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地価は30年で何倍?1都3県2,889地点の推移調査

この記事の結論

  • 1都3県の住宅地では、地価は30年で上がらず、東京都でも1995年の0.87倍です。
  • 都県差は大きく、千葉県と埼玉県は東京都より下げ幅が大きくなっています。
  • 底は2005〜2015年で、東京都は2005年、他3県は2015年が最も低く、その後は持ち直しています。

「うちの土地は30年前と比べて上がったのか、下がったのか」。公示地価の長い一覧表を前に、そう迷ったことはないでしょうか。毎年のニュースでは「地価が上昇」と伝えられるのに、自分の土地の実感とは合わない。そんな声をよく聞きます。

この記事では、国土交通省が公表している地価公示を、1都3県の住宅地について30年分並べ直した当社の集計結果をお見せします。都県ごとの倍率、いちばん安かった時期、集計の方法、そして引用のしかたまで順に説明します。数字の意味と限界の両方を、できるだけ正直にお伝えします。

1都3県の住宅地は30年でいくらからいくらになったのか

1都3県の住宅地は30年でいくらからいくらになったのかのイメージ

まず答えからお伝えします。1都3県の住宅地では、30年前の水準に戻った都県はひとつもありませんでした。最も戻りが強い東京都でも0.87倍です。

下の表は、国土交通省の地価公示のうち、1都3県の住宅地を当社が再集計した1㎡あたりの中央値です。

都県地点数1995年2005年2015年2025年30年間の倍率
東京都987434,000円289,000円303,000円378,000円0.87倍
神奈川県723288,000円186,000円177,000円189,000円0.66倍
埼玉県617217,000円131,000円116,000円122,000円0.56倍
千葉県562222,000円108,000円92,000円101,000円0.45倍
住宅地の地価はこの30年でどう動いたか (1都3県・1㎡あたり中央値)
出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)

東京都は1995年の434,000円が2025年に378,000円となり、0.87倍でした。神奈川県は288,000円から189,000円で0.66倍です。埼玉県は217,000円から122,000円で0.56倍、千葉県は222,000円から101,000円で0.45倍となりました。都心から離れるほど戻りが弱い形がはっきり出ています。

ご自身の土地がある都県の行をご覧ください。たとえば土地が千葉県にあるなら千葉県の行で、1㎡あたり101,000円が2025年の中央値です。ただし中央値は真ん中の地点の値ですから、駅前の土地や郊外の土地は、この値から大きく離れることもあります。

ひとつ先にお断りしておきます。この集計の基準にしている1995年は、国土交通省の説明でいう昭和62年頃から平成3年にかけての大幅上昇の、すぐ後にあたる年です。つまり、かなり高い水準との比較になっています。「下がった」という結果には、基準年の高さも影響しています。

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この調査の母集団と期間 (1995〜2025年)

ここで、どんなデータをどの範囲で集計したのかを整理します。数字の信頼度は、母集団と期間を知ってはじめて判断できるからです。

もとになっているのは、国土交通省が公表する地価公示です。地価公示とは、地価公示法に基づき、都市計画区域等における標準的な地点の毎年1月1日時点の1㎡あたりの正常な価格を、国土交通省土地鑑定委員会が判定・公示する制度です(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000444.html)。毎年同じ時点で価格を出すため、長期の推移を追う基礎データになります。

当社が集計したのは、その公表データのうち1都3県の住宅地です。内訳は東京都987地点、神奈川県723地点、埼玉県617地点、千葉県562地点で、合計2,889地点になります。期間は1995年から2025年までの30年分です。表には10年刻みで、1995年・2005年・2015年・2025年の値を載せています。

大事な点なので繰り返します。これは一次データではなく公表データの再集計です。国土交通省が公表している数値そのものではありません。ご自身の家の近くの地点を確かめたい場合は、国土交通省が案内している不動産情報ライブラリで、個別地点(標準地)の情報を閲覧できます。

30年の推移から見えた3つの発見 (倍率・都県差・底の時期)

この30年分の並べ直しから、3つのことが分かりました。順に見ていきます。

ひとつめは、4都県すべてが1995年の水準を回復していないことです。最も戻った東京都でも0.87倍でした。一方、国土交通省によると、令和8年地価公示では全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇しています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00074.html)。ニュースの「上昇」は直近の動きを指すもので、30年という長さで見ると景色が変わります。この差が、実感とのずれを生んでいます。

ふたつめは、都県による差の大きさです。東京都の0.87倍から千葉県の0.45倍まで、倍率には2倍近い開きがありました。ただし、下がってから持ち直すという形そのものは、全国でも共通しています。財務省の30年分析では、住宅地の平均地価は1994年に110,122円/m2、2014年に67,180円/m2、2024年に81,037円/m2でした(財務省 https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/202503/pageindices/index30.html)。下落したあとに戻りきらないまま持ち直す、という動きは当社集計と同じです。

みっつめは、いちばん安かった時期が都県でずれていることです。東京都は2005年の289,000円が底で、2015年には反転していました。神奈川県・埼玉県・千葉県は2015年が最も低く、そこから2025年にかけて小幅に回復しています。底の年は都県によって違うため、「いつが底だったか」に全国共通の答えはありません。なお、これは10年刻みの表で見た底です。年ごとの最安年がいつだったかは、この集計では分かりません。

国土交通省の長期説明では、全国の地価公示は昭和62年頃から平成3年にかけて大幅上昇し、その後は平成19年・平成20年を除き下落が続き、令和4年以降は上昇が継続しているとされています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/statistics/content/001749300.pdf)。当社集計の動きは、この長期の流れと矛盾しません。

中央値・継続地点・住宅地に限った理由 (集計の方法)

ここでは集計のやり方を説明します。方法が分かると、数字の読み間違いを防げます。

平均ではなく中央値を使いました。中央値とは、全部の地点を価格の順に並べたときの、ちょうど真ん中の値です。平均を使うと、都心のごく一部の非常に高い地点に引っ張られて、全体の水準より高い数字が出てしまいます。多くの方の土地の感覚に近いのは、真ん中の値のほうだと考えました。

30年という長さで比べるため、地点の入れ替わりについても触れておきます。途中で入れ替わった地点があり、各年の集計対象がどのように決まっているかの細かい条件は、当社の公表資料の範囲を超えるため分かりません。分からない部分は、分からないままお伝えします。

住宅地だけに絞ったのにも理由があります。商業地は動きが極端になりやすいためです。たとえば国土交通省の令和8年地価公示では、千歳市の商業地の平均変動率が29.7%、住宅地が6.8%と報告されています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_010767.html)。同じ市でも性格がまったく違います。ご自宅や実家の土地を知りたい方には、住宅地だけを見たほうが役に立つと判断しました。

自分の土地に当てはめるときの注意点

この表の数字を、そのままご自身の土地の価格だと考えるのは危険です。理由を3つに分けて説明します。

まず、地価公示は標準的な地点の1㎡あたりの価格です。実際の売買価格ではありません。土地の形、道路への接し方、駅からの距離といった個別の事情は、この数字には入っていません。同じ町内でも、条件が違えば価格は大きく変わります。

次に、同じ都県のなかでも動きは一様ではありません。駅の周辺と郊外では、上がり方も下がり方も別物です。中央値は県全体の真ん中であって自分の土地の倍率ではないという点は、ぜひ覚えておいてください。神奈川県の0.66倍は、神奈川県のすべての土地が0.66倍になったという意味ではありません。

そして基準年の問題があります。この集計は1995年を起点にしており、バブル崩壊直後の高い水準との比較です。基準年を変えれば倍率は変わります。2005年や2015年を起点にすれば、多くの都県で「上がった」という結果になります。

なお、固定資産税の評価額や相続のときの評価額は、地価公示とは別の評価です。関係については一般的な説明にとどめ、正確な内容は各公的機関の公式サイトでご確認ください。

この数字を引用するときの表記例と問い合わせ先

この調査結果を記事や資料で使いたい場合の表記についてご案内します。

表記例は「株式会社青山地所 調べ (aoyama-e.com)」としてください。あわせて、集計時点が2026年9月であることを添えていただけると、読み手が数字の新しさを判断できます。

元データは国土交通省の地価公示です。一次データの引用先としては、国土交通省の地価公示のページを併記していただくのが正確です。そのうえで、当社の数字は公表データを再集計したものであるという説明を必ず添えてください。この一言が抜けると、国土交通省の公式発表そのものだと誤解されてしまいます。

地点の範囲や年の刻みを変えた再集計のご相談、数値の確認については、当社へのお問い合わせで承っています。

よくある質問

Q. 東京都の住宅地は30年前より上がっていますか。

いいえ、中央値ではまだ下回っています。1995年の434,000円/㎡に対し、2025年は378,000円/㎡で0.87倍でした。4都県のなかでは最も戻りが強い結果です。

Q. 地価が一番安かったのは何年ですか。

都県で違います。東京都は2005年の289,000円/㎡が、神奈川県・埼玉県・千葉県は2015年が、10年刻みの中で最も低い値でした。ただし年ごとに見たときの最安年は、この集計では分かりません。

Q. この表の数字は自分の土地の価格として使えますか。

使えません。これは都県内の中央値であり、個別の土地の価格ではないからです。ご自宅の近くの標準地を知りたい場合は、国土交通省の不動産情報ライブラリで個別地点の情報をご覧ください。

Q. 商業地や全国の数字はありますか。

当社の集計は1都3県の住宅地のみで、商業地と全国は集計していません。全国の動きについては、国土交通省の令和8年地価公示をご覧ください。全用途平均で5年連続の上昇と公表されています。

まとめ

1都3県の住宅地の中央値は、30年で東京都が0.87倍、神奈川県が0.66倍、埼玉県が0.56倍、千葉県が0.45倍でした。底は東京都が2005年、他の3県が2015年で、その後は小幅に持ち直しているものの、1995年の水準には戻っていません。

ただしこれは県全体の真ん中の値です。ご自身の土地がどう動いたかは、近くの標準地と実際の取引で確かめるのが確実です。

ご自身の土地が30年前からどれだけ動いたのかは、県の中央値ではなく、その土地の周辺の実際の取引データで見るのが早道です。

参考文献・出典

  • 国土交通省(長期的な地価動向) – https://www.mlit.go.jp/statistics/content/001749300.pdf
  • 国土交通省(全国の地価動向は全用途平均で5年連続上昇 ~令和8年地価公示~) – https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00074.html
  • 国土交通省(令和8年地価公示を公表しました) – https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_010767.html
  • 財務省(ファイナンス 2025年3月号 No.712) – https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/202503/pageindices/index30.html
  • 国土交通省(地価・不動産鑑定:地価公示) – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000444.html
  • 出典: 株式会社青山地所 自社データベース (集計 2026年09月 時点)
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