用を差し引いた金額」で計算します(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm)。譲渡費用として差し引けるものには、仲介手数料・測量費・売買契約書の印紙代・立退料・建物の取壊し費用などが含まれます。税額は保有期間によっても変わるため、売却前に税理士に相談することをおすすめします。
ここまでのまとめ: 底地は借地人の許可なく売れますが、新地主も借地人を追い出せません。売却益には譲渡所得税がかかるため、事前に税務の確認が必要です。
少しでも高く売るための3つの考え方
底地の売却で損をしないためには、売り方の戦略が重要です。まず最初に検討すべきは、借地人への売却交渉です。借地人は底地を買うことで土地の完全な所有権を得られるため、専門業者より高い価格で買ってくれる可能性があります。ただし、借地人が購入を希望しない場合や、資金的に難しい場合もあるため、断られることも想定しておく必要があります。
次に有効なのが、借地人と協力して共同売却を検討することです。地主と借地人が一緒に土地全体を第三者に売れば、買主は更地として使えるため、価格が大きく上がる可能性があります。双方にとってメリットがある方法ですが、借地人との信頼関係と丁寧な交渉が前提となります。
底地の売却に慣れた専門の不動産会社に相談することも大切です。SUUMO・三井のリハウスなどの情報でも示されているように、底地の買い手は「借地人か、底地売買に強いプロの不動産会社」に限られます。一般的な不動産会社では底地の取り扱い経験が少ないことも多いため、底地売買の実績がある会社を選ぶことが、適正価格での売却につながります。複数の会社に査定を依頼して比較することも、価格の目安をつかむうえで有効です。
ここまでのまとめ: 借地人への売却・共同売却・専門業者への売却の順に価格が変わるため、まず借地人への打診から始めるのが基本的な戦略です。
まとめ
底地の売却相場は、売る相手によって大きく幅があります。借地人に売る場合と専門業者に売る場合で相場が異なり、借地人と共同で第三者に売れば更地価格に近づく可能性があります。税務上の評価額と実際の売却価格は別物であることを忘れずに、まずは国土交通省の不動産情報ライブラリで更地価格の目安を確認することから始めましょう。売却後には譲渡所得税がかかるため、税理士への相談も早めに行うことをおすすめします。底地の売却は通常の土地より複雑ですが、正しい知識と戦略があれば、納得のいく売却は十分に可能です。
ご自身の底地がいくらになるかは、実際の成約データをもとにした査定で確かめるのが最も確実な方法です。
参考文献・出典
- 国税庁 – No.4613 貸宅地の評価 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4613.htm
- 国税庁 – No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
- 国土交通省 – 不動産情報ライブラリ(不動産価格・取引価格情報) — https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/
- 三井住友トラスト不動産 – 不動産の鑑定評価が有用な例 — https://smtrc.jp/useful/qa/kakaku/qa-kakaku_09.html
- 三井住友トラスト不動産 – 底地・借地の法律Q&A — https://smtrc.jp/toushi/landlord/sokochi-syakuchi/sokochi-syakuchi_07.html
- 三井住友トラスト不動産 – 土地の一部を売って、残った土地の価値が下がるような場合〜「限定価格」という価格の種類 — https://smtrc.jp/useful/knowledge/hyoka-kakaku/2020_10.html
- SUUMO – 「底地」の意味とは?底地の売却、買取の相場、底地購入のメリット・デメリットまでわかりやすく解説 — https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/tochi/tochi_knowhow/sokochi/
- 三井のリハウス – 底地の買取相場は?売却価格を左右するポイントや注意点を解説 — https://www.rehouse.co.jp/relifemode/column/at/at_0312/
- 借地借家法10条 — https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090?occasion_date=20260414