不動産の税金

固定資産税は鉄骨と木造でいくら違う?差額と20年後の変化を解説

不動産の購入や賃貸経営を考えるとき、建物の構造によって固定資産税がどれくらい変わるのか気になる方は多いのではないでしょうか。鉄骨造(てっこつぞう=柱や梁に鉄骨を使った構造)は木造より税金が高いというイメージが定着していますが、実際には評価のしくみを理解すれば、その差の理由がよく見えてきます。本記事では固定資産税の計算方法から、木造と鉄骨造の違い、20年後の評価額の推移、そして新築や長期優良住宅で使える軽減措置までを、公的資料をもとにわかりやすく解説していきます。

固定資産税はどのように計算されるのか

鉄骨造が節税に向いている理由

まず押さえておきたいのは、家屋の固定資産税がどのように算出されるかという基本のしくみです。大阪市の説明によると、家屋の税額は課税標準額(=価格)に税率1.4%を掛けて求めます。そしてこの価格そのものは「再建築費評点数×経年減点補正率等×評点1点当たりの価額」という式で決まります。少しむずかしく見えますが、要するに「同じ建物を今新しく建てたらいくらか」を基準に、築年数による価値の低下を反映させて評価するというしくみです。

この計算の出発点となる再建築費は、総務省が定める固定資産評価基準にもとづいて各自治体が算定します。ここで重要なのは、木造か非木造かによって適用される数値が異なる点です。令和6年度評価基準では、再建築費評点補正率が木造1.11、非木造1.07と定められています。さらに評点1点当たりの価額も自治体ごとに差があり、たとえば大阪市では木造1.05円、非木造1.10円が用いられています。つまり同じ「1点」でも、構造や地域によって実際の金額が変わってくるのです。

鉄骨造と木造で固定資産税が違う理由

減価償却と耐用年数の具体的な計算方法

鉄骨造の固定資産税が木造より高くなりやすい理由は、大きく二つあります。ポイントは、建てるときの費用と、評価額が下がるスピードの違いです。

一つ目は建築費、つまり再建築費の水準です。鉄骨は木材よりも建築コストが高く、その分だけ評価の出発点となる再建築費も高くなります。ある専門資料の試算では、1㎡あたりの標準建築費として鉄骨が木造より高いという数字が示されています。この差がそのまま評価額の差につながり、初年度から鉄骨造のほうが高めの税額になりやすいわけです。

二つ目は経年減点補正率、すなわち築年数に応じて評価額が下がっていくスピードの違いです。神戸市の説明によれば、この補正率が下限に達するまでの年数は構造によって大きく異なり、一般的な木造専用住宅で25年、鉄筋コンクリート造の共同住宅では60年が目安とされています。鉄骨造は木造と鉄筋コンクリート造の中間に位置づけられますが、いずれにしても木造より評価額の下落がゆるやかです。長い期間にわたって高めの評価額が維持されるため、その分だけ固定資産税を支払い続けることになります。

評価額はゼロにはならない

ここで誤解しやすいのが、「築年数が経てば評価額はゼロに近づく」という思い込みです。実際には、家屋の経年減点補正率には下限が設けられており、神戸市の資料では下限値は2割(0.2)と説明されています。つまり、どれだけ古くなっても評価額が新築時の約2割を下回ることはありません。耐用年数を過ぎた家屋には一律0.2の補正率が適用されると案内している自治体もあります。

さらに注意したいのは、築年数が進んでも税額が下がらない場合がある点です。神戸市によると、評価替えで再計算した評価額が前年度を上回るような場合には、前年度の価格が据え置かれるしくみになっています。建築資材の価格上昇などで再建築費が上がると、こうした据え置きが起こることがあります。「古くなれば必ず安くなる」とは限らないと理解しておきましょう。

鉄骨の厚みによる区分

ひとくちに鉄骨造といっても、評価上はさらに細かく分類されます。千葉市の評価事務取扱要領によると、非木造家屋の構造は「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造」「れんが造など」「鉄骨で骨格材の肉厚が4mmを超えるもの」「同3mm超4mm以下」「同3mm以下」の5区分で扱われます。

このうち骨格材の肉厚が4mmを超えるものは重量鉄骨、3mm以下や3mm超4mm以下のものは軽量鉄骨と一般に呼ばれます。骨格材が厚いほど頑丈で耐久性が高いため、再建築費も高く設定され、評価額も高くなる傾向があります。同じ「鉄骨造」でも、軽量か重量かで税負担が変わってくる点は覚えておくとよいでしょう。

20年後まで見た固定資産税の推移

固定資産税は購入時だけでなく、長く保有するほど累積の負担が効いてきます。そこで気になるのが、20年後にはどの程度まで下がるのかという点です。

公的に一律の数表があるわけではありませんが、参考になる資料として法務局の経年減価補正率表があります。この表では木造建物が築20年で0.26、27年以上で0.20まで下がるのに対し、非木造建物は築20年でもまだ0.5054、下限の0.2000に達するのは45年以上とされています。ただしこの表は、法務局自身が明記しているとおり固定資産評価基準そのものの率表ではなく、木造・非木造の経年減点補正率基準表から平均値を算出したものです。あくまで目安として捉えてください。

より実務に近いイメージをつかむために、ある専門メディアの試算例を紹介します。延床120㎡・土地100㎡・土地評価額1,500万円・中級仕様という前提のもとで、木造は新築特例が切れる4年目以降で土地建物あわせて減額となり、築20年時点ではさらに下がると試算されています。一方、軽量鉄骨造は4年目以降でも木造より高い水準が続く結果になっています。この試算はあくまで一つの前提条件によるものですが、鉄骨造の負担が長期にわたって重くなりやすいという傾向はよく表れています。

ただし、実際の差額は自治体、床面積、設備グレード、土地評価額、そして後述する新築特例の有無によって大きく変わります。全国平均として使える公的な差額統計は存在しないため、正確な金額を知りたい場合は物件所在地の市区町村に確認するのが確実です。

新築で使える固定資産税の軽減措置

鉄骨造の負担が気になる方にとって心強いのが、新築住宅に対する固定資産税の軽減措置です。国土交通省によると、新築住宅は一定の要件を満たすと、家屋部分の固定資産税が一般住宅で3年間、マンション等で5年間、いずれも2分の1に減額されます。この期間中は本来の税額の半分で済むため、初期の資金負担をかなり抑えられます。

ここで押さえておきたいのは、軽減が終わっても「増税」されるわけではないという点です。国交省は、4年目(マンション等の場合は6年目)から税額が「元に戻る」ことになり、増税ではないと明確に説明しています。軽減期間が終わると税額が上がったように感じますが、それは本来の水準に戻っただけだと理解しておきましょう。なお5年軽減の対象となるマンション等とは、国交省の表現では「3階以上の中高層耐火住宅」を指します。鉄骨造だからといって自動的に5年軽減が受けられるわけではなく、階数や耐火性能などの制度要件を満たす必要があります。

長期優良住宅なら軽減期間が延びる

さらに手厚い優遇を受けられるのが、認定長期優良住宅です。これは耐震性や省エネ性などの基準を満たし、長く良好な状態で使える住宅として認定を受けたものを指します。国交省によれば、この認定を受けると固定資産税の軽減期間が延長され、一般住宅が5年間、マンション等が7年間となります。通常の新築特例より2年長く優遇が続く計算です。

この特例を受けるための主な要件として、家屋の床面積が40㎡以上240㎡以下であること、そして令和13年3月31日までに新築されていることが示されています。鉄骨造は耐久性の面で長期優良住宅の基準を満たしやすい構造でもあるため、新築を検討する際は認定取得もあわせて考える価値があります。

住宅用地の軽減とリフォームによる減額

固定資産税を考えるうえで、建物だけでなく土地の扱いも重要です。国交省の資料によると、住宅が建っている土地には課税標準の特例があり、200㎡以下の小規模住宅用地は6分の1、それを超える一般住宅用地は3分の1に軽減されます。この軽減があるからこそ、住宅用地の税負担は大きく抑えられているのです。逆にいえば、住宅を取り壊して更地にするとこの特例が外れ、負担が一気に増える可能性があります。

また、保有中の物件についても、リフォームによって固定資産税が軽減される場合があります。国交省は、耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化の各リフォームについて固定資産税軽減の可能性を案内しています。ただし適用には工事内容や床面積などの要件があり、申告期限も定められているのが一般的です。実際に軽減を受けられるかどうかは、工事前に物件所在地の自治体窓口で確認しておくことをおすすめします。

減価償却で見る木造と鉄骨造の違い

固定資産税とあわせて理解しておきたいのが、所得税の計算に関わる減価償却です。賃貸経営を行う場合、建物の取得費を法定耐用年数にわたって経費に計上できます。国税庁の耐用年数区分によると、住宅用の金属造は骨格材の厚みに応じて異なる年数が定められており、木造も同様に定められています。

鉄骨造は木造より耐用年数が長いため、1年あたりの償却費は小さくなりますが、その分だけ長期間にわたって経費計上を続けられます。一方、木造は耐用年数が短いぶん、短期間で大きく償却できるという特徴があります。固定資産税では鉄骨造のほうが不利に見えても、融資の受けやすさや資産価値の維持といった面では有利に働くこともあり、税額の一面だけで優劣を判断するのは避けたほうがよいでしょう。

まとめ

本記事では、固定資産税の計算のしくみから、木造と鉄骨造で税額が変わる理由、20年後までの評価額の推移、そして新築や長期優良住宅で使える軽減措置までを解説してきました。鉄骨造は建築費が高く、評価額の下がり方もゆるやかなため、木造より固定資産税が高くなりやすい傾向があります。しかし評価額には下限があり、新築特例や長期優良住宅の軽減、住宅用地の特例を活用すれば負担はかなり抑えられます。

ただし、実際の税額は自治体、床面積、設備グレード、土地評価額、特例の適用状況によって大きく変わります。本記事で紹介した数値はあくまで目安であり、正確な金額や最新の制度内容については、物件所在地の市区町村や公的機関の公式サイトで必ずご確認ください。構造ごとの特性を理解したうえで、長期的な収支を見据えた判断をしていただければと思います。

参考文献・出典

  • 大阪市 家屋関係 – https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000240554.html
  • 神戸市 家屋の評価額が何年間も下がらないままなのですが – https://faq.city.kobe.lg.jp/faq/show/12609
  • 千葉市 固定資産(家屋)評価事務取扱要領 – https://www.city.chiba.jp/zaiseikyoku/zeimu/kazeikanri/documents/20240101_koteishisan_kakoku_hyokayouryo.pdf
  • 国土交通省 新築住宅に係る税額の減額措置 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html
  • 国土交通省 認定長期優良住宅を取得したときに利用できる減税制度 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000022.html
  • 国土交通省 リフォーム促進税制について – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000248.html
  • 国税庁 法定耐用年数 – https://www.town.yubetsu.lg.jp/common/img/content/content_20201208_165220.pdf
  • 法務局 経年減価補正率表 – https://houmukyoku.moj.go.jp/nagoya/static/hoseirituhyou.htm

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