マンションを売りたいと思っても、「何から始めればいいのかわからない」「手続きが複雑そうで不安」と感じる方は多いのではないでしょうか。実際、マンション売却は査定依頼から始まり、媒介契約、販売活動、売買契約、引き渡しと複数のステップを経て完了します。各ステップで押さえておくべきポイントを事前に知っておくだけで、スムーズに進められますし、損をするリスクも大きく減らせます。この記事では、マンション売却の流れを順を追ってわかりやすく解説します。初めて売却を検討している方でも安心して読み進められるよう、各ステップの注意点や税金の知識まで丁寧にまとめました。
まず査定依頼から始めよう

マンション売却の第一歩は、不動産会社への査定依頼です。査定とは、あなたのマンションがいくらで売れそうかを不動産会社に見積もってもらうことを指します。この査定額が、その後の売出価格を決める重要な判断材料になります。
重要なのは、査定を1社だけに依頼するのではなく、複数社に依頼して比較することです。HOMES(ホームズ)の情報によると、1社の査定結果だけでは価格の妥当性を判断しにくいため、3〜5社へ依頼して比較検討することが推奨されています。複数社の査定額を並べることで、相場感をつかみやすくなり、極端に低い価格や高すぎる価格に惑わされるリスクを減らせます。
査定の方法には、物件情報をもとにした「机上査定」と、担当者が実際に物件を訪問して行う「訪問査定」の2種類があります。机上査定は手軽に複数社の概算を比較するのに向いており、訪問査定はより精度の高い価格を知りたい場合に適しています。最終的に売却を依頼する会社を選ぶ前に、できれば訪問査定まで行うことで、担当者の対応力や提案内容も確認できます。
査定依頼から売却・引き渡しまでは、SUUMO(スーモ)の情報によると少なくとも3カ月程度はかかるとされています。余裕を持ったスケジュールで動き始めることが、焦りによる失敗を防ぐ第一歩です。
媒介契約の種類と選び方

査定結果をもとに売却を依頼する不動産会社を決めたら、次に「媒介契約」を結びます。媒介契約とは、不動産会社に売却活動を依頼するための正式な契約のことです。この契約には3種類あり、それぞれ特徴が異なるため、自分の状況に合ったものを選ぶことが大切です。
まず「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約です。より多くの会社が動いてくれる反面、各社の販売活動の進捗報告に義務がないため、状況を把握しにくい面もあります。次に「専任媒介契約」は、1社のみに依頼する契約で、HOMES(ホームズ)の情報によると2週間に1回以上の販売状況報告が義務付けられています。そして「専属専任媒介契約」は最も拘束力が強く、1週間に1回以上の報告が義務付けられており、売主自身が直接買主を見つけた場合でも、その会社を通じて取引する必要があります。
どの契約が向いているかは、物件の状況や売主の希望によって異なります。一般的には、早期売却を目指したい場合や、担当者との連携を密にしたい場合は専任系の契約が選ばれることが多いです。一方で、複数の会社に広く情報を流したい場合は一般媒介が向いています。
媒介契約を結ぶと、不動産会社はREINS(レインズ)と呼ばれる不動産流通標準情報システムに物件情報を登録します。国土交通省の情報によると、売主はこの登録後の状況を「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時停止中」の3区分で自ら確認することができます(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)。自分の物件がどのように市場に出ているかを把握できる仕組みが整っているので、積極的に活用しましょう。
売買契約から引き渡しまでの流れ
販売活動を経て買主が見つかり、価格や条件の交渉がまとまると、いよいよ売買契約の締結へと進みます。ここからは手続きが続くため、各ステップで何が行われるかを理解しておくことが大切です。
売買契約を結ぶ前には、宅地建物取引士の有資格者から買主に対して「重要事項説明」が行われます。アットホームの情報によると、この説明の後に売買契約が締結され、契約成立の証として買主から売主へ手付金が支払われます。手付金は物件価格の一部として後の決済で精算されるものですが、万が一買主が契約を解除する場合は手付金を放棄することになるなど、法的な意味を持つ重要なお金です。
引き渡しの当日は、売主と買主、双方の不動産会社、そして銀行の担当者が一堂に集まります。アットホームの情報によると、この場で売買代金の残金に加えて、固定資産税やマンションの管理費・修繕積立金などの清算金が売主へ支払われます。同時に、司法書士が所有権移転登記や抵当権抹消登記の手続きを進め、鍵の受け渡しと必要書類の引き継ぎが行われます。住宅ローンが残っている場合は、この場でローンの返済手続きも行われるのが一般的です。
引き渡しが完了すれば、マンション売却の実務的な手続きはひとまず完了です。しかし、売却後にも忘れてはならない重要な手続きが残っています。それが税金に関する確定申告です。
売却後の税金と確定申告
マンションを売却して利益が出た場合、税金の手続きが必要になります。この点を見落としてしまうと、後から思わぬ出費が生じることがあるため、事前に把握しておくことが重要です。
不動産を売却して得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税と住民税の課税対象となります。国税庁の情報によると、譲渡所得の申告は資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日の間に行う必要があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm)。売却した翌年の確定申告シーズンに対応が必要になるため、売却後も書類を整理して保管しておきましょう。
一方で、自分が住んでいたマイホームを売却した場合には、税負担を大きく軽減できる特例があります。国税庁の情報によると、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例が設けられています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)。多くのケースでこの特例を活用することで、税負担をゼロまたは大幅に抑えられます。
さらに、一定の条件を満たす場合には軽減税率の特例も利用できます。国税庁の情報によると、課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下の部分には10%の税率が適用され、6,000万円を超える部分については(課税長期譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円で計算された税額が課されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm)。これらの特例は要件が細かく定められているため、詳細は国税庁の公式サイトや税理士への相談で確認することをおすすめします。
売却をスムーズに進めるための心構え
マンション売却の流れを理解したうえで、実際にスムーズに進めるためにはいくつかの心構えが役立ちます。手続きの多さに圧倒されず、一つひとつのステップを丁寧に進めることが成功への近道です。
まず、売却活動に入る前に「いつまでに売りたいか」という目標時期を明確にしておくことが大切です。査定から引き渡しまで最低でも3カ月程度かかることを踏まえると、逆算してスケジュールを立てることで余裕を持った行動ができます。引っ越しや住み替えの計画がある場合は、特に早めに動き始めることが重要です。
次に、不動産会社選びは慎重に行いましょう。査定額の高さだけで会社を選ぶのではなく、担当者の説明のわかりやすさや、販売戦略の具体性、過去の売却実績なども判断材料にすることをおすすめします。売却活動中は担当者と密にコミュニケーションを取り、販売状況の報告をしっかり受けながら進めることが大切です。
また、売却に必要な書類は早めに準備を始めると安心です。登記識別情報や管理規約、固定資産税の納税通知書など、手元にない書類は取得に時間がかかる場合もあります。不動産会社の担当者に必要書類のリストを確認し、余裕を持って揃えておきましょう。
まとめ
マンション売却の流れは、査定依頼→媒介契約→販売活動→売買契約→引き渡し→確定申告という大きな流れで進みます。各ステップには押さえておくべきポイントがあり、事前に知識を持っておくことで焦らず対応できます。
特に重要なのは、複数社への査定依頼で相場を把握すること、自分に合った媒介契約を選ぶこと、そして売却後の税金手続きを忘れないことです。マイホームの売却であれば最高3,000万円の控除特例も活用できるため、税金面でも損をしないよう確認しておきましょう。
不動産売却は人生の中でも大きな取引のひとつです。焦らず、信頼できる不動産会社と二人三脚で進めることで、納得のいく売却を実現できます。まずは複数社への査定依頼から、一歩踏み出してみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省「建設産業・不動産業:消費者の皆様向け 不動産取引に関するお知らせ」 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- 国税庁「No.3102 譲渡所得の申告期限」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
- 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm
- SUUMO「マンション査定額と売却額の違いとは?売却時に損をしないための注意点とマンション売却の流れを解説」 – https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/mansion_satei
- HOMES「マンション売却の流れ7ステップ!下準備から引渡しまでの手順を解説」 – https://www.homes.co.jp/satei/media/entry/cont/sale_00127
- アットホーム「マンション売却の流れや注意点を解説!失敗しないためのコツや不動産会社の選び方」 – https://www.athome.co.jp/contents/for-sellers/sellers-kiso/mansion/
- 三井のリハウス「マンション売却の注意点!流れや費用、失敗しないためのポイントを解説」 – https://www.rehouse.co.jp/sell/mansion/