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この記事の結論
- 入居時から設備として付いていたウォシュレットが通常使用で故障した場合、修繕費用は原則として貸主(大家)負担です。
- 借主の不注意や異物詰まりなど、借主側に原因がある故障は借主負担になります。
- 故障に気づいたらまず管理会社・貸主に連絡し、無断修理は絶対に避けてください。
賃貸物件に住んでいると、ある日突然ウォシュレットが動かなくなって困った経験はないでしょうか。「修理費用は自分が払うべきなのか、それとも大家さんが払ってくれるのか」と判断に迷う方は非常に多く、対応を誤るとトラブルに発展することもあります。この記事では、費用負担の原則から具体的な修理費用の目安、いざというときの対処法まで、初心者にも分かりやすく解説します。契約書のどこを確認すればよいかも紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
費用負担の原則:民法と国交省の考え方

まず押さえておきたいのは、賃貸住宅の修繕に関する法律上の原則です。民法(e-Gov法令検索)では「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています。つまり、物件を貸している側(大家・管理会社)が、入居者が快適に生活できるよう修繕する義務を負うのが基本的な考え方です。
国土交通省が公表している標準契約書(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/keiyaku/kei02.html)でも、同様の考え方が採用されています。小修繕を除く必要な修繕は貸主が行い、借主の故意または過失による故障だけが借主負担という建付けになっています。ウォシュレットについても、入居時から設備として備わっていたものが通常の使い方で壊れた場合は、貸主負担が原則です。
一方で、退去時の原状回復についても国土交通省のガイドライン(https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf)に考え方が示されています。通常の使用で生じた損耗や経年変化は借主が負担する必要はなく、借主の不注意や通常ではない使い方による損傷だけが借主の負担となります。この考え方はウォシュレットの故障にも共通して当てはまります。
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借主負担になるケースとは

原則は貸主負担とはいえ、借主側に原因がある場合は話が変わります。国土交通省のガイドラインでは、「通常の使用方法ではないような使用方法による損耗・毀損については借主が修繕費用を負担する」と明記されています。具体的にどのようなケースが該当するのかを理解しておくことが大切です。
典型的な借主負担の例として挙げられるのが、トイレへの異物詰まりです。大量のトイレットペーパーや流せないものを流してしまった場合のつまりは、入居者負担とする運用例があります(JKK東京「住まいのしおり」)。ウォシュレット本体についても、借主が誤った使い方をして壊した場合や、水をかけるなど明らかな不注意による故障は借主負担になる可能性が高いので注意が必要です。
また、借主が自分で後付けしたウォシュレットは扱いがまったく異なります。JKK東京の案内によると、借主が自費で設置した温水洗浄便座は、退去時に自己負担で原状回復する必要があり、設置後に起因する事故も自己責任とされています。後付けを検討している場合は、事前に貸主の許可を得ることが不可欠です。
「残置物」には要注意
費用負担を考えるうえで見落としがちなのが、「残置物」の問題です。残置物とは、前の入居者が退去時に置いていった私物のことで、貸主が正式に設備として提供したものとは扱いが異なります。
物件の設備として契約書や重要事項説明書に記載されているウォシュレットであれば、貸主の修繕義務が及びます。しかし、「前の入居者が残していったウォシュレット」として扱われている場合は、記載内容と異なるケースもあるため、契約書・重要事項説明書の確認が必要です。入居前や入居直後に、ウォシュレットが「設備」として明記されているかどうかを確認しておくことが、後々のトラブルを防ぐ最善策です。
また、公社が備え付けた温水洗浄便座の作動不良を貸主側負担としている実務例もあります(JKK東京「住まいのしおり」)。「最初から設備として付いていたか」という事実が、費用負担の分かれ目になります。契約書を手元に置いて、設備一覧を今一度確認してみてください。
修理費用の目安と対処の流れ
費用負担が貸主側であっても、まず自分で状況を把握しておくと管理会社への連絡がスムーズになります。TOTO公式の修理目安料金によると、操作しても動かない症状、ノズルが出ない症状、便座・便ふたの交換など、症状に応じた修理費用が設定されています。また、訪問後に異常が見受けられない場合でも診断費用が発生することがあります。
LIXILの場合も同様に、診断後キャンセル等の費用として費用が発生し、製品が古く交換部品がないために修理不可となり、交換を提案されるケースもあります(LIXIL公式サポートページ)。交換工事の費用については、量販店の目安として新規取付工事6,600円(税込)、既存温水便座からの買い替え工事9,900円(税込)という例があります(ヤマダデンキウェブコム)。本体代は別途かかるため、交換となった場合の総費用はこれらを合算して考える必要があります。
故障に気づいたときの対処の流れは、まず管理会社または貸主に連絡することが基本です。国民生活センター(https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260217_1.html)も「すぐに貸主側に連絡して相談しましょう」と案内しており、無断で修繕を行うと退去時にトラブルになる可能性があると注意を促しています。連絡の際は、いつから・どのような症状が出ているかを具体的に伝えると対応が早まります。
貸主が修繕に応じないときの対処法
管理会社や貸主に連絡しても修繕が進まない場合、借主には法律上の対抗手段があります。民法(e-Gov法令検索)では、貸主が相当の期間内に必要な修繕をしないとき、または急迫の事情があるときは、借主が自分で修繕できると定められています。つまり、連絡しても放置され続けた場合は、借主が修理業者を手配して費用を貸主に請求できる余地があります。
法テラスのFAQ(https://www.houterasu.or.jp/site/faq/sumai-chintai-002.html)によると、その場合の修理費を家主に請求することができ、条件次第では家賃から修繕費を差し引けるとも案内されています。ただし、この手続きは慎重に進める必要があり、まずは書面で貸主に修繕を求めることが重要です。契約書の条文を引用しながら書面で請求し、それでも応じない場合は60万円以内であれば少額訴訟という選択肢もあります。
なお、ウォシュレット単体の故障ではなくトイレ全体が使えなくなった場合は、民法上「賃借物の一部が使用できなくなった割合に応じて賃料が減額される」という規定も関係してきます。深刻な状況になる前に、早めに管理会社へ相談することが最善の対応です。
まとめ
賃貸のウォシュレット故障における費用負担は、「入居時から設備として付いていたか」「通常の使い方で壊れたか」という2点が判断の核心です。原則は貸主負担ですが、借主の不注意や残置物の場合は扱いが変わります。まず契約書・重要事項説明書でウォシュレットが設備として記載されているかを確認し、故障に気づいたらすぐに管理会社へ連絡することが大切です。無断修理はトラブルの原因になるため、必ず事前に相談してください。費用負担の原則を知っておくだけで、いざというときに冷静に対応できるようになります。
参考文献・出典
- 民法 | e-Gov法令検索 — https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/20200401_429AC0000000044
- 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省) — https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
- 賃貸住宅標準契約書(国土交通省) — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/keiyaku/kei02.html
- 標準契約書 別表第4(国土交通省) — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/keiyaku/kei02d.html
- 賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!(国民生活センター) — https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260217_1.html
- 住み始める時から、「いつか出ていく時」に備えておこう!(国民生活センター) — https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20230201_2.pdf
- 賃借人が借家の毀損部分を修繕した場合(法テラス) — https://www.houterasu.or.jp/site/faq/sumai-chintai-002.html
- ウォシュレット修理目安料金(TOTO公式) — https://jp.toto.com/support/repair/meyasu_ryoukin_t/
- 修理費用の目安(LIXIL公式) — https://www.lixil.co.jp/support/repair-cost/
- 温水便座の工事料金目安(ヤマダデンキウェブコム) — https://www.yamada-denkiweb.com/info/wcontents/kouji_washlet.html