不動産の税金

オーバーローンでも家を売却できる?3つの方法を解説

住宅ローンの残高が家の売却価格を上回っている「オーバーローン」の状態で、家を売らなければならない状況に直面したとき、多くの方が「本当に売れるのだろうか」と不安を感じるものです。実は、オーバーローンであっても家を売却する方法はいくつか存在します。この記事では、オーバーローンの基本的な仕組みから、売却を実現するための具体的な3つの方法、さらに税金面での注意点まで、初心者にも分かりやすく解説します。状況に合った選択肢を知ることで、前向きに次のステップを踏み出せるようになるはずです。

オーバーローンとは何か、なぜ問題になるのか

オーバーローンとは何か、なぜ問題になるのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、オーバーローンがなぜ家の売却を難しくするのか、という根本的な仕組みです。住宅ローンを借りる際、金融機関は担保として物件に「抵当権」を設定します。この抵当権は、ローンを完済しなければ原則として抹消できません。

家を売却するときは、通常、買い手から受け取った売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消してから所有権を移転するという流れになります。しかしオーバーローンの場合、売却価格がローン残高を下回るため、売却代金だけではローンを完済できません。つまり、抵当権を抹消できないまま売却手続きが止まってしまうのです。

国土交通省の資料でも、「売却価格が住宅ローン残高より低い(抵当権抹消ができないため、売却や買換えをためらっている)」という状況が、売却を阻む主要な問題として挙げられています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001014520.pdf)。このように、オーバーローンは法的・実務的な問題として多くの方が直面する課題です。

オーバーローンに陥る原因はさまざまです。購入後に不動産市況が下落した場合や、購入時に諸費用をローンに組み込んだ場合、あるいは繰り上げ返済をほとんど行わないまま年数が経過した場合などが考えられます。まずは現在のローン残高と物件の査定価格を確認し、自分がオーバーローン状態にあるかどうかを正確に把握することが出発点となります。

売却を実現する3つの具体的な方法

売却を実現する3つの具体的な方法のイメージ

オーバーローン状態でも家を売却する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれの仕組みと特徴を理解したうえで、自分の状況に合った選択肢を選ぶことが重要です。

1つ目は、自己資金で差額を補填する方法です。 ローン残高と売却価格の差額を手持ちの現金で補い、ローンを完済してから売却するというシンプルな方法です。預貯金や退職金などで差額を賄える場合は、最もスムーズに売却を進められます。ただし、差額が大きい場合には現実的でないこともあるため、まず差額の金額を正確に把握することが大切です。

2つ目は、住み替えローン(買い替えローン)を活用する方法です。 これは、新居の購入資金と旧宅の売却で返しきれなかった残債を合算して、一本の新しいローンとして借り入れる仕組みです。新居への住み替えを検討している方にとって有力な選択肢ですが、借入総額が大きくなるため、金融機関の審査は通常の住宅ローンよりも厳しくなる傾向があります。

3つ目は、任意売却という方法です。 任意売却とは、専門家を通じて金融機関と交渉し、ローンが残ることを承諾してもらったうえで抵当権を解除して売却する手続きです。国土交通省の資料では、中古住宅ローンの担保評価例として80%や90%といった数値が示されていますが、任意売却の売却価格が市場価格に対してどの程度になるかは、個別の物件や市場環境によって異なります。ただし、競売に比べて市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。売却後も残債の返済義務は残るため、金融機関との返済条件の交渉が必要になります。

住み替えローンの主要銀行比較

住み替えローンは複数の金融機関が提供しており、条件や手数料はそれぞれ異なります。主要な銀行の商品を比較しておくと、選択の参考になります。

三井住友銀行のWEB申込専用住み替えローンは、旧宅の売却額で消えない残債部分にも利用できる商品です。利用条件として、既存の住宅ローンが借入後4年以上経過していること、直近1年間に返済の遅延がないこと、前年度の税込年収が500万円以上であることが求められます。銀行手数料は借入額の2.2%で、2026年7月1日時点の店頭金利は変動型で年3.125%となっています(三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/shouhin/web_sumikae/)。

みずほ銀行の買い替えローンは、新居取得資金に加えて旧自宅のローン返済資金も対象となっており、50万円以上3億円以内・最長35年という条件で利用できます。主な申込条件は、18歳以上71歳未満で最終返済時に81歳未満であること、安定した収入があること、旧自宅のローンに延滞がないことです。ローン取扱手数料型では借入額の2.2%が必要です(みずほ銀行 https://www.mizuhobank.co.jp/setsumeisho/pdf/replacement.pdf)。

りそな銀行の住みかえローンは、融資手数料型(借入額の2.2%)と金利上乗せ型(融資手数料不要・年0.3%上乗せ)の2種類から選べます。また、りそなの「住みかえプラン」では旧居の住宅ローン返済額を考慮せずに審査が行われるため、審査を通りやすくなる可能性があります。ただし、新居の融資実行後1年以内に旧居を売却してローンを完済する必要があり、期限内に売却できない場合は金利が引き上げられる可能性があります(りそな銀行 https://www.resonabank.co.jp/pdf/sumikae.pdf)。

きらぼし銀行のWローンは、旧居売却を前提とした場合に新居ローンの審査で旧居の返済額を算入しない点が特徴です。さらに、最大1年間は利息のみの返済にできるため、売却活動中の返済負担を軽減できます。2026年7月31日現在の表示金利例は、融資手数料型で変動1.120%、固定5年2.895%、固定10年3.345%となっています(きらぼし銀行 https://www.kiraboshibank.co.jp/kariru/juutaku/wloan/point.html)。

売却時に知っておきたい税金の特例

オーバーローンで家を売却する際には、税金面での知識も欠かせません。状況によって利用できる特例が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

まず、売却価格がローン残高を上回って利益(譲渡益)が出る場合には、「居住用財産を売ったときの3,000万円特別控除」が利用できる可能性があります。国税庁によると、マイホームを売却して譲渡益が生じた場合、一定の要件を満たせば所有期間の長短にかかわらず、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)。ただし、この特例を利用した年とその前後の年には、住宅ローン控除との併用に制限があるため注意が必要です。

一方、オーバーローンの状態で売却して損失(譲渡損失)が生じた場合には、別の特例が使える可能性があります。国税庁の情報によると、令和7年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローン残高を下回る価格で売却して損失が生じたときは、一定の要件を満たす場合に限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)でき、さらに3年間の繰越控除も可能です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3390.htm)。損益通算の限度額は、売買契約日前日のローン残高から売却価格を差し引いた金額が目安となります。

これらの特例はいずれも適用要件が細かく定められており、個別の状況によって利用できるかどうかが変わります。税務上の判断については、税理士や最寄りの税務署に相談することを強くおすすめします。

任意売却とリースバックの注意点

住み続けたいけれどローンの返済が難しいという方には、任意売却とリースバックを組み合わせる方法が選択肢として挙がることがあります。しかし、この方法にはいくつかの重要な注意点があります。

オーバーローン状態では、売却代金でローンを完済できないため抵当権を抹消できず、通常のリースバック契約だけでは成立しません。そのため、任意売却によって金融機関の同意を得て抵当権を解除したうえで、リースバック契約を結ぶという流れが現実的な選択肢となります(出典:https://www.963281.or.jp/lease-back/voluntary-sale/)。

ただし、この方法を選んだ場合でも、売却後に残った残債の返済と毎月の家賃という二重の支払いが発生するケースがあります。家計への負担が大きくなる可能性があるため、月々の支払い総額が無理のない範囲に収まるかどうかを慎重に試算することが必要です。また、任意売却は金融機関との交渉が必要な複雑な手続きであるため、不動産の専門家や弁護士・司法書士などの専門家に相談しながら進めることが重要です。

なお、SBIアルヒが提供する「住み替え実現ローン」は、現在の住宅が売れていなくても先に新居の購入を進められる住み替え特化型のローンです。2026年8月実行金利は年1.050%で、融資期間は最長12ヵ月、返済期限内に担保物件を売却して一括返済する仕組みとなっています。また、一定期間内に売却が成立しなかった場合にSBIスマイルが物件を買い取る保証制度も用意されています(SBIアルヒ https://www.sbiaruhi.co.jp/product/sumikae_jitsugen_loan/)。

まとめ

オーバーローン状態での家の売却は、確かに通常の売却よりも複雑な手続きが必要です。しかし、自己資金による差額補填・住み替えローンの活用・任意売却という3つの方法を理解することで、状況に応じた現実的な選択肢が見えてきます。また、譲渡損失が生じた場合の損益通算や繰越控除といった税務上の特例も、うまく活用することで家計への影響を和らげることができます。まずは現在のローン残高と物件の査定価格を確認し、不動産会社や金融機関、税理士などの専門家に相談することが、解決への第一歩となります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、最善の方法を見つけていきましょう。

参考文献・出典

  • 国土交通省「マンション等売却実務マニュアル」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001993402.pdf
  • 国土交通省「中古住宅市場活性化のために考えられること」 – https://www.mlit.go.jp/common/001014520.pdf
  • 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
  • 国税庁「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3390.htm
  • 三井住友銀行「住宅ローン WEB申込専用住み替えローン」 – https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/shouhin/web_sumikae/
  • みずほ銀行「みずほ買い替えローン 商品概要説明書」 – https://www.mizuhobank.co.jp/setsumeisho/pdf/replacement.pdf
  • りそな銀行「りそな住みかえローン」 – https://www.resonabank.co.jp/pdf/sumikae.pdf
  • きらぼし銀行「住み替え専用住宅ローン『Wローン』」 – https://www.kiraboshibank.co.jp/kariru/juutaku/wloan/point.html
  • SBIアルヒ「住み替え実現ローン」 – https://www.sbiaruhi.co.jp/product/sumikae_jitsugen_loan/
  • 「住宅ローンのオーバーローンとは?残債があっても家を売却する3つの方法」 – https://www.963281.or.jp/jutaku-loan/over-loan/
  • 「リースバックで住み続ける方法と任意売却の注意点を解説」 – https://www.963281.or.jp/lease-back/voluntary-sale/

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