「REITを始めてみたいけれど、どこで買えばいいのかわからない」という方は少なくありません。実は、REITは株式と同じように証券会社を通じて購入できます。本記事では、REITの基礎知識から購入場所、証券会社の選び方、注文方法、そして税金やNISAの活用法まで、初心者がつまずきやすいポイントを丁寧に解説していきます。数万円から始められる不動産投資として、最初の一歩を踏み出すための情報をまとめました。
REITはどこで買う?答えは「証券会社」

まず結論からお伝えすると、REITは証券会社を通じて購入します。日本取引所グループの公式サイトでも「株式と同様、全国の証券会社を通して、東証で売買ができます」と明記されており、上場している不動産投資信託であるJ-REITは、株式とまったく同じ仕組みで取引できるのです。つまり、証券口座を一つ持っていれば、株を買うのと同じ感覚でREITを購入できます。
REIT(リート)とは「Real Estate Investment Trust」の略で、日本語では「不動産投資信託」と呼ばれます。投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などの不動産を保有し、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。日本国内で上場しているものはJ-REITと呼ばれ、東京証券取引所公式コラムによると2026年3月末時点で58銘柄が上場しています。
REITの魅力は、実物不動産を買うより格段に少ない資金で不動産投資を始められる点にあります。物件選定やテナント管理といった手間のかかる業務はすべて運用会社が担ってくれるため、投資家は購入するだけで賃料収入をもとにした分配金を受け取れます。1銘柄で複数の物件に投資できるためリスク分散が自然に図れる一方で、価格変動リスクや金利上昇リスク、災害リスクなども存在しますので、購入前にはこうしたリスクも理解しておくことが大切です。
最低いくらから買える?J-REITの投資口価格

REITを買う際に気になるのが、最低いくらから始められるのかという点でしょう。J-REITは各銘柄ごとに「投資口価格」が設定されており、これが株式でいう株価に相当します。東京証券取引所の解説によると、投資口価格がそのまま各銘柄の最低購入金額となります。
具体的な価格帯を見てみましょう。同じく東証公式コラムでは、2026年3月末時点でJ-REITの投資口価格は最も安い銘柄で4万7000円台、最も高い銘柄でも32万円台とされています。数万円から20万円台が中心的な価格帯であり、数千万円単位の資金が必要な実物不動産と比べると、はるかに手の届きやすい水準だとわかります。
銘柄を選ぶときのポイントは、投資対象となる不動産の用途です。東証の解説では、J-REITの各銘柄は「オフィス」「住居」「物流施設」「商業施設」「ホテル」など、それぞれ得意とする投資対象を持っていると説明されています。景気に敏感なオフィスや、比較的安定した需要が見込める住居、近年成長が続く物流施設など、用途によって収益の特徴が異なりますので、自分の投資方針に合った分野を選ぶとよいでしょう。
個別銘柄かJ-REIT ETFか
REITの買い方には、大きく分けて個別銘柄を直接買う方法と、複数の銘柄にまとめて投資できるETFを買う方法があります。それぞれ特徴が異なりますので、経験や投資スタイルに合わせて選ぶことが重要です。
個別銘柄を直接購入する場合は、オフィス特化型や物流施設特化型など、投資対象を自分で選べるのが魅力です。特定の用途や運用会社にこだわりがある方、REITの分析を楽しみたい方に向いています。一方で、1銘柄だけに投資すると分散効果は限定的になるため、複数銘柄を組み合わせる工夫が必要になります。
そこで初心者に検討してほしいのがJ-REIT ETFです。ETF(上場投資信託)は、東証REIT指数などに連動する商品を1つ買うだけで、多くのREIT銘柄に分散投資できます。東証公式のガイドブックでは、東証REIT指数連動ETFが複数銘柄上場していると整理されています。具体的な例として、同ガイドブックには「1476 iシェアーズ・コア Jリート ETF」や「2552 上場インデックスファンドJリート(東証REIT指数)隔月分配型(ミニ)」などが売買単位1口のETFとして掲載されています。市場全体の値動きに連動するため、個別銘柄の分析に自信がなくても始めやすいのが利点です。
初心者の方には、まず分散効果の高いJ-REIT ETFでREIT投資の感覚をつかみ、慣れてきたら気になる個別銘柄に挑戦するという流れをおすすめします。無理なくステップアップできる現実的な進め方といえるでしょう。
ネット証券を比較して選ぶ
REITを買うにはまず証券口座が必要です。証券会社は大きくネット証券と店舗型証券に分かれますが、コストを抑えたい方にはネット証券が向いています。ここでは主要ネット証券の特徴を、公式情報をもとに見ていきましょう。
マネックス証券では、J-REITを国内株の「株式取引」画面から株式と同様に注文でき、指値・成行・期間指定注文が可能とされています。手数料は株式売買手数料と同じで、買付金額の限度は原則として口座内の預り金とMRFの合計金額になると案内されています。楽天証券でも、REITは国内株式と同じ扱いで、立会時間中であればいつでもリアルタイムに売買でき、指値・成行に加えて逆指値注文などの条件注文にも対応しています。
手数料面で参考になるのが松井証券です。松井証券のREIT現物取引は1日の約定代金合計で手数料が決まる仕組みで、公式サイトでは50万円までなら0円と明示されています。さらに、NISA口座での日本株取引の委託手数料はインターネット経由の場合は無料とされており、成長投資枠の取扱商品にREITが含まれている点も初心者には心強い情報です。SBI証券でもNISAの成長投資枠の対象に国内ETF・REITを明記しており、積立だけでなくスポット購入にも対応しています。
一方、野村證券や大和証券などの店舗型証券は、対面でアドバイスを受けられる安心感があります。投資経験が浅く、専門家の意見を聞きながら判断したい方には向いていますが、売買手数料はネット証券より割高になる傾向があります。コストを抑えつつ自分のペースで投資したいなら、ネット証券が有力な選択肢となるでしょう。
口座開設からNISAの選び方まで
証券口座を開設する際には、口座の種類とあわせて手続きの流れを理解しておくとスムーズです。日本証券業協会によると、証券口座の新規開設時にはマイナンバーの提出が必要とされています。運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類とあわせて、事前に準備しておくと申込みが円滑に進みます。
口座には主に特定口座と一般口座があり、初心者には「特定口座(源泉徴収あり)」が便利です。この口座なら分配金や売却益にかかる税金が自動的に差し引かれるため、原則として確定申告が不要になります。ここにNISA口座を組み合わせるのが賢い選び方です。ただし日本証券業協会は、新たに証券会社と取引する人がNISA口座を開設する場合、同時に一般口座または特定口座も開設する必要があると案内しています。
NISAを使う際に押さえておきたいのが、つみたて投資枠と成長投資枠の違いです。金融庁の資料によると、新NISAの年間投資枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、成長投資枠の投資対象は「上場株式・投資信託等」とされています。J-REITやJ-REIT ETFはこの成長投資枠を通じて購入します。なお、NISA口座は1人1口座のみで、異なる金融機関でつみたて投資枠と成長投資枠を分けて使うことはできない点にも注意が必要です。
REITと税金の関係を理解する
REITから得られる利益には税金がかかります。金融庁の資料によれば、通常の口座で保有する場合、売却益や配当・分配金に対して税率20.315%が課税されます。たとえば年間10万円の分配金を受け取ると、およそ2万円が税金として差し引かれ、手元に残るのは約8万円という計算になります。特定口座(源泉徴収あり)を使っていれば、この計算と納税は証券会社が代行してくれます。
ここで大きな効果を発揮するのがNISA口座です。金融庁の資料では、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税になると明記されています。先ほどの例でいえば、年間10万円の分配金がまるごと手元に残ることになります。長期保有を前提とするREIT投資では、この非課税メリットが複利効果を高めるうえで非常に有効です。
ただし注意点もあります。同じ金融庁の資料では、NISA口座から得られた損益は他の口座(一般口座や特定口座)と損益通算できないと説明されています。通常の課税口座であれば、REITの損失を他の株式などの利益と相殺して税負担を軽減できますが、NISA口座ではこうした調整ができません。非課税のメリットと引き換えに、損失時の柔軟性は失われる点を理解しておきましょう。制度の詳細や最新情報は、金融庁など各公的機関の公式サイトで確認することをおすすめします。
実際に注文するための実務知識
口座を開設して銘柄を決めたら、いよいよ注文です。REITは株式と同じ画面から発注できますが、初心者が発注直前でつまずかないよう、いくつかの実務知識を押さえておきましょう。
まず取引時間についてです。日本取引所グループによると、東証の売買立会は午前が9時から11時30分まで、午後が12時30分から15時30分までとなっています。注文自体は午前立会が8時から受け付けられているため、市場が開く前に注文を出しておくことも可能です。この時間帯の中でリアルタイムに売買が成立します。
次に注文方法です。日本取引所グループの案内でも、J-REITは指値注文も成行注文もできるとされています。指値注文は「この価格以下なら買う」と価格を指定する方法で、成行注文は現在の市場価格ですぐに購入する方法です。初心者の方は、確実に約定しやすい成行注文から始めると迷いにくいでしょう。慣れてきたら、希望価格で買える指値注文や、楽天証券などが対応している逆指値注文を活用する幅も広がります。
買付余力にも注意が必要です。マネックス証券の案内では、買付金額の限度は原則として口座にある預り金とMRFの合計金額とされています。つまり、購入前に十分な資金を口座へ入金しておくことが前提となります。証券会社の取引画面にログインし、銘柄の証券コードを入力して数量と注文方法を指定すれば、注文は完了です。
まとめ:まずは少額から一歩を踏み出そう
REITは証券会社で口座を開設すれば、株式と同じように東証で誰でも購入できる金融商品です。最低購入金額は銘柄によって数万円から20万円台が中心で、実物不動産よりはるかに少ない資金で不動産投資を始められます。証券会社を選ぶ際は、手数料の水準、取扱商品の豊富さ、NISA口座への対応という三つの視点で比較するとよいでしょう。
初心者の方には、分散効果の高いJ-REIT ETFを、NISAの成長投資枠を使って少額から購入する方法が現実的です。まずはETFで市場の値動きに慣れ、自信がついたら気になる個別銘柄へと広げていくと、無理なくステップアップできます。税制やNISA制度は改正されることもありますので、最新の内容は金融庁など公的機関の公式サイトで確認しながら進めてください。
口座開設は無料で、いまではスマートフォンだけで申込みから注文まで完結できます。大きな資金を用意できなくても、REITなら不動産投資の世界へ手軽に足を踏み入れられます。まずは証券口座の開設から始めて、最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 日本取引所グループ「概要(REIT)」 – https://www.jpx.co.jp/equities/products/reits/outline/
- 日本取引所グループ「売買立会時(立会時間)」 – https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/01.html
- 東京証券取引所「数万円で大家になれるJ-REITの魅力」 – https://www.jpx.co.jp/reit-if/column/interview/050.html
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」 – https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/slide_202406.pdf
- 日本証券業協会「NISAで証券投資デビュー」 – https://www.jsda.or.jp/nisa/securities/
- 日本証券業協会「マイナンバーについて」 – https://www.jsda.or.jp/about/hatten/mynumber/index.html