相続・空き家

収益不動産の相続登記費用の相場と節約のコツ【2026年版】

この記事の結論

  • 相続登記の費用は登録免許税(評価額の0.4%)+書類取得費+司法書士報酬の3つで構成されます。
  • 司法書士に依頼する場合の総費用は、具体的な金額は司法書士によって異なります。
  • 収益不動産の相続登記費用(登録免許税)は、賃貸事業の必要経費に算入できる場合があります。

賃貸マンションやアパートなどの収益不動産を相続したとき、「登記の手続きにいくらかかるのか」と不安を感じる方は少なくありません。2024年4月から相続登記が義務化されたことで、手続きを先送りにするリスクも高まっています。この記事では、相続登記にかかる費用の内訳と相場を具体的な数字を交えて解説し、収益不動産ならではの税務上のポイントまで丁寧にお伝えします。初めて相続登記を経験する方でも全体像をつかめるよう、順を追って説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。

相続登記の義務化で何が変わったのか

相続登記の義務化で何が変わったのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、相続登記が2024年4月1日から義務化されたという事実です。法務局の案内によると、不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならないとされています(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000275.html)。これは収益不動産も例外ではなく、賃貸マンションやアパートを相続した場合も同様に適用されます。

また、遺産分割の話し合いがまとまった場合には、その成立日から別途3年以内に、分割内容を反映した相続登記が必要になります(法務局 同上)。つまり、相続発生から遺産分割まで時間がかかるケースでは、2つの期限を意識して管理する必要があります。

正当な理由なく義務に違反すると、10万円以下の過料が科される可能性があります(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)。収益不動産は資産価値が高く、相続人間の調整に時間がかかることも多いため、早めに専門家へ相談することが大切です。なお、遺産分割がまとまらず期限内の本登記が難しい場合は、相続人申告登記という制度を利用することで義務を履行したとみなされる仕組みもあります(法務省 同上)。

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相続登記の費用を構成する3つの要素

相続登記の費用を構成する3つの要素のイメージ

相続登記にかかる費用は、大きく「登録免許税」「書類取得費用」「司法書士報酬」の3つに分けられます。それぞれの性質を理解することで、総費用の見通しが立てやすくなります。

登録免許税は、国に納める税金です。国税庁の税額表によると、相続による所有権移転登記の税率は不動産の価額の0.4%(1,000分の4)と定められています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)。課税標準となる「不動産の価額」は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)を使います(国税庁 同上)。たとえば評価額が2,500万円の一戸建てであれば、登録免許税は10万円になります。

書類取得費用は、戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書などを集めるための実費です。世田谷区では戸籍謄本1通450円(世田谷区 https://www.city.setagaya.lg.jp/02233/54.html)、新宿区では住民票の写し1通300円(新宿区 https://www.city.shinjuku.lg.jp/todokede/koseki03_000009_f.html)、横浜市では固定資産評価証明書が300円(横浜市 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/shizei-shomei/koteishisan-shomei.html)といった具合に、自治体によって手数料は異なります。相続人の数や不動産の所在地によって変わりますが、書類取得費用の合計は一般的に約1万〜3万円程度になることが多いとされています(住友不動産ステップ https://www.stepon.co.jp/uri/column/151/)。

司法書士報酬は、専門家に手続きを依頼した場合に発生する費用です。日本司法書士会連合会の案内によると、司法書士報酬には法定の全国一律価格はなく、各司法書士が自由に定めることになっています(日本司法書士会連合会 https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/)。

費用の相場と具体的な試算

司法書士に依頼する場合の総費用は、具体的な金額は司法書士によって異なります。自分で手続きを行う場合は約3万〜10万円程度になるとも言われていますが、収益不動産は権利関係が複雑なケースも多く、専門家への依頼が現実的な選択肢となることが多いでしょう。

司法書士報酬の参考値として、日本司法書士会連合会が2024年3月に実施したアンケートでは、「土地1筆・建物1棟・評価額合計1,000万円・相続人3名・うち1名が単独相続」という標準ケースの平均報酬は74,888円という結果が出ています(日本司法書士会連合会 https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf)。ただし、日本司法書士会連合会自身も「相続人や不動産の数等により大きく左右される」と明記しており、この数字はあくまで標準ケースの参考値です(日本司法書士会連合会 同上)。

具体的な試算例を見てみましょう。土地と建物の評価額合計が2,500万円の一戸建てを相続する場合、登録免許税10万円・書類取得費用約1.5万円・司法書士報酬約8万〜12万円で、合計は約19.5万〜23.5万円になるとされています(住友不動産ステップ 同上)。また、評価額1,500万円のマンション(区分)の場合は、登録免許税6万円・書類取得費用約1.5万円・司法書士報酬約7万〜10万円で、合計約14.5万〜17.5万円という試算も示されています(住友不動産ステップ 同上)。収益不動産は一棟アパートや複数の区分物件を保有するケースも多く、物件数が増えるほど費用が上がる傾向があります。

費用を抑えるための2つのポイント

費用を賢く抑えるうえで、まず知っておきたいのが登録免許税の免税措置です。法務局の案内によると、不動産の価額が100万円以下の土地については、2027年3月31日までの間に受ける相続による所有権移転登記について登録免許税が非課税とされています(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html)。収益不動産の場合、土地の評価額が100万円以下というケースは限られますが、地方の物件や小規模な土地では該当する可能性もあるため、確認しておく価値があります。

もう一つの節約策が、法定相続情報証明制度の活用です。法務局の案内によると、この制度を利用すると、登記官の認証文付きの「法定相続情報一覧図の写し」を無料で必要通数交付してもらえます(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html)。複数の金融機関や役所に同じ書類を提出する場面が多い相続手続きでは、この一覧図を使うことで戸籍謄本の束を何度もコピーする手間と費用を削減できます。さらに、一覧図に相続人の住所を記載しておくと、その後の相続登記等の手続きで住民票の写しの提供が不要となることがある点も覚えておくと便利です(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html)。

収益不動産ならではの税務上の扱い

収益不動産の相続登記には、一般の居住用不動産とは異なる税務上のポイントがあります。相続登記にかかった登録免許税は、賃貸事業の必要経費に算入できる場合があります。国税庁の案内によると、賃貸マンション事業を営んでいた被相続人から相続人が事業を引き継ぐ場合に、その賃貸マンションの相続に際して支払った登録免許税や不動産取得税等は必要経費に算入されるとされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2215.htm)。

これは収益不動産を相続した投資家にとって見逃せないポイントです。たとえば評価額2,500万円の賃貸物件の登録免許税10万円が経費として認められれば、その分だけ不動産所得の課税対象額を減らすことができます。ただし、適用条件や申告方法の詳細は個別の事情によって異なるため、税理士や税務署に確認することを強くお勧めします。また、不動産取得税については別途申告が必要な場合もあり、相続登記と合わせて専門家に相談することで、全体の費用負担を最適化できるでしょう。

まとめ

収益不動産の相続登記費用は、登録免許税(評価額の0.4%)・書類取得費用(約1万〜3万円)・司法書士報酬の3つで構成されます。司法書士に依頼する場合の総費用は具体的な金額が司法書士によって異なりますが、物件の数や評価額、相続人の構成によって大きく変わります。2024年4月から義務化された相続登記は、正当な理由なく怠ると過料の対象になるため、早めの行動が重要です。法定相続情報証明制度の活用や免税措置の確認で費用を抑えつつ、登録免許税の経費算入という収益不動産ならではのメリットも忘れずに活用してください。まずは司法書士や税理士に相談し、自分のケースに合った最適な手続きを進めることが、スムーズな相続への第一歩となります。

参考文献・出典

  • 東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)」 — https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000275.html
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」 — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
  • 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
  • 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」 — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
  • 日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」 — https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/
  • 日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年(令和6年)3月実施)」 — https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/11/2a2e2c594bc4cd9ff2ca0f6d916db85e.pdf
  • 法務局「『法定相続情報証明制度』について」 — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
  • 法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」 — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html
  • 国税庁「No.2215 固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2215.htm
  • 世田谷区「海外から郵送で戸籍の証明を申請する方法」 — https://www.city.setagaya.lg.jp/02233/54.html
  • 新宿区「住民票等の証明」 — https://www.city.shinjuku.lg.jp/todokede/koseki03_000009_f.html
  • 横浜市「固定資産に関する証明書」 — https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/shizei-shomei/koteishisan-shomei.html
  • 住友不動産ステップ「相続登記の費用はいくら?内訳・計算方法・節約のコツまで徹底解説」 — https://www.stepon.co.jp/uri/column/151/
詳しいガイド相続物件の売却でつまずく点相続登記を済ませて名義を整えたあとも、実際に売り出す段階では取得費や共有名義、期限つきの特例など、つまずきやすい点がいくつも残っている。売却ガイド一覧を見る →

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